東京2020組織委員会は30日、東京2020オリンピック・パラリンピックの観戦チケットの払い戻し方法についてアナウンスした。これは大会延期に伴い来場が困難になったチケット所有者を対象としたもの。なお既に購入済みの観戦チケットは、原則として、2021年に開催される東京2020大会でそのまま利用できる。

  • 観戦チケットの払い戻し方法についてアナウンスする、鈴木秀紀マーケティング局次長(右)と高谷正哲スポークスパーソン(左)(Tokyo 2020提供)

    観戦チケットの払い戻し方法についてアナウンスする、鈴木秀紀マーケティング局次長(右)と高谷正哲スポークスパーソン(左)(Tokyo 2020提供)

払い戻しの概要

大会延期に伴う希望者への観戦チケット払い戻しについて、鈴木秀紀マーケティング局次長が説明した。発表された内容は、以下の通り。

購入済みのチケットは、1枚単位で払い戻しが可能(チケットの種類により条件は異なる)。払い戻し申請の手続きは、公式チケット販売サイトでのみ受け付ける。今回の払い戻しは希望者のみを対象とするもので、購入済みの観戦チケットは来夏に開催される東京2020大会で原則そのまま利用できる。今後、新型コロナウイルス感染症の影響により、観戦の機会を提供できなくなった場合には、別途、払い戻しを実施する予定。

  • 払い戻しについてのスケジュール

    払い戻しについてのスケジュール

  • 払い戻し申請の流れ

    払い戻し申請の流れ

払い戻しは購入者本人に限る。払い戻し申請の受付期間は、オリンピックが2020年11月10日未明~11月30日11時59分、パラリンピックが2020年12月1日未明~12月21日11時59分。チケット代金と手数料(発行手数料と配送手数料)が払い戻しの対象となる。チケット購入者には、別途、メールでアナウンスがある。

  • 払い戻しの概要(1)

    払い戻しの概要(1)

  • 払い戻しの概要(2)

    払い戻しの概要(2)

なお今回、一部チケットの購入・利用条件(対象年齢)について変更があった。

  • 観戦チケットの取り扱いの変更点

    観戦チケットの取り扱いの変更点

気になるコロナの影響

記者団から、質問が相次いだ。気になるのがコロナの影響だ。今後、収束に向かうのか否か。それによってチケットを払い戻すべきかどうか、考えたいという人も多いだろう。東京2020組織委員会では「大会の中止、あるいは無観客での開催は検討していない」と説明する。鈴木氏は「コロナ感染の状況、11月に実施される調整会議の検討内容も踏まえて対策していきます。コロナの影響により主催者の判断で観戦機会を提供できなくなった場合は、別途、払い戻しを実施します」と繰り返した。

  • 鈴木秀紀マーケティング局次長(Tokyo 2020提供)

    鈴木秀紀マーケティング局次長(Tokyo 2020提供)

どのくらい払い戻しチケットがありそうか、について問われると、組織委員会でも具体的な数は把握できないと回答。そして「できる限り、多くのチケットホルダーの方に観戦の機会をご提供できるように努力していきたい」(鈴木氏)。

払い戻しチケットの数が多かった場合、あらためてオンライン抽選販売を行う可能性があるのか、という質問に鈴木氏は「日程を考慮すると、同じような抽選販売は物理的にできないと考えています。今後の販売については、先着順でのネット販売を想定しています」と回答。

また払い戻しチケットをリセールする計画はあるのか、という質問には「現時点ではまだ決まっていません。そのあたりのスケジュールは決まり次第、皆さまにご案内致します」とした。

  • 今後の販売(公式リセールを含む)については、現在も検討中とのこと

    今後の販売(公式リセールを含む)については、現在も検討中とのこと

すでに販売済みのチケットの状況は、国内ではオリンピックが448万枚、パラリンピックが97万枚。ちなみにオリンピックの陸上マラソンが東京から札幌に移転したことに伴う払い戻しの対象枚数は、男子マラソンが約2万2,000枚、女子マラソン・陸上が約1万5,000枚で、実際に払い戻しがあった枚数は、男子マラソンが約2万2,000枚(すべて払い戻し)、女子マラソン・陸上が約1,300枚(希望者のみ)となっている(女子マラソンについては、引き続き陸上の観戦希望者が大多数おり、払い戻しを行ったのは1割未満に留まった)。このことから、今回のチケット払い戻しの対象となる枚数は約445万枚となる。

海外で販売済みのチケットの状況について聞かれると「それぞれのテリトリーでの販売となるので、組織委員会では正確な数字を持ち合わせていません」としつつ、過去大会を考慮すると、全体の10~20%が海外の販売分になるとのこと。

海外で販売されたチケットの払い戻しについては「世界各国・各地域のNOC(National Olympic Committee : 国内オリンピック委員会)、NPC(National Paralympic Committee : 国内パラリンピック委員会)、公式チケット販売業者が取り扱っており、仕組み、法律などによって方法が異なりますので、購入した業者に問い合わせていただけたら」。

海外のチケット保持者は日本に入国できるのか、という質問には「入国に関しては、当然ながら国の関与があります。そうしたことから政府においてイニシアチブを取っていただき、9月からコロナ対策調整会議を実施しています。東京都、国、組織委員会の3者に加え、日本オリンピック委員会(JOC)、日本パラリンピック委員会(JPC)からも出席があります。観客のコロナ対策など、今後の会議で検討される予定です。状況に応じた様々な対策の検討が行われる予定です」と高谷氏。まだ現時点で、皆様にお伝えできるものはありませんのでご了承ください、としている。

今回の申込期間内では判断できない、という人も多いと思われるが、という質問に鈴木氏は「現時点では、大会の延期にともなう払い戻しを希望される場合は、この期間でお手続きをお願いできれば。もともと延期に関わらず、観戦が難しくなったチケット所有者には、公式のリセールサイトで転売するようお願いする予定でした。引き続き検討していますので、今後のスケジュールなどと合わせて、適宜、またご案内をさせていただければ」と回答していた。