デザイン&アートのフェスティバル 「DESIGNART TOKYO(デザイナート・トーキョー) 2020」が10月23日~11月3日まで開催。
これは、さまざまなジャンルの垣根を超えて、デザインとアートを横断するモノやコトの素晴らしさを発信、共有してゆく活動で、"東京の街全体がミュージアムになる12日間"だそうですが、筆者にはチンプンカンプンで縁がないと思っていました。
ところが、スノーピーク社より、「今回参加するので、のぞいてみませんか」とお誘いが。よい機会だと思って、同社の展示場所へ行ってきました。
スノーピークがこだわること
会場に入ると、「衣食住働遊」というスローガンが目に飛び込んできます。これがコンセプトみたいですね。案内してくれた同社の木下雄斗さんによると、自分たちが課題と考える5つのテーマについて、スノーピークの回答を紹介しているのだと言います。
そもそも、なぜ「DESIGNART TOKYO 2020」に初めて参加したのか聞いてみました。
木下さん: このイベントは東京という、立体的な空間を利用した展示(デザイン)方法です。その考え方は、キャンプ道具だけでなく「体験」も提供する私たちにも通じるものであり、参加するのは自然なことでした。また、スノーピークを知らない、キャンプをしないという方に取り組みを知ってもらう、ちょっとした「きっかけ」になればよいと思ったからです。
あまりアウトドアに詳しくなく、キャンプ経験のない筆者でも、スノーピークがキャンプ道具のメーカーという認識はあります。しかし、それだけではないと、木下さんは言います。
木下さん: 以前は「アウトドアライフスタイルクリエイター」という言葉で自分たちの活動を表現していました。しかし、世の中にさまざまなライフスタイルが浸透し、その定義もいろいろと変化する中で、スノーピークが変わらないのは良くないだろうと判断し、2019年より「人生価値を高める」存在になりたいとしています。
実際、企業理念にも「ライフバリューを提案し実現する」というメッセージが宣言されているのです。
その考えから、前述した、衣食住働遊のテーマごとに提案、実践している取り組みや製品が紹介されているのでした。
日本のローカルに注目
例えば「衣」の展示では、ローカルウェアとして、野良着や農作業に適した衣服を2018年より展開。同時に、ローカルツーリズム、ローカルフードというサービスも提供しています。
木下さん: 佐渡の棚田での「田植え体験ツアー」や「稲刈り体験ツアー」に参加してもらい、その土地の文化や暮らしとつながる体験を通して、日本各地の魅力的な着る文化に関心を持ってもらいたいと考えて企画しています。
この展示だけだと、筆者のような「意識低い」系の人間にはピンと来ないので、より親しみ(?)を持てそうな「働」のブースを見てみました。
いまはテレワークの広まりもあり、オフィス以外で働くことへの理解は進んでいますよね。同社でいえば、新潟の三条市にある本社にはキャンプ場が隣なので、そこで仕事をする社員もいるそうです。
木下さん: キャンプで使うアウトドアテーブルやチェアを導入して、自分の働きやすい空間を作るということ、働くという場面に自然を取り入れることで普段と異なる視点やアイデアが出てくることなどを実現してもらえればうれしいですね。
大事なことは新しい気付きを得ることで、そのきっかけはなんでもよいのですね。今回はスノーピークの展示だけでしたが、当初思い浮かべていたデザイン&アートというものに対する「とっつきにくさ」が、少し崩れた気がします。
とりあえずは、食べることからでしょうか。(小波感)