「挨拶は後輩からすべき」「集合時間の10分前には到着しておくべき」など、「こうしなければいけない」という思い込みを持つことがあります。このような思考は「マスト思考」と呼ばれ、その思考によって無意識のうちに自分の行動を制限してしまったり、思い通りに行かない場合に、ストレスの原因になったりすることがあります。
この対極にあるのが「オーウェル思考」と呼ばれるものです。これは英語の「oh well」(まあいいや)に由来しているとされており、自分の考え方や行動などの許容範囲を広げ、物事に対して、「まあいいや」と思う考え方です。マスト思考の由来となっている「must」(~しなければならない)とは、まさに反対の意味ですね。
この「まあいいや(オーウェル)思考」をすることで、業務の効率化やストレスの軽減など、仕事で活かせるメリットが得られます。ビジネスマンならば知っておいて損はない考え方ではありますが、「マスト思考」の縛りが強く、なかなか「まあいいや」という発想に切り替えられない人が少なくないことが予想できます。
そこで本記事では、「まあいいや思考」の重要性や取り入れ方のコツなどを紹介します。
仕事におけるまあいいいか思考のメリット
マスト思考に縛られていると、守らなくてもよいルールを自分で作ってしまい、考え方や行動を自ら制限してしまいます。その制限によって、仕事の効率や質を落としてしまうこともあるでしょう。
そのため、仕事ではマスト思考を「まあいいや思考」に切り替えるとうまくいくケースがあります。この思考のスイッチをうまく行えれば、仕事でのさまざまなメリットを享受できます。
■集中力がアップしやすくなる
マスト思考に縛られていると、ルールに従った考え方や行動を気にしながら仕事を進めることになります。ルールがあること自体にストレスを覚えるケースも多く、そのストレスが集中力を低下させることもあるでしょう。
しかし、「まあいいや思考」になれば、これらのことを気にする必要がなくなるため、仕事に対する集中力アップに期待が持てます。
■周囲とのコミュニケーションが円滑になる
マスト思考では、他人に自分の考えを押し付けたり、他人の行動にストレスを感じたりすることがあります。これらは周囲との信頼関係を崩す原因となります。周囲との信頼関係が崩れると、うまくコミュニケーションが取れず、必然的に作業効率や仕事の質などが落ちてしまいます。
しかし、「まあいいや思考」では、自分と他人の違いを認識できるため、他人からストレスを感じることが少なく、円滑なコミュニケーションを取りやすくなるでしょう。
■視野が広がる
マスト思考を「まあいいや思考」に切り替えて、不要なルールをなくすことで、考え方や行動に広い視野と柔軟性を持たせられるようになります。
自分独自のルールに基づいたマスト思考に縛られていると、考え方や行動に柔軟性がなくなってしまいます。その結果、視野が狭まってしまうことになるでしょう。そのような問題が解消される点でも、「まあいいや思考」は有益な思考と言えます。
まあいいや思考を取り入れるコツ
周囲とのスムーズなコミュニケーションの実施や、広い視野形成などに役立つ「まあいいや思考」。とはいえ、一度形成された思考のクセを変更するのはなかなか大変です。そこで、「まあいいや思考」になるためのコツやポイントをいくつかまとめましたので参考にしてみてください。
■完璧を求めない
仕事においては効率を重視し、柔軟に仲間と協力して業務をこなしていくことが時には重要となってきます。そのような際に「仕事は完璧にこなさなくてはならない」というマスト思考に固執してしまうと、作業に対して時間がかかりすぎて同僚や上司に迷惑をかける恐れがあります。
目標を高く持つのはいいことですが、それが原因で周囲と無用な軋轢を生んでしまっては意味がありません。「問題がないレベルに仕上がっていればいいだろう」という発想で、チームのメンバーに迷惑をかけることなく、協力して仕事にあたりましょう。
■他人との違いを認識する
人によって考え方や価値観は異なるので、自分が正しいと思っていることが他人にとっても正しいとは限りません。マスト思考を持つ人や完璧主義の人は、自分の考えを他人に押し付けてしまうことがよくあります。その際に、思うように物事が進まなくて強いストレスを感じる場合もあります。
自分と他人は違うということを認識すれば、他人に対して許容できる範囲が広がり、「まあいいや」と思えることも多くなるでしょう。
■「しないといけない」というルールをなくす
マスト思考に縛られていると、「このような場合には、このようにしなければいけない」などの思いこみでルールを作ってしまいます。
しかし、それらのルールには必ずしも守らなければいけないというものは少ないでしょう。それどころか、逆にストレスにもなりかねません。
そのため、マスト思考によって作られたルールをなくすことで、ストレスを受けることが減り、「まあいいや」と思えることも増えていきます。
■心と身体をリラックスさせる
「まあいいや思考」を持つためには、ストレスを溜めないようにする必要があります。しかし、仕事は毎日あり、ストレスを解消できる休日までに、大きなストレスを溜め込んでしまうこともあります。
そのような状況を避けるためにも、アロマで香りを楽しんだり、ホットドリンクを飲んだり、自宅でもできる方法で心と身体をリラックスさせましょう。
まあいいや思考を上手に取り入れよう
マスト思考によって、守らなくてもよいルールに縛られてしまっている人は多くいるでしょう。そのマスト思考を、「まあいいや思考」に切り替えることができれば、仕事でいろいろなメリットを得ることができます。
上手に「まあいいや思考」を取り入れて、柔軟な姿勢で仕事をこなしていけるようになりましょう。