Windows 10のUI刷新プロジェクト「Sun Valley」が注目を集めたが、明確な情報を持ち合わせていないので見送りし、今後のMicrosoft Edgeに加わる変化についてお伝えしたい。すでに、Microsoft Edgeにサインインするアカウントに応じて、「新しいタブ」に現れるコンテンツが異なる仕組みは導入済み。下図はMicrosoftアカウントでサインインしたときの新規タブだ。
ユーザー設定によって異なるものの、アクセス頻度の高いWebサイト、ユーザー自身が取捨選択したニュースや各ニュースカテゴリーが並んでいる。
他方で、AAD(Azure Active Directory)アカウントでサインインすると、office.comにサインインしたときと同じように、直近に参照したOfficeドキュメントが並ぶ(下図)。
Microsoft Graphを活用した社内資源の検索機能なども利用可能だが、ニュース項目も経済やマネーなど、ビジネス寄りのカテゴリーだけ表示されるのは面白い。リモートワークに取り組む読者諸氏にとっても、プロファイルを使って業務時間のオンオフに利用するなど、有用な機能ではないだろうか。
Microsoftが米国時間2020年10月29日に公開した公式ブログによれば、こうしたパーソナライズ機能はダッシュボード化を推し進めるという。
上図は公式ブログから抜粋したもの。「My Feed」の部分が赤罫線で囲まれており、ユーザーがニュースフィードを取捨選択する機能である。既存の「マイニュース」と違うのか現時点では確認できないが、Microsoft Edgeのスタートページをダッシュボード化し、生産性と情報収集の場に切り替える意図は明白だ。
この取り組みは2019年11月から始まっているが、Microsoft 365管理センターでも、新しいタブに表示するコンテンツや、社内情報の有無を選べる。前述した公式ブログの説明によれば、今後、利用可能なトピックを選択する機能も実装されるようだ。
これらの機能は、Microsoft Edgeのバージョン87以降で有効になる。本記事の執筆時点では、安定版チャネルは2020年12月以降に利用可能となるはずだ。毎日のように利用するWebブラウザーの改善は歓迎するところだが、問題はこの先である。
Microsoftは単独の機能を進化させることに長(た)けている反面、ソフトウェアや機能の有機的な連動は不得手だ。ただし近年は、Microsoft Graphによるデータ連携や、散在する情報を集約させて参照性を高めるProject Mocaなど、新たな取り組みも見られる。
「カスタマイズ可能なフィードは、自身が属する業界や企業にもっとも関連する情報を提供する」と説明しているが、現時点では「office.com + カスタマイズ済みニュースフィード」にすぎない。Microsoft Edgeを業務環境のダッシュボードへと変化させるには、Microsoft 365管理センターやMicrosoft Azureダッシュボードのようなカスタマイズ性を追加すべきではないだろうか。