俳優の田中圭が主演を務めるテレビ朝日系ドラマ『先生を消す方程式。』(毎週土曜 23:00~)が、きょう31日にスタートする。

このドラマは、鈴木おさむ氏によるオリジナル脚本。進学校“帝千学園”の3年D組の担当になった教師は皆、短期間で退職。このクラスには大人を追い詰め、壊れていく姿をゲームのように楽しむ生徒が集っており、そんなクラスに、田中演じる新たな担任・義澤経男がやって来るというストーリーだ。

そんな鈴木氏の脚本について、田中は「もう迷子です。久々に、訳の分からないドラマだなというか(笑)」と苦笑いしつつ、「その時の田中圭をどうするかを考える人なので、僕としては毎回、楽しい挑戦になります」と明かした。

さらに鈴木氏に対して、「鈴木おさむという人間性や才能を目の当たりにすると、信じてついていきたくなるし、何かすごいことが起こるんじゃないかと思わせてくれる人」と絶賛した。

■若手との共演「余計なプレッシャーも…」

  • 田中圭

    田中圭 撮影:蔦野裕

――ここまでの撮影を振り返ってみていかがでしょうか。

撮影開始からまだ数日なのですが、「これ最終日?」というくらいの疲労感があって、「どうにかしていかないといけない」とは思っています(笑)。本当は生徒のみんなともっと和気あいあいと話したいのですが、いかんせんシーン的に重かったり長ゼリフがあったりで、余裕がないです。

――生徒役の方々と演技で向き合うことも多いですよね。

やっぱりみんながいてくれて、より一層、義澤という役をつかめたところもあります。とにかく1シーンごとの分量が多いんです。本当に大変なスケジュールですし、結構瞬発力が問われる中で、生徒たちがみんなすごく丁寧にリアクションしてくれるので、うれしかったです。

――若手が多い現場だと思いますが、田中さんはどのように振る舞っていきたいですか。

本当はいらないのですが、どうしても若手の子たちが集まると、先輩として頑張らなければと思います(笑)。少しでも俳優として、みんなに響かせられるような出会いになればいいなと、余計なプレッシャーもちょっと感じつつやっています。せっかく若いときに出会えているので、先輩としても良い刺激をちゃんと与えられればいいなと理想として思っています。でも基本的には、作品が面白ければなんでもいいというスタンスではあるので、みんなにはのびのびやってもらえればいいです。

――若手とやる中で刺激を受けている部分もあるのでしょうか。

ものすごくあります。みんな思った以上に、果敢にトライしてきてくれるので、なんか楽しいなと。自分が20歳ぐらいのときは本当に監督の言いなりというか、監督の言われることを全部やりますという感じでした。でも、みんなどこで考えてきているのかなというぐらいすごく一生懸命やっていて、偉いなと。やっぱり今の若い子は本当真面目だなとすごく思います。

――田中さんご自身は、学生時代に印象に残った先生はいらっしゃいますか。

います。自分がすごく好きだった先生がいて、今でもお付き合いがあって、すごく仲が良いです。(先生が)若かったというのもあるのですが、授業だけして帰るのではなく、生徒1人1人を見てくれる人だったので、素敵だなと。「結婚した」と言われて、「おめでとう」と言っていたら、僕の1個下の学生と結婚していて(笑)。そういうことが本当にあるんだなと思いました。

■「久々に、訳の分からないドラマ」

――今回演じるうえでのこだわりはありますか。

もう迷子です。久々に、訳の分からないドラマだなというか(笑)。「鈴木おさむ、この野郎」という(笑)。この前、少し悩むことがあったので、直接おさむさんに連絡して相談しました。そうしたらおさむさんは、「成立しないこともわかってるけど、せっかくこういう機会で、圭と組むんだからちょっと普通じゃないものをやりたい」と言っていました。「普通じゃないにも程があるだろう」という話なのですが(笑)。

――どういったところで悩んだりしているんでしょうか。

全部なんです。笑顔が多いのですが、ずっと笑顔でいても面白くないとか。基本は笑っているのですが、笑っていることにも意味があるので、それが伝わればいいなと思いながらやっています。フィクションすぎるところをどこまでフィクションじゃないように見せるかというのは、ひとつ作品としてのテーマですし、課題でもあります。でも、もしそれがクリアできたら、すごく面白い作品になると思っています。

――そういった難しい役を演じるうえでの心境はいかがでしょうか。

自分はどうでもいいのですが、とにかくこの作品が面白くなるためにはどうしたらいいかという感じです。「嫌だ」とか「やりたくない」という気持ちは別にないので、そういう意味では楽しいのだと思います。それでも、普通の作品よりはすごく考えることが多いし、プレッシャーとはまた少し違うのですが、疲れます。だから自分の中では、もうこの枠は疲れるんだなと(笑)。ただ、そういう挑戦は中々できないし、若手に戻ったような気持ちです。21年この仕事をやらせてもらって、「こんなにも頭を抱えることがある?」という経験ができているのは、幸せですし、楽しいです。

――放送枠でいうと、今作から放送時間が30分に変更となりましたね。

もちろんこの枠をやっていた者としては、短くなったのは寂しいのですが、その分、展開もスピーディですし濃度濃くやれたらいいなと。正直言えば、短いなとは思いますが(笑)。

――今作で、鈴木おさむさんには、どんなことを期待されていると思いますか。

毎回そうなのですが、「今まで見たことのない田中圭」をやりたいんだろうなと感じています。でも、本当にどうしていいかわからないぐらい迷います。あと、これから先、おさむさんとまた何かやるときに「田中圭に長ゼリフを与えるというイメージだけ1回忘れてくれないかな」というのは常々思っています(笑)。あの人のなかでは「田中圭=長ゼリフ」になっているんです。舞台をやっているときに、「なんでいつもこんな長ゼリフばっかり与えるんですか」と聞いたら、平気な顔をして「だって長ゼリフがあったら、まず長ゼリフってだけでみんなすごいって思ってくれるから、まず“頑張ったで賞”は絶対もらいましょう」と言われました(笑)。

■鈴木おさむ作品は「他の現場ではなかなか経験できない」

――鈴木おさむさんとの付き合いは長いんですよね。

そうですね。おさむさんの作品をやるときは、今回もそうなのですが、他の現場ではなかなか経験できないことが起こります。例えば、おさむさんの強いところで言えば、基本的にオリジナルで作品を書くので、毎回斬新です。「この役は誰にやってもらおうかな」というスタンスではなく、当て書きであることも多いので、それが面白いです。あと、その時の田中圭をどうするかを考える人なので、僕としては毎回、楽しい挑戦になります。

プライベートでも仲良くさせてもらっていて、普通に話していると「そういう発想もあるんだ」とか、自分の人生においてヒントになる発言をさらっとする人で、僕はすごく尊敬しています。こうやって仕事で組むときは、本当にたったの1度も楽をさせてくれなくて、「こんな無茶をさせます?」という感じですが、鈴木おさむという人間性や才能を目の当たりにすると、信じてついていきたくなるし、何かすごいことが起こるんじゃないかと思わせてくれる人です。

――やりがいがあるんですね。

あります。「なかなか難しい」と思う役はあっても、「これどうしたらいいんだろう」と迷子になる作品はなかなかないですし。やりがいはもちろん僕に限らず、みんなもっていると思います。クランクインする前に、(山田)裕貴と話したのですが、出演者もスタッフも全員、「これは自分にかかっている」と思うような脚本なので、みんながそう考えていることが良い方向に転べばいいなと思います。

――作品全体での見どころをお聞かせください。

ちょっと今までにはないような熱血教師で、ほんとうに今までにないようなドラマなんです(笑)。その熱血教師が、最後どうなってしまうのかというのをぜひご覧いただきたいです。

■田中圭
1984年7月10日生まれ。東京都出身。2000年にデビュー。近年の出演作は『おっさんずラブ』シリーズ(テレビ朝日)、『あなたの番です』(2019年 日本テレビ)、『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』(2020年 フジテレビ)、『キワドい2人-K2- 池袋署刑事課神崎・黒木』(2020年 TBS)など。

■『先生を消す方程式。』
テレビ朝日系で10月31日(毎週土曜 23:00~)からスタート。このドラマは、鈴木おさむ氏によるオリジナル脚本で、都内の進学校“帝千学園”が舞台。3年D組の担当になった教師は皆、短期間で退職。実は、このクラスには大人を追い詰め、壊れていく姿をゲームのように楽しむ生徒が集っていた。そんなクラスに、田中圭が演じる新たな担任・義澤経男がやって来る。