就職・転職活動で必ず必要になるのが志望動機です。志望動機では自分の強みや企業への気持ちをアピールすることができます。特に面接の場においては、考えていることを端的に、かつロジカルに面接官に伝える必要があります。
しかし、「伝えたいことは決まっていてもどのように伝えればいいかわからない」と困る方も多いでしょう。本記事では、面接で使える志望動機を作成するコツや実際の答え方、例文もあわせてご紹介します。
志望動機は必ず準備しよう
志望動機は、面接で聞かれる定番の質問です。必ずと言っていいほど聞かれるものなので、面接に臨む前には必ず志望動機を準備しておきましょう。
志望動機は面接の最頻出問題
面接の最初には「自己紹介と簡単な志望動機をお願いします」と聞かれることも多いです。緊張感の漂う面接では、「最初の質問に上手く答えられるか」が重要です。
最初に聞かれる可能性の高い志望動機をしっかりと答えられるように準備をしておくことで、面接全体のリズムを作り、自分に有利な空気に持っていくことができます。
反対に、志望動機を答えるのに失敗すると、その後の答えも曖昧なものになってしまったり、自信のないものになったりしてしまいがちです。
志望動機を聞かれたらしっかりと答えるために、また面接自体を後悔のないものとするために、企業の面接に行く際は必ず志望動機を準備していくようにしましょう。
志望動機を聞かれる理由
そもそも、なぜ企業は面接で志望動機を聞くのでしょうか。面接官(採用側)の視点に立って考えてみます。
採用側は、応募者が「なぜこの企業に応募したのか」を知りたいと思っています。理由を知ることで応募者の就職活動における軸や、他の企業ではなくなぜこの会社を選んだのかという熱意、何を魅力に思っているのかという部分を知れるためです。
応募者の本気度合いや熱意をはかることで、「せっかく採用したのにすぐに辞めてしまう」という事態を防げます。企業は志望動機を通して、「自分の会社に本当に入りたいのか」を見定めているのです。
さらに、志望動機を聞くことで、応募者の強みや興味・関心を知ることもできます。採用側は、求める人物像とマッチしているか、および採用後の活躍が期待できるかを想像できます。
つまり、会社が欲しい人材かどうかを判断する材料として、志望動機を聞いているのです。こう考えると、志望動機の質問は、応募者の熱意や志望度の高さ、採用後の姿などを一度に知れる重要なものであると言えます。
面接官が見ているポイント
面接官は志望動機を聞く際、応募者の「話し方」や「雰囲気」といった、履歴書では判断できなかった要素を重要視しています。営業や接客などの顧客と直接触れ合う職種の場合には、面接の姿を通して“どのように働いてくれそうか”をイメージしているかもしれません。
ほかにも「論理的に話せるか」「自分の考えを人にわかりやすく伝えられるか」といった所も見ています。採用をした場合には、コミュニケーションを取りながら一緒に働く会社の一員となりますので、論理的に話せるか否かは重要な要素です。
もちろん、先ほどご紹介した熱意や志望度の高さ、応募者がどのような能力を持っているかなどといった要素も重要です。
履歴書やESと違っても大丈夫?
多くの場合、志望動機はESや履歴書でも書いていることが多いです。そのため「同じ質問には同じように答えなければならない」と思っている方も多いでしょう。
しかし、必ずしもそうとは限りません。もちろん、志望した理由がまったく異なっていると採用側も混乱してしまいますが、無理して一言一句を同じにすればいい訳ではありません。特に、ESや履歴書の内容を暗記して棒読みのような返答になってしまうと、担当者に熱意が伝わりにくくなります。
面接は人と人とのコミュニケーションの場であることを忘れず、文章では伝え難かった+αの部分を面接で答えられるようにしましょう。
志望動機の答え方のポイント
では、実際に面接で志望動機を聞かれたときにはどのように答えるといいのでしょうか。ここでは、志望動機の答え方のポイントを紹介します。
結論から話す
志望動機を聞かれた際には、まず結論から話すことを意識しましょう。最終的に何が伝えたいのかわからないまま回りくどい話を続けてしまうと「何を言いたいのかわからない」や「論理的に話すことができない」といった印象を採用側に与えてしまいます。
簡潔に結論を述べたあと、なぜそう思うに至ったか、具体的なエピソードを交えた根拠を説明する――といった流れにするのがベターです。
熱意を正直に伝える
企業は志望動機を通して、応募者の入社にかける熱意を知りたがっています。そのため、「この会社に入りたい」という熱意を正直に伝えるようにしましょう。面接は限られた時間しかありませんので、正直な気持ちを口に出すことが大切です。
答える時間は1分前後を目安に
「あのスキルもアピールしよう」「あのエピソードも伝えよう」と情報を詰め込みすぎると志望動機を話す時間が長くなってしまいます。
採用側も一人の人間ですので、1日に何度も面接を行うだけでも疲れてしまいますし、長い話を聞くと印象が薄れてしまいます。伝えたい内容は整理して、1分前後で伝えられるようにしましょう。
棒読みにならないように注意!
志望動機を伝えるために何度も練習して臨むと、かえって熱量が損なわれ、逆効果になってしまうことも。志望動機を答えるときは、棒読みになりすぎず目の前の採用担当者に話しているということを忘れないようにしましょう。
志望動機の作り方
次に、志望動機の作り方をご紹介します。漠然と「入社したい」という気持ちはあっても、志望動機を作るのに苦戦しているという方も多いのではないでしょうか。一つひとつ要素を整理することで、わかりやすい志望動機を作れます。
就職先を選ぶ「軸」を明らかにする
まずは、就職先を選ぶ軸を明らかにしましょう。自分はどのような会社に入りたいと思っていて、なぜこの業界を志しているのか、そのきっかけはどのようなものか。一度紙などに書き出して整理してみましょう。
会社を知ったきっかけは「CMが印象的だった」や「とにかく好きな商品がある」といったものでもかまいません。飾りすぎず、まずはありのままを書いてみましょう。
企業の特徴を研究する
次に、応募先の企業の特徴を研究しましょう。自分がその企業に合うか見極めるためにも企業研究は大切です。企業のHPやパンフレット、説明会のときに話していた内容を一度まとめてみましょう。
その会社はどのようなサービスを行っていて、どの部分が他会社と違うのでしょうか。比較をしながら特徴をあげることで、他社にはないその企業の魅力に気付くかもしれません。
自分の強みを文章化する
自分の強みを文章化しましょう。自分はどのような能力を持っていて、それはどのような経験から育まれたものでしょうか。その際に、実際の数字なども一緒に答えられると説得力が増します。
企業の特徴と自分の強みを結びつける
ここまで書いてきた要素を結び、実際に動機を作る段階に入ります。企業の特徴と、自分の強みを結びつけてみましょう。例えば、「顧客との信頼関係に重きを置いた営業方法が特徴」という場合には、自分のコミュニケーション能力が生かせるかもしれません。
会社の特徴と自分の強みを結びつけることで、自分とその会社でしか作ることができない志望動機となります。
入社後のビジョンを伝える
最後に、入社後自分がどのように活躍していきたいかというビジョンを明確に伝えましょう。先ほどの段階で結びついた自分の能力を生かしてできることを述べることで、採用側も入社後の姿を想像することができ、採用した後のミスマッチを防ぐことにもつながります。
以上の手順を踏むことで、「入社したいと思ったきっかけ」「この会社でなければならない理由」「入社後どのように活躍したいか」という要素のそろった志望動機となります。
例文 : 面接で使える志望動機
面接で志望動機を話す際には、先述した通り1分前後がいいとされています。1分前後に抑えるためには、文字数で250字程度が最適です。
しかし、250字ですべてを詰め込もうとしては、かえって内容がわかりにくくなってしまうかもしれません。細かな部分は面接官からの質問で補足することを考え、ざっくりとまとまったものを制作するといいでしょう。
実際に面接で使える志望動機の例をご紹介します。志望動機の作成に迷ってしまったら、ぜひ参考にしてみてください。
すでに経験のある業種での面接(住宅業界を例に)
より一人ひとりの顧客に密着した営業を行いたいと思ったからです。
前職では単身者向けのワンルームを中心とした営業を行っていました。
上京したばかりの学生を中心に業務を行う中で、雑談から真の要望を探るコミュニケーション能力や、2~3月の繁忙期でも対応できるマルチタスク能力を得ることができました。
御社では戸建て新築を中心に地域に根付いた工務店として、顧客とのコミュニケーションを重視した営業手法をとっていると伺っております。
前職の経験も生かしながら、さらに顧客のニーズへと耳を傾けより良い関係性を築き、豊かな生活ができる家作りの助けになりたいと思い、志望しました。
未経験業種での面接(教育業界を例に)
子どもが笑顔になる社会を作るという御社の企業理念に感銘を受けたからです。
前職では塾講師として週に5つのクラスを持ち、授業をしてきました。
指導にあたる中で子ども一人ひとりの生活についてなど、塾講師としては踏み切れない部分を感じもどかしさを感じていました。
御社では子どもが笑顔になる社会を作るという理念をもとにサービスを提供し続けています。
実際の子どもたちと触れ合った経験を生かし、自分もそのサービスを作る一員になりたいと思い志望しました。
NG例文 : 面接で使うべきでない志望動機
次に、志望動機のNGについてご紹介します。志望動機を考える際の参考にしてください。
休日や福利厚生のことばかりに触れる
働く上で、休日の多さや福利厚生の充実はたしかに魅力のひとつです。しかし、企業の魅力が休日の多さや福利厚生だったからといって、志望動機でそのことばかりに言及するとあまりいい印象は抱かれません。
「休むことばかり考えている」や「実際の業務について何も言わない」と思われてしまっては、実際に採用した後どのように活躍してもらえるかという未来像が見えづらくなるため、選考に不利になってしまいます。一人ひとりが働きやすい環境作りを会社は常に行っていますが、慈善事業ではありません。
福利厚生に言及する前に、自分が会社にどれだけ貢献できる人間か、熱意や能力をアピールする場だということを頭に入れておきましょう。
前職の嫌なところなど、マイナス面ばかり言及する
転職活動の場合、前職を経たからこそ新しい企業に求めるものが明確になったという方も多いのではないでしょうか。しかし、それを説明するときに前職の愚痴ばかりになってしまってはいないか一度見直してみましょう。
「あまり休むことができなかった」「チームの雰囲気が悪かった」などマイナスなことばかりに言及していると、志望動機自体も前向きなものになりませんし、聞いていても暗い気持ちになってしまいます。
「社内の空気を重くしていまう人」や「うちの会社に入っても文句を言うかもしれない」というような悪い印象を持ってしまうかもしれません。
前職の内容に言及するときはマイナス面ばかりを述べていないか一度確認しましょう。前職に触れる場合は、あくまで自分を成長させてくれた場所として感謝を持って説明するのがいいでしょう。
その会社でなければならない理由がない
よい志望動機でも、内容が業界中心となっていたり、どこの会社でもいいようなものだったりすると採用側は「うちの会社じゃなくてもいいのではないか」と思っていしまいます。志望動機では「他の会社ではなく、この会社に入りたいのだ」という熱意を伝えることがなにより大切です。
完成した志望動機を見直し、この会社でなければならない理由がちゃんと説明できているか確認するようにしましょう。
受け身な姿勢
未経験業種や新卒でよく見られるパターンですが、「勉強させてもらいたい」や「成長したい」という内容が多すぎるのもよくありません。会社は学校ではありません。採用したいのは自分から学び、活躍する意欲のある人です。
「自分の能力をアピールしなさい」と言われると、つい謙遜してしまう気持ちもわかりますが、面接の場ではそれを抑え「自分はこの会社で活躍できるポテンシャルを持った人物である」とアピールするようにしましょう。
未経験業種の場合は、すでに業務に関する勉強を行っているということに言及すると前向きな姿勢が伝わり、好印象です。
棒読み・テンプレート化しているのが面接官に伝わってしまう {#ID12}
先述したように、面接は発表の場ではなく、採用担当者と応募者が対話を重ねる場です。用意してきた志望動機を話すときも決して独りよがりなものにならないよう、相手の反応を確認しながら話すようにしましょう。あえて志望動機ですべてを言おうとせず、自己PRや面接官から受けた質問で補足する形をとってもいいでしょう。
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志望動機は会社に自分の熱意や強みを伝える貴重な機会です。企業側も志望動機を通して応募者の人物像や未来の姿を判断し、採用後のミスマッチを防ごうとしています。「この会社に入りたい」という熱意が伝わる志望動機を作りましょう。
志望動機を作るためには、自己分析や会社の分析もかかせません。自己の強みと会社の特徴を結びつけた自分だけの志望動機を作るようにしましょう。