複数の家電量販店に取材に行った際に新型コロナウイルス蔓延以降の動向を尋ねると、総じて「アウトドア関連製品の売れ行きが伸び悩み、逆にインドア関連でさまざまなジャンルの製品が伸びた」と話してくれます。そこで今回は、ジョーシン浦和美園イオンモール店を訪ねて、withコロナ時代に人気を集めた家電ジャンルを取材しました。多岐にわたるため、今回は調理家電に絞ってレポートします。
店頭スタッフの高橋則子氏によると、withコロナ需要のピークは緊急事態宣言が解除された6月で、特別定額給付金を元手に目当ての品を買いに来る人が多かったといいます。「例年、調理家電は秋に盛り上がりますが、そのニーズが前倒しで来た感じですね。そのぶん、いまは落ち着いている印象です」とのこと。
withコロナ需要で掘り起こされたトレンドには定着したものもあり、普段以上に買いやすい今秋の狙い目を探るポイントになりそうです。ただ一方で、冷蔵庫のように現在も供給網が完全復旧しておらず、常態的に品薄なジャンルの製品もあり、やはり例年とは違った様相を呈しているそうです。
それを踏まえて、「withコロナ時代に人気を集めた調理家電」を6ジャンル見ていきましょう。
※本文と写真で掲載している価格は、2019年10月20日14:00時点のもの。日々変動しているので、参考程度に見てください。
数年ぶりに需要が復活した「ホームベーカリー」
高橋氏がもっとも意外だったのは「ホームベーカリー人気の復活」とのことです。「数年前のブームが去ったあとは、何カ月に1個売れるくらいでしたが、毎週コンスタントに売れるようになりました」。
米粉パンが作れる4万円台の高級モデルからシンプルな1万円台モデルまで、まんべんなく売れるようになり、自炊需要の高まりを感じたようです。その流れが一部定着している傾向もあるとか。
参考までに、もちやうどん、パスタも作れるパナソニックの上位モデル「SD-BMT2000」は税込み44,900円でした。
時短需要の高まりから売れ行きが伸びた「オーブンレンジ」
調理家電の定番であるオーブンレンジも高級モデルを中心に売り上げを伸ばしましたが、自炊重視の傾向とは別の理由が隠れているようです。「自粛期間に家にいる時間が増えたことで、仕事に家事にと、逆に時間に追われるようになった人も少なからずいます。いろいろな料理を手早く作れるということで、上位のオーブンレンジに乗り換えたいという相談をよく受けました」
10万円前後の高級モデルが伸びた背景には特別給付金もありますが、全体的には3万~5万円台のモデルが供給不足となっていることも関係しているといいます。「本来のボリュームゾーンのモデルがなかなか入ってこないんです。その傾向は現在も続いています」
高級モデルで人気を牽引したひとつが、シャープのウォーターオーブン「ヘルシオ AX-XA10」です。税込み価格は145,000円でした。
調理の幅を広げる「圧力鍋」が人気、「炊飯ジャー」も高級路線がヒット
逆に、手の込んだ料理を作りたいというニーズで売れ行きを伸ばしたのが圧力鍋です。「前からじわじわブームが来ていたのが、新型コロナでグンで目立った印象ですね。無水調理も含め、多彩な調理が手軽に楽しめるモデルが増えたのもポイントだと思います」
象徴的なモデルとして、象印マホービンの「自動圧力IHなべ 煮込み自慢 EL-MB30」を挙げてくれました。税込み価格は37,800円です。
特別給付金の効果が強く表れたのは炊飯ジャーです。タイガー魔法瓶の「炊きたて ご泡火炊き JPL-A100」のような10万円クラスのハイエンドモデルが際立って売れたとのこと。JPL-A100の価格は税込み99,800円でした。
1万円級では、コンパクトな「ホットプレート」や「炭酸水メーカー」が売れた
高額モデル以外で動きが活発だったのはホットプレートです。「家での食卓のバリエーションが増えるということで、たこ焼きなどのオプションプレートを多くラインナップするモデルが人気を集めました。ファミリー向けだけでなく、一人暮らしや二人暮らし用のコンパクトなモデルも安定して売れています」
たとえば、イデアインターナショナルの「BRUNO BOE021」は、幅375×奥行き235×高さ140mmの小ささと、デザイン性から若い人を中心にヒットしているそうです。税込み価格は9,680円。
最後に挙げたのが炭酸水メーカー。新型コロナの動向とは無関係に売れ続けているといいます。「健康志向の高まりから、昨年から現在まで安定して人気があります。ただ、現状の売れ方は新型コロナを受けて、より健康志向が高まったというのも背景にあるかもしれませんね」
とくに人気があるのは、ソーダストリームの「Spirit スターターキット SSM1068」とのこと。税込み価格は15,400円でした。