羽生九段、豊島将之竜王、永瀬拓矢王座が3連勝で並ぶ
渡辺明王将(名人・棋王)への挑戦権を争う、第70期王将戦挑戦者決定リーグ(主催:スポーツニッポン新聞社・毎日新聞社)の▲羽生善治九段(2勝0敗)-△広瀬章人八段(1勝1敗)戦が10月29日に東京・将棋会館で行われました。結果は83手で羽生九段の勝利。3連勝で豊島将之竜王、永瀬拓矢王座と並び首位に立っています。
本局は羽生九段の先手で相掛かりの将棋となりました。序盤から積極的に動いていったのは羽生九段。角交換から飛車取りに角を打って、相手の飛車に圧をかけます。
この構想が功を奏し、次第に広瀬八段の飛車は可動域が狭まっていきます。一方の羽生九段の飛車は、敵陣の急所をにらむ絶好の位置に転回。羽生九段がリードを奪いました。
飛車・角・銀・桂を見事に活用し、万全の攻撃陣形を築いた羽生九段。いよいよ総攻撃を仕掛けます。まずは右桂を捨て、角を銀と刺し違えます。手にした銀で相手玉を追い詰めると、今度は飛車を見捨てる強攻。流れるような攻めが炸裂しました。
苦しい形勢ながらも、一手緩むと逆転という恐ろしい勝負手を広瀬八段は放ちます。しかし、羽生九段は冷静でした。
と金で相手玉を追いかけ、飛車を手にし、その飛車を攻防に働く絶好のポジションに放ちました。この手が、自玉の憂いをなくしつつ、相手玉を追い詰める決め手。最後は歩を垂らし、広瀬玉を受けなしにして勝利を収めました。
この勝利で羽生九段は無傷の3連勝。豊島竜王、永瀬王座と並んで同率首位に立っています。11月3日に行われる次局では、永瀬王座と対戦します。勝った方が挑戦権獲得に大きく近づく大一番です。