米Appleが10月29日 (現地時間)に発表した同社2020年度第4四半期(2020年7月〜9月)決算は増収減益、売上高・利益ともアナリストの予想を上回った。新型コロナウイルスの影響でiPhoneの新製品の発売が例年に比べ約1カ月遅れ、今年は7〜9月期の売上高にiPhoneの新製品が含まれなかったが、売上高が7〜9月期の過去最高を記録した。しかしながら、iPhoneの売上高が市場予想を下回り、また10〜12月期についてガイダンスの公表を見送ったことから、先行きの不透明感が強まり、29日のNASDAQ市場の時間外取引でAppleの株価が下落した。
7〜9月期の売上高は、前年同期比1%増の646億9800万ドル。純利益は同7%減の126億7300万ドルだった。希薄化後の1株あたり利益は0.73ドル。市場予想の平均は、売上高637億ドル、1株利益0.70ドルだった。
7〜9月期のAppleは、8月に第10世代Intel Coreを採用した27インチ「iMac」を発表、「Final Cut Pro X」をアップデートした。9月にオンラインイベントを開催し、「Apple Watch Series 6」「Apple Watch SE」と第8世代「iPad」を発売した。以下は7〜9月期の製品カテゴリー別の売上高(増減は前年同期比)。
- iPhone:売上高264億4400万ドル (21%減)
- Mac:売上高90億3200万ドル (29%増)
- iPad:売上高67億9700万ドル (46%増)
- ウェアラブル/Home/アクセサリ:売上高78億7600万ドル (21%増)
- サービス:売上高145億4900万ドル (16%増)
在宅学習や在宅ワーク、デジタルクリエイティビティをサポートするツールとして、MacとiPadが販売を伸ばした。Macとサービスの売上高は過去最高。iPhoneは市場予想 (279億ドル)を下回ったが、今年は5Gへの移行の年であり、予想よりも多くのiPhoneユーザーが新製品への買い換えを計画していた可能性がある。
地域別では、米国、欧州、日本と中国を除くアジア太平洋地域の売上高が9月期の最高だった。中国は前年同期比29%減の79億4600万ドル。iPhoneが売上の多くを占める地域であることからiPhone新製品が登場しなかったのが響いたが、Appleの予測より小幅な減少にとどまった。