「月給24万円」の場合の手取り額はいくらになるかご存知でしょうか?
手取り額が「実際にもらえる額」とわかっていても、実際には月給のうちどれだけの額が手元に残り、どれだけの額が天引きされているかわからない、という方は多いかと思います。
本記事では、月給から抜かれる税金等の細かな項目、手取り額、その手取り額での実際の生活イメージを紹介します。新社会人の方も、社会人生活に慣れた若手社員の方も、自分の生活に関わる大切な給料について考えてみませんか?
月給24万は毎月24万円もらえるということではない!
月給24万円とは毎月手元に入るお金(手取り)が24万円ということではありません。手取りとは、月給のうち税金やその他の費用を引いて実際に手元に入ってくるお金のことです。月給からは諸費用が引かれるので、手取りは月給より少なくなります。
基本給と月給の違い
就職・転職活動をしていると求人欄や募集要項に「基本給○○円」と書かれているのを目にしたことがあるのではないでしょうか。ここで言う「基本給」とは、単純に働いた分の給料を指し、そこに残業代や、交通費、資格手当・住宅補助といった毎月固定で提供される額を総計したものが「月給」となります。そのため、基本給より月給のほうが高くなります。
会社によっては、基本給に見込み残業代(一定時間までの残業代)が含まれていることもあります。そうした場合には「月○○時間の残業代含む」などと記載されていることがほとんどなので、よく確認しましょう。
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月給24万の手取り額は約20万
仮に東京在住、40歳未満、扶養家族なしの方であれば、月給24万円の手取り額は約20万円となります。手取り額は給与明細書で確認可能です。月給は、「総支給金額」の欄に書いてあり、手取り額は「差引支給額」の欄に書いてあります。
月給から天引きされる項目まとめ
では、実際に月給からは何が引かれているのでしょうか。くわしく見てみましょう。
健康保険
日本の社会保障制度では、けがや病気で医療費が必要となったときのために健康保険という制度があります。労働者はこの制度に強制的に加入することになっています。また扶養している家族にも適用されるので、扶養家族が多いとその分引かれる健康保険料は高くなります。
加入する健康保険は従業員700名以上の会社に勤める人が「組合健保」で、公務員は「共済組合」中小企業に勤める人は「協会けんぽ」となります。個人事業主や無職の人は各自治体の「国民健康保険」に加入します。
どの保険に加入するかによって保険料が変わります。一般的に引かれる健康保険料は、給与の3~13% ほどです。
介護保険
介護保険は、介護が必要となったときに保険金を受給できる制度です。高齢になれば介護の可能性が高まることから、保険料の支払いは40歳になった月から始まります。
雇用保険
雇用保険は失業したときや、再就職のための教育を受けるときに受給できるものです。引かれる保険料は、給与の0.3% です。
厚生年金
年金は65歳から受け取ることができます。会社に入る前からも年金が引かれていたはず! と思った方もいるのではないでしょうか。20歳になった段階で支払いが必要になるのが国民年金です。働き始めてから支払う厚生年金は、国民年金に上乗せして受給できる年金のことで、会社員は必ず支払う義務があります。保険料は給与や賞与から「標準報酬月額」「標準賞与額」を算出して、その金額に18.3% をかけた額です。
所得税
所得税は、個人の所得にかかるお金です。所得が多ければ多いほど高くなります。所得税が引かれるのは給与の5~45% とかなり幅広くなっています。会社に勤めている人なら毎月の給与から会社が自動的に所得税を納めますが、自営業の人は1年分の所得と税金の額を計算して申告する確定申告が必要です。
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住民税
住民税は、住んでいる都道府県や市町村に納める税金です。納める額は各自治体によって異なります。ちなみに、住民税は前年の所得に応じて計算されますので、前年の所得がない新卒の方は住民税が引かれず、入社2年目以降から引かれるようになります。
その他
会社によってはこの他に積立金や、社宅の家賃、労働組合費が引かれる場合があります。
月給24万の生活レベルは?
では、月給24万円の生活は一体どのようなものでしょうか?
20代で月給24万は多い? 少ない?
令和2年度の厚生労働省賃金構造基本統計調査によると、20代前半の平均月給は22万円万円であるため、月給24万円は平均より少し上回っています。しかし、20代後半になると、平均月給額は25万円となっていますので、20代後半で月給が24万円の場合は、平均よりもやや少ない言えます。
一人暮らしの場合
一人暮らしでは家賃や光熱費がかかります。その点から実家暮らしより月々の出費は多くなってしまいます。
目安の家賃は手取りの3分の1程度と言われているため、月給24万円、つまり手取り約20万円ならおおよそ6万5千円前後の家賃で暮らすのが現実的でしょう。都心の駅近物件に住むのは難しいかもしれませんが、場所を選べば都内にも通える家が見つけられそうです。
家賃を6万5千円として、1カ月の生活費のシミュレーションをしてみましょう。
家賃(6万5千円)
+水道光熱費目安(1万2千円)
+食費(4万5千円)
+通信費目安(1万3千円)
+生活日用品目安(4000円)
+NHKとBSのテレビ視聴料(2170円)
+交際費(3万5千円)
=17万6170円が月の支出となります。
上記のシミュレーション通りの生活費であれば、毎月2万円程度は貯金に回せます。しかし、交際費や趣味のお金、思いがけない出費を考えると贅沢な暮らしはできないかもしれません。贅沢をしているつもりがなくても飲み会に頻繁に参加したり、コンビニで物を買うことが多かったりする人は、あっという間にお金がなくなっている場合がありますので気をつけましょう。
実家暮らしの場合
実家暮らしの場合は、水道光熱費や家賃がかからないので一人暮らしの人と比べて自由に使えるお金が10万円ほど多くなります。しかし、家に一定の金額を入れている場合は、その額によって生活のレベルや使えるお金は変わってきます。自由に使えるお金が多いからといって無駄遣いしないように気をつけましょう。
貯金はどのくらいするべき?
将来のために貯金はしておいたほうがいいとはいえ、今の生活も楽しみたい、どのくらい貯金をすべきなのかわからないといった方も多いのではないでしょうか。
仮に具体的な貯金額を知るためには長期的に考えることが必要です。月々2万円貯めると40年後には960万円の貯金ができることになります。そこからさらに5,000円増やして、月々2.5万円貯めたとしたら、1,000万円の貯金ができます。
前述の一人暮らしの生活費シミュレーションで残った額がちょうど2万円です。さらに、20代の場合は給料が上がっていくことが考えられます。まずは毎月黒字を目指し、徐々に貯金額を上げていきましょう。
月給24万から所得を上げるには?
もっと貯金したい、お金を使いたい、そのためには所得を上げることが必要となります。所得を今よりも上げるためには何をすればいいのでしょうか。
昇級する
一般的に、昇級することで給料が上がります。昇給のスピードは会社によりますが、会社によっては、条件を満たしていくことで次々と昇級できる場合もあります。
資格を取得する
会社によっては、指定した資格を取得すると資格手当がもらえることがあります。月々の給料にプラスされる場合もあれば、報奨金としてお金を受け取れる場合もあります。仕事のスキルアップにも役立ち、しかもお給料が増えるので、資格手当がある場合は資格取得に挑戦することをおすすめします。
副業をする
最近では副業可能な会社が増えてきました。人気の副業は、ライティングやポイントサイトなど気軽に自宅でできるものが多いようです。他にも翻訳や農業などさまざまな副業があります。
自分の会社の就業規則で副業が認められているか確認した上で、挑戦してみるのもいいでしょう。しかし、新入社員やまだ今の仕事に慣れていない場合は、本業にしっかりと取り組み、余裕ができたら副業を始めることが大切です。
投資をする
投資はリスクが高いイメージがありますが、つみたてNISAやiDeCoなど、リスクを抑えつつ少額から行える投資もあります。塵も積もれば山となるので、低額でも若いときから投資を行うことはおすすめです。一気に稼げるといわれる投資はその分ハイリスクなので、しっかりと理解した上で行うようにしましょう。
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月給24万円の手取り額は約20万円でした。月給から引かれるものには意味があるとわかると、実際に受け取れる給料が月給から目減りしていることにも納得がいくと思います。また貯金をしていくためには、適度に支出を抑えてみるとよいでしょう。
おわりに : 同世代・同業種の月給平均は?
自分の手取り額についての理解を深めると、「同世代や同業種の月給平均は? 」と気になる方もいることでしょう。弊誌では、年代・業界別の月給についても紹介しておりますので、そちらもあわせてご確認ください。
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