東京2020組織委員会は28日、オンラインで実施した「フィールドキャスト共通研修」を報道陣に公開した。同研修は、大会本番に必要な知識の習得とフィールドキャストの一員としてのマインドの醸成を目的としている。
気を引き締めるフィールドキャストたち
来夏に迫った東京2020大会を成功に導くため、ボランティアの方たちを対象にした研修が粛々と進んでいる。フィールドキャストとは東京2020組織委員会が募集主体の大会ボランティアのことで、観客サービスや競技運営のサポート、メディアのサポートなど、大会の運営に直接携わる重要な役目を担う。約8万人が登録されている。
今回のフィールドキャスト共通研修は、2020年2月に予約が済んでいながら、新型コロナウイルスの影響でまだ参加できていない約5,000人を対象にしたもの。28日の参加人数は170名(午前実施回に約100名、午後実施回に約70名)だった。本日までの累計参加者は約500名で、このオンライン研修は12月まで実施される。
冒頭、まずは「フィールドキャストとして期待すること」と題したセッションにおいて、登壇した講師から大会を迎えるための心構えが紹介され、スローガンなどの確認も行われた。東京2020大会ビジョンは『スポーツには世界と未来を変える力がある。』。そして『史上最もイノベーティブで、ポジティブな改革をもたらす大会』という目標を掲げている。
このほか、Tokyo 2020 Spiritは『One Team for Our Dreams ~みんなの夢を実現する、一つのチーム~』。Respect/敬意、Courage/勇気、Professionalism/責任、Change/改革、の気持ちを持ってみんなで大会をつくっていきましょう、と画面の向こうのフィールドキャストに呼びかける講師たち。
このあと国際オリンピックの成り立ち、および我が国とオリンピックの歴史について分かりやすく解説。時おり、オリンピックにまつわる裏話があったり、ボランティアの知識欲をくすぐるようなクイズが出題されたり、また過去大会の映像が参照されるなどして、楽しく学んでいける雰囲気がつくられていた。 後半はパラリンピックに関する歴史を詳しく紹介。パラリンピックにはクラス分けがある、といった基礎知識から始まり、最終的にはどのようなマインドで大会のサポートに臨んだら良いか、個々人が深く考えるきっかけを提供する流れになっていた。
プログラムの終了後、研修に参加した2名の学生が報道陣の質問に回答した。横浜の18歳の男子学生は「内容がとても身にしみました。障害者に対する気持ち、思いやりを学んだ。今後、真摯な対応を取れるように頑張ります」とコメント。また、大阪府の女子学生は「オンラインで初顔合わせとなり、一緒に頑張ろう、というワクワクした想いを抱くとともに、あらためて気持ちが引き締まりました」。
今大会は、新型コロナウイルスとの戦いの最中で開催される。男子学生は「不安はありますが、選手も観客も一丸となって、消毒、マスクといった対策を徹底することで、みんなで楽しめる大会にしていければ」、女子学生は「過去に例がないような状況で大会が開催されます。誰にとっても忘れられない大会になるはず。しっかりサポートしていきたいです」と答えていた。
フィールドキャストに関しては今後、2021年3月~5月にシフトが決まり、4月から役割別研修とリーダーシップ研修を開始、5月にはユニフォームなどが配布され、6月には会場別研修がスタートする予定となっている。