米AMDは10月28日(現地時間)、新世代のデスクトップPC向けGPUとして「Radeon RX 6000シリーズ」を発表した。GPUアーキテクチャは「RDNA 2」で、リアルタイムレイトレーシングに対応。Radeon RX 5000シリーズと比較して電力当たりの性能を50%以上も向上させたという。

  • Radeon RX 6000シリーズのグラフィックスカードを公開する米AMDのLisa Su(リサ・スー) CEO

    Radeon RX 6000シリーズのグラフィックスカードを公開する米AMDのLisa Su(リサ・スー) CEO

発表されたRadeon RX 6000シリーズのラインナップは計3モデルで、まずは11月18日に「Radeon RX 6800 XT」と「Radeon RX 6800」の2モデルを発売し、12月8日に最上位モデルの「Radeon RX 6900 XT」を発売する。グラフィックスカード製品の参考価格はRadeon RX 6900 XTが999ドル、Radeon RX 6800 XTが649ドル、Radeon RX 6800が579ドル。

  • RDNA 2アーキテクチャでは電力当たりの性能が前世代から約54%向上した

Radeon RX 6000シリーズが採用するRDNA 2アーキテクチャは、発売が迫る次世代ゲーム機「PlayStation 5」や「XboxシリーズX/S」のグラフィックスチップの基盤にもなっているとAMDは説明している。トピックとなるのはライバルNVIDIAのGeForce RTXに対抗するリアルタイムレイトレーシングへの対応だ。

  • Radeon RX 6000シリーズのGPUパッケージ

  • サイズ感がわかるように、CEOが手にしているのがRadeon RX 6000シリーズのGPUパッケージ

GPUの製造プロセスはRadeon RX 5000シリーズから引き続き7nm。トランジスタ数は268億個。PCとの接続バスインタフェースはPCI Express 4.0。Ryzen 5000シリーズCPUと組み合わせた際の性能最適化もうたう。新技術としてGPU内に「Infinity Cache」と呼ばれるキャッシュメモリを搭載し、メモリアクセス性能の向上と省電力化の両方を実現したという。Infinity Cacheは具体的には(今回のRadeon RX 6000シリーズでは)VRAMとして搭載する256bit接続のGDDR6の前レベルに置かれた128MBのキャッシュメモリ(帯域幅は384bit GDDR6の2.17倍)で、ここに収まるデータは高速で扱える一方、従来のVRAMへのデータ転送は抑えられ省電力化を図れるというもの。

  • Radeon RX 6000シリーズで新たに搭載するInfinity Cache技術の効果。簡単に言えばCPUの共有キャッシュのGPU版といったところだろうか

Radeon RX 6000シリーズのラインナップ各モデルの主な仕様等は以下の通り。

Radeon RX 6900 XTは、Compute Unit数が80基、ゲームクロックが2015MHz、ブーストクロックが2250MHz、Infinity Cacheが容量128MB、VRAMが容量16GBのGDDR6、消費電力が300W。GeForce RTX 3090をターゲットに、同等の性能を持つと説明している。12月8日に発売し、参考価格は999ドル。

  • Radeon RX 6900 XTの概要

  • AMDによるRadeon RX 6900 XTとGeForce RTX 3090の性能比較

Radeon RX 6800 XTは、Compute Unit数が72基である以外はRX 6900 XTと同じ仕様で、ゲームクロックが2015MHz、ブーストクロックが2250MHz、Infinity Cacheが容量128MB、VRAMが容量16GBのGDDR6、消費電力が300W。こちらはGeForce RTX 3080に対抗する性能で、より省電力という。11月18日に発売し、参考価格は649ドル。

  • Radeon RX 6800 XTの概要

  • AMDによるRadeon RX 6800 XTとGeForce RTX 3080の性能比較

Radeon RX 6800は、Compute Unit数が60基、ゲームクロックが1815MHz、ブーストクロックが2105MHzであるほかは、Infinity Cacheの128MBと、VRAMの16GB GDDR6は他モデル同様で、消費電力は250W。GeForce RTX 2080 Tiを4K環境で上回る性能としている。11月18日に発売し、参考価格は579ドル。

  • Radeon RX 6800の概要

  • AMDによるRadeon RX 6800とGeForce RTX 2080 Tiの性能比較

■Radeon RX 6000シリーズの主なスペック
モデル RX 6900 XT RX 6800 XT RX 6800
製造プロセス 7nm 7nm 7nm
トランジスタ数 268億個 268億個 268億個
Compute Unit 80基 72基 60基
Streaming Processor 5120基 4608基 3840基
ゲームクロック 2015MHz 2015MHz 1815MHz
ブーストクロック 2250MHz 2250MHz 2105MHz
Infinity Cache 128MB 128MB 128MB
ビデオメモリ 16GB GDDR6
256bit接続
16GB GDDR6
256bit接続
16GB GDDR6
256bit接続
消費電力 300W 300W 250W
補助電源ピン 2x8pin 2x8pin 2x8pin
カードサイズ 267mm長
2.5スロット
267mm長
2.5スロット
267mm長
2スロット
参考価格 999ドル 649ドル 579ドル
発売日 12月8日 11月18日 11月18日
  • 完全な余談だが今回の発表会、登壇者のTシャツのコマンドが気になって説明が頭に入ってこないという難点が…