一人暮らしの生活費の支出で見逃せないのが、電気代やガス代、水道代などの光熱費です。光熱費を節約するには、生活の中で工夫が必要となります。一人暮らしの光熱費の平均額と、電気代、ガス代、水道代それぞれの節約方法を紹介します。
一人暮らしの光熱費は1カ月でどれくらい?
総務省統計局「家計調査(家計収支編)」(2019年)によると、単身世帯の光熱費の平均額は、1カ月あたり約1万1,652円です。世帯主が34歳までの世帯では約7,264円、35~59歳の世帯では約1万1,743円、60歳以上の世帯は1万3,126円となっています。光熱費は季節や地域によって違いが出るものではありますが、この平均値を目安としてみましょう。
同調査によると、単身者の光熱費の内訳は下記のようになっています。
■電気代の平均額は月5,000~6,000円
同調査によると、単身世帯の電気代の平均は1年間で6万8,399円となっています。 電気代は、1年のうちで暖房を使う冬が最も電気代がかかります。また、全国で見ると、暖房を多く使用する北海道・東北地方の電気代は、ほかの地域に比べて高くなる傾向があります。
エリアによってこのような違いはありますが、平均すれば1カ月の電気代は5,000~6,000円程度といえるでしょう。
■ガス代の平均額は月3,000円
同調査によると、単身世帯のガス代の平均は年間3万6,139円となっています。1カ月あたりのガス代は、月3,000円程度が目安といえます。
なお、プロパンガスはボンベ交換の手間がかかるため、都市ガスに比べて割高となります。
■水道代の平均額は月2,000円
同調査によると、上下水道代の平均は年間2万5,434円となっています。上下水道代は、下水道が整備されている地域か否か、お風呂にお湯を張るのかシャワーなのかなどによっても変わってきます。 目安としては、月2,000円程度といえるでしょう。
電気代を節約するためのポイント
光熱費の平均額がわかったところで、ここからは電気やガス、水道の費用を抑えるための節約ポイントを紹介していきます。
■ポットや炊飯器の保温機能は使わない
電気ポットや炊飯器を使用した際にかかる電気代は微々たるものですが、長時間保温し続けると電気代は高くなります。一人暮らしであれば、お湯を長時間保温しておくより、都度再沸騰させたほうが経済的ですし、ご飯は小分けにして冷凍保存するなど、炊飯器の保温機能を使わないようにするのがおすすめです。
■洗濯はまとめ洗いを基本にする
洗濯機は詰め込みすぎると洗濯効率が落ちますが、少量だからといって洗浄効果が高まるわけではありません。そのため、洗濯は洗濯機容量の7~8割ぐらい洗濯物が溜まったタイミングで、まとめて洗うといいでしょう。電気代のほか、水道代の節約にもなります。
■暖房をエアコンだけにしない
温められた空気は上へ行く性質があるため、エアコンだけに頼ると、足下が冷たく感じて温度を高めに設定しがちです。経済産業省・資源エネルギー庁のウェブサイトによると、シーズン中、毎日9時間エアコンの暖房を使った場合、設定温度が1℃違うと年間で1,430円程の差がでるそうです。こたつなど、電気代が低めの家電と併用することで電気代を節約できます。
■冷蔵庫に食材を詰め込みすぎない
冷蔵庫に食材を詰め込みすぎると冷却効率が悪くなり、消費電力量が増えて電気代が高くなってしまいます。すぐに使わない物は、なるべく冷蔵ではなく、冷凍するようにしましょう。
冷凍庫はたくさん入っているほうが温度を保ちやすく、電気代の節約につながるので一石二鳥です。冷蔵庫は開閉の回数を減らしたり、開けている時間を短くしたりすることでも、電気代の節約になります。
■長時間使わない家電はコンセントを抜く
家電はスイッチを入れていないときでも、待機電力として少しずつ電気を消費しています。待機電力でどのくらい電気代がかかっているかは、「待機電力(W)×使用時間×電力量単価(1kWhあたり)÷1,000」で計算できます。
例えば、テレビの場合、待機電力を0.4W(40型2Kテレビの場合)、1kWhあたりの電力量単価を全国家庭電気製品公正取引協議会「新電気代目安単価」の27円と想定すると、1カ月間で「0.4W×24時間×30日×27円÷1,000=7.776円」となり、電気代は約8円かかることがわかります。
寝る前にテレビのコンセントを抜くなど、長時間使わない家電はコンセントを抜くようにすれば、少しずつですが電気代を節約することができます。
■電力会社との契約内容を見直す
電気代の設定は、同じ電力会社でもいくつかのプランがあります。例えば、時間帯に限らず電気の使用量によって料金が決まるものもあれば、日中の電気代は割高で夜9時~朝9時は割安に電気を使えるプランなど、さまざまな種類があります。自分のライフスタイルに合ったプランに変更すれば、電気代を大幅に節約することが可能です。
また、契約アンペア数を見直すのもおすすめです。アンペア数とは、一度に流れる電気の量を表すもので、この数値が大きいほど同時に多くの電気を使えますが、その分電気代は高くなります。契約アンペア数によって毎月の基本料金が決められている契約の場合、契約するアンペア数を下げることで電気代を抑えられます。一人暮らしでは、一般的に20~30Aあれば十分といえるでしょう。
■電力会社を変える
料金プランだけでなく、契約する電力会社そのものを見直して、電気代を抑える方法もあります。ガス代や携帯電話料金とのまとめ払いで割引が受けられたり、定額で一定量までの電気を使い放題にできたりするなど、さまざまなプランを提供している事業者があります。自分の生活スタイルに合った事業者を探してみましょう。
ガス代を節約するためのポイント
一人暮らしでガスを使うところは、浴室とキッチンが中心です。それぞれの節約ポイントを見ていきましょう。
■お風呂は湯を張らず、シャワーを使う
シャワーは1分間で約10~12Lのお湯を使いますが、一般的な浴槽にお湯を張るには約200Lのお湯が必要です。必要なお湯の量が多いと、当然それを沸かすためのガス代が高くつきますので、一人暮らしではシャワーにしたほうがガス代は節約できます。
■シャワーの設定温度を1℃下げる
お湯の設定温度を1℃下げると、シャワーを使うときのガス代を1分あたり0.2円程度節約できます。小さい額に思えますが、20分シャワーを使ったとして1日あたり約4円、1年で換算すると約1,460円の節約につながります。
■お風呂の追い焚き機能を使わない
経済産業省・資源エネルギー庁によると、温度が4.5℃低下した湯船のお湯200Lを1日1回追い焚きした場合と追い焚きを使わない場合と比べたら、追い焚きを使わないと年間で約6,190円分のガス代が抑えられます。お湯に浸かりたい場合でも追い焚きを使わないようにして、ガス代の節約を心掛けましょう。
■キッチンのお湯の温度を低温設定にする
冬場に洗い物でお湯を使う際には、お風呂ほどの高温である必要ありません。例えば、お風呂の給湯は42℃設定でも、キッチンは38℃にしておけば、その分、ガス代が節約できます。
■電子レンジを活用する
食材の解凍や下処理など短時間で終わるものは、ガスコンロではなく、電子レンジを活用するとガス代を節約できます。
北海道ガスのウェブサイトによると、かぼちゃの下ごしらえに電子レンジとガスコンロを使って比較したところ、電子レンジが5分で電気代は約2円、ガスコンロが20分でガス代は約7円という結果になりました。時間も短縮できるのでおすすめです。
■ガス会社を変える
ガス代の設定はガス会社ごとに違いますので、自分のライフスタイルに合ったプランがある事業者に乗り換えることでガス代を抑えることができます。賃貸物件だと事前にオーナーや管理会社への連絡が必要なことや、都市ガスが通っておらず、プロパンガスから都市ガスへの切り替えができないこともありますので、まずは自宅の状況をチェックしてみましょう。
水道代を節約するためのポイント
水道代の節約を考えるなら、浴室や洗面所、キッチンを使う際に、下記のようなことを工夫してみましょう。
■節水シャワーヘッドをつける
節水シャワーヘッドをつけることでシャワーの水量を少なくでき、水道代を節約できます。また、節水だけでなく、ガス代の節約にもつながります。
■水を流したままにしない
歯磨きや食器洗いをしている間、水を出したままにしている人もいるかと思います。歯を磨いているときは水を止め、節水を心掛けるようにしましょう。
また、食器洗いは最初にすべての食器の汚れを落とし、まとめてすすぐようにすると、使う水を少なくできます。汚れがひどい食器は、まずティッシュでふき取るなどの工夫をすることで、水道代をさらに節約することが可能です。
■料金支払方法に口座引き落としを設定する
水道局の中には、水道代を口座引き落としで支払うことで、料金が多少安くなる場合があります。例えば、東京都水道局では、水道料金を口座振替で払うと水道料金が1カ月あたり50円、年間で600円安くなります。
光熱費の平均額を参考に光熱費を見直そう
一人暮らしの光熱費の目安は、1カ月あたり約1万1,000円です。内訳を見ると、電気代は1カ月あたり約6,000円、ガス代は1カ月あたり約3,000円、水道代で約2,000円が目安です。家計を振り返って、光熱費がかかりすぎていないかチェックしてみましょう。
節約が必要なら、電力会社やガス会社、または契約プランを見直してみるのもひとつの方法です。紹介した光熱費の節約方法を、ぜひ参考にしてみてください。