就職活動・転職活動を行っていて「志望動機の書き方がわからない」「何を書いていいのかわからない」と悩んでいる方は多いでしょう。選考の最初のステップである書類が通過しなければ、面接に進むことができません。そのためにも、志望動機をきちんと書くことが重要です。
本記事では基本の書き方からNGな例まで詳しく解説します。
志望動機を書く前に準備すべきこと
志望動機を書き慣れてない場合には、「基本的な履歴書のフォーマット、作成方法、最適な文字数、そもそも志望動機を書く目的は? 」など、書く前の段階から基本的なことが気になることでしょう。
まず何から始めればいいのかわからない方のために、初歩的な準備や志望動機の作り方など順番に解説していきます。
履歴書のフォーマットに決まりはない
基本的に、履歴書のフォーマットには決まりがありません。特に企業側からの指定がない場合は自分で自由に選ぶことができます。
例えば、未経験や過去の職歴でアピールできることが少ない方は、自己PR欄が含まれている履歴書を選ぶと良いでしょう。なぜなら、経歴以外で自分のスキルや活かせる経験など、自己PR欄でアピールできるからです。
職歴履歴書フォーマットの指定がない分、自分がアピールしたいポイント次第で履歴書の形式を選ぶことが可能です。
手書きとPC作成どちらがいいか
履歴書の作成方法は、企業からの指摘がない限りは手書きでもPC作成でも、自分が好きな方法で問題ありません。
近年では、郵送ではなくオンライン上で応募する企業が増えてきている関係で、手書きではなくPCで作成するケースが主流になっています。手書きかPC作成かで迷ったら、間違えをすぐに修正できるPC作成の方がおすすめです。
一方で、字がキレイな方や手書きで想いをアピールしたい方は、手書き作成を選んでも良いでしょう。ただし、手書きの場合には一度間違えると修正・書き直しの作業が発生してしまうため、比較的時間がかかります。また、手書きの際には消えるボールペンや鉛筆の使用は控え、必ず黒のボールペンを使ってください。
最適な文字数や長さは?
志望動機はどれくらいの長さが必要なのか、具体的にどれくらいの文字数で書けば良いのか気になっている方もいるかもしれません。志望動機は企業へのやる気をアピールする項目でもあります。なので、あまりにも短すぎるのはNGです。理想としては150文字から200文字となります。
短すぎてしまうと、応募意欲が本当にあるのか疑問に思われてしまう可能性があります。文字数などで自分の応募意欲も判断されるのは避けたいところです。
履歴書のスペースが狭く、逆に志望動機が書ききれない場合はA4の別紙に記入しても問題ありません。その場合は800文字程度書けると理想的です。
志望動機と自己PRの違いとは
志望動機と自己PRの違いがよくわからない方もいるかもしれませんね。両者の違いは「書類の目的」にあります。
自己PRは、主に自分のスキルや経験を元にどう会社に貢献できるかをアピールするものです。一方、志望動機はその名の通り志望理由を書くもの。具体的には「なぜ他の企業ではなく、この企業の特定のポジションを志望しているのか? 」を書くものです。
「志望動機と自己PRの内容が被ってしまう」「似たような内容になってしまう」といった場合には、それぞれの書く目的の違いを理解した上で書き分けるように気をつけましょう。
志望動機の基本的な書き方
履歴書の準備や基本的な書き方を覚えたら本題の志望動機を書いていきましょう。ここからは誰でも使える、志望動機の基本の書き方を紹介します。
やはり、伝わるわかりやすい文章の構成が一番大切です。あなたが普段見ているネット上の記事もほとんどの場合「結論」から先に書かれています。これは文章を書く時の一般的な手法で、これから何を伝えるのか最初に発表して、より読者に興味を持ってもらうライティングの基本的なテクニックのひとつです。
バイト、就職、転職でもこの基本的な文章構成のポイントを押さえて志望動機を書けば、企業への志望意欲がよりわかりやすく伝わるでしょう。
志望動機の基本的な構成
引きつける文章の基本はやはり「結論」から書くことです。志望動機における「結論」とは「自分の主張」になります。志望動機は限られたスペースに書く場合がほとんどなので、短い文章でも自分の気持ちが伝わるように志望理由をアピールする必要があります。
基本的な志望動機の書き方は最初に主張、次に根拠、最後に具体例の順番が良いでしょう。
具体的には下記の順番になります。
- 主張 : 志望する理由(企業独自の魅力)
- 根拠 : アピールできる自分の経歴やスキル
- 具体例 : 入社後にやりたいこと
この構成に沿って志望動機を組み立てていくと、担当者も読みやすく志望理由が伝わりやすいです。これより順番に詳しく解説していきます。
主張 : 企業の魅力や特徴を書く
まず、書き始めは自分の主張としてあなたがその企業を志望する理由、その企業のどこに魅力を感じて応募したのかを記載します。そのためにも企業の情報を事前によく調べておく必要があります。
売っている製品やサービスはもちろん、業界全体の流行や状況の調査が必要です。最初は企業のホームページなどをチェックすることから始めてみると良いでしょう。
企業の公式サイトでチェックする項目
- 企業の歴史
創業秘話や歴史的なバックグラウンドで特徴的なものがあるかもしれません。
- 企業理念
自分が共感できる企業理念があれば志望動機のひとつになります。
- 事業戦略
他社と違う独自の戦略がないかをチェックしましょう。
- サービスや商品
志望企業ならではの他社とは違った魅力やこだわりがあるかもしれません。
- 経営者のメッセージや挨拶
経営者の信念や経営方針がわかれば、会社の方向性も知ることができます。
- 社長のブログやSNS
業界や仕事の裏話や最新の情報がわかるかもしれません。
上記のページをチェックして他社と違う独自の魅力や、自分が特に共感できるところを探してみましょう。公式サイトに載せていることはその企業が自信を持って世間にアピールしたいことでもあります。
企業のHPは、その企業の名刺のようなもの。最低限の情報に目を通しておきましょう。一般公開している企業の情報をしっかりと把握していること自体も、応募意欲を示すために重要です。逆に、他の応募者も確実にチェックしている情報を知らないと、「なぜこの企業に応募してきたのかわからない」「志望理由や意欲が不透明」などと思われてしまうかもしれません。
根拠 : 自分の経験やスキルをアピールする
主張の後には、根拠を示しましょう。「なぜ志望したのか」「なぜ自分がこの仕事に適任だと思ったのか」「なぜ自分が役に立てるのか」といったことを明確に記載すると、企業に自分を採用するメリットを示せます。
例1
海外とのやりとりが発生する業務内容がわかっているなら、過去の留学経験や英語学習の具体的な結果をアピールすると良いでしょう。英検や、TOEICの点数が高ければ、自分の英語力が仕事に活かせる根拠の証明になります。
例2
新規店舗の立ち上げスタッフ募集に応募したいとします。過去にも別のお店のオープニング準備を手伝った経験があれば、新規の立ち上げスタッフとして心強い存在となれるでしょう。
上記の例のようにダイレクトに活かせる経験やスキルを持っていることがわかるほうが、企業側も採用意欲が湧くでしょう。
より選考を有利に進めるため、募集要項や仕事内容をよく確認して、自分の経験やスキルが活かせるようなことを探します。具体的に箇条書きでリストアップして、文章を組み立てていくとわかりやすい根拠になるでしょう。
入社後にやりたいこと伝える
最後に、「入社後にやりたいこと」や「実現させたいこと」を記載しましょう。
企業の方向性と自分の思い描いている方向性が一致していることや、将来やりたいことや夢が会社に入ることによって実現できそうなことを伝えるのも定番です。
「○○の売り上げをアップさせたい」「○○サービスを多くの人に知ってもらいたい」「新商品の開発に積極的に携わりたい」など具体的な内容にするほど、企業により強く入社意欲を伝えることができます。
注意してもらいたいのは、志望している企業とまったく関係ないことを書くことです。例えば、自動車メーカーへの入社を希望しているのに「入社後の夢はカンボジアの子供達のために学校を建てることです」と書くなど、直接的に関係ない目標を書くのは控えましょう。
あくまで、志望している企業や業務内容と関連性があり、その会社でないとできないことを書くと好印象につながります。
転職する場合の志望動機
転職の場合には、基本的な文の構成や順番などは説明した通りですが、内容は転職用にアレンジが必要です。転職用の履歴書を書く場合は、現在や過去の業務内容と経歴などを志望動機に絡めて記載してください。
転職の理由も審査の重要なポイントになりますし、あなたの前職の経験がどう今後に活かせるのかも採用側は気にするでしょう。転職の時に押さえるべきポイントを確認していきましょう。
書き出しは現在の仕事内容から
まずは現在の仕事内容、または直前の会社の仕事内容から書き始めます。これまでにどんな業務をしてきて、どんな経験をしてきたかなどを簡潔に書きましょう。 職務経歴書は別で用意することが多いので、昔の経歴などは長々と細かく書く必要はありません。業務内容が細かく多岐にわたる場合は、一番活かせそうでアピールしたいものだけを記載しましょう。
転職理由はできるだけポジティブなものにする
どんなにネガティブな転職理由があったとしても、不平不満や批判ばかり記載するのは良くありません。辞める理由や、転職理由はできるだけポジティブな内容にしましょう。
あまりにも前職の条件に対する不満や、上司や人間関係の批判ばかりだと「この人は内部事情をすぐに外部に漏らすから信用できないかもしれない」とマイナスに思われる可能性もあります。
自分のキャリアアップやスキルアップが目的であることなど、前向きに上を目指している向上心ある姿勢を見せると好印象です。志望している企業にも、仕事に対してやる気があることが伝わります。
志望理由は熱意が伝わるように
志望理由は熱意を込めて書きましょう。
ただ「貴社の求人に興味を持ちました」だけでは、どの企業にも言える内容です。志望している企業特有の理由で、転職意欲があることを明確に伝えることが大切。ホームページや募集要項のチェックは当然のことですが、企業に関するニュースや経営理念などの細かい情報でもできるだけ確認します。
前職や他社との違いを自分なりに研究して、なぜその企業への転職に対してやる気があるのかを熱意を込めてアピールしてください。「転職できればどこでもいいのではないか」とは思われないように、気をつけましょう。
例えば希望の会社が商品や何かサービスを販売している場合は、実際に企業の商品やサービスを利用してみて他社より魅力がある点などを具体的に盛り込むと、さらに担当者へ熱意が届くはずです。
入社後の企業のメリットを伝える
前職や今の職場での経験を踏まえた上で、自分が役に立てることや企業側のメリットになることを具体的に伝えていきます。
転職の場合は、これまでの仕事経験がダイレクトに活かせるため、同じ業界や職種を選んだ方が次の会社に転職しやすいといわれています。この場合は、業務経験(経歴やスキル)が志望理由(入社後やりたいこと)に直結していることが理想的でしょう。
例えば、過去に成し遂げた実績など実際の数字やエピソードが書けると、企業側もあなたを採用するメリットをより明確にイメージしやすくなります。
未経験職種へ転職する際の志望動機
転職でもまったく違う業界や、未経験の職種にチャレンジしたい方もいますよね。未経験の仕事への転職は、経験がある業界への応募よりも、ハードルが高めになります。
しかし、企業側も仕事への意欲が微妙な経験者よりも、前向きで向上心があり仕事への意欲が高い未経験者の方を受け入れたいと思っているため、仕事への明確な志望理由と意欲があればチャレンジする価値はあるでしょう。
未経験というハンデをカバーするためにも、志望動機は大切な項目になってきます。きちんとポイントを押さえて、未経験でも面接に繋がるような志望動機を書きましょう。
未経験職種への志望の理由を明確にする
未経験での転職の場合は、転職理由や志望理由を明確に記載することが重要になってきます。「なんとなく興味がある」「なんとなく違うことにチャレンジしてみたい」程度では、企業には志望の熱意は伝わりません。
- なぜその業界に興味を持ったのか?
- なぜその仕事内容に興味を持ったのか?
- なぜその企業に興味を持ったのか?
この3つを明確にすると志望動機が書きやすくなります。このすべてを志望動機に書く必要はないですが、まずそれぞれの理由を考えて自分なりに整理しましょう。この中で特出した理由を、志望動機に記載してアピールします。
資格の勉強をする、資格を習得するなどして意欲を伝える
経験者の場合は職務履歴やこれまでの経験など、アピールできるポイントがたくさんあります。しかし、未経験の場合はこれまでと違うことをするので、アピールできることがそもそも少なめです。それを補うために、現在勉強していることや、転職のために受けた資格などを積極的に書きましょう。
すでに資格を取得しているなら積極的にアピールできます。これから取る予定でも、日頃からその資格試験に向けて努力していることを伝えると好印象です。未経験でも勉強していることで、やる気を見せることができます。
過去の経験から活かせる共通項を見つける
まったく違う業界や業務内容でも過去の経験が活かせることなど、何かひとつ以上は共通項を見つけることができるはずです。例えばどんな業務にもメリットになるような能力は積極的にアピールするべきです。
- コミュニケーション能力 : どんなクライアントともすぐに仲良くなれて、社内でも円滑なコミュニケーションが取れる
- 協調性 : 状況や周りをよく見て、場の空気を読むことができる
- 適応能力 : ハプニングやトラブルが起きても、動じずに冷静に対応できる
- 持続力 : 資格の勉強など日々の努力を継続できる
- マネジメント力 : リーダー向きでチームをまとめる力がある
- 提案力 : 新しい企画や商品を提案することができる
これらの能力は職種や業界がまったく違っても、どの職種でも共通して活かすことが可能です。特に自分に自信があるものは、具体的な体験談と共に記載すると信憑性もアップします。
例えば、マネジメント力をアピールしたい場合は、過去に新規プロジェクト立ち上げでチームリーダーを務め、無事にそのプロジェクトを成功に導いたなど具体例を出すとわかりやすいでしょう。
志望動機のNG例
志望動機を書く上で、やってはいけない書き方があります。
どんな志望動機の書き方がダメなのか、具体的なNG例と共に解説していきます。自分が過去に間違った書き方をしていないか、この機会に振り返って考えてみてください。次回志望動機を書く際は過ちを繰り返さないように、気をつけましょう。
勤務地や待遇だけが魅力になっている
魅力を感じているポイントに勤務地や待遇だけをあげるのはNGです。もちろん、仕事を決める上で勤務地や待遇は重要なポイントです。仕事をする上では残業がない、休日がちゃんとある、福利厚生の充実、家から勤務地が近い、給料が高い、ボーナスが出る、服装が自由など直接的な志望理由になることもあるでしょう。
しかし、条件面だけを志望理由にすると、企業側に自分の良い印象を与えるのが難しくなります。仕事内容や企業自体の魅力を感じていないように見えてしまい、条件が少しでも良い会社が見つかればすぐに転職すると思われてしまうかもしれないからです。
せっかく働くなら、自分にとって条件が良いに越したことはありません。しかし、それ以上にその企業だから働きたいという特別な理由があった方が、仕事への前向きな意欲が感じられて好印象を与えられます。
製品やサービスの良さ以外のことが書かれていない
就職先や転職先の製品やサービスが好きなのも、その良さを伝えるのも志望動機の項目では大切なことです。しかし、製品やサービスの良さだけしか書かれていないと、志望動機としては内容が弱くなってしまいます。
もちろん、製品に感動した自分の体験談をアピールして問題はありません。しかし、それ以外にも企業自体の魅力や、業務内容に興味があることを伝えなければ仕事を楽観的に考えると思われるかもしれません。
例えば「とても魅力的な製品だから未経験の自分でも売ることができます」などと書いてしまうと、最初から仕事を甘くみている人だと感じさせてしまいます。それよりもこの会社だから魅力的な商品やサービスを作ることができる、会社自体の特徴に惹かれていることをアピールすべきでしょう。
学びたいアピールが強すぎる
新しいことを学ぶ前向きな姿勢があることや、勉強意欲があることは企業に好意的な印象を与えられます。しかし、あまりにも「勉強させていただきたいです」というアピールが強すぎると、逆にマイナスに見られる可能性もあるので注意が必要です。
ご存知の通り、職場は学校ではありません。もちろん、研修や引き継ぎなどはありますが、ときには自分で調べ、自発的に動くことも必要です。自発的に学ぶ努力をせずに常に「教えてください」アピールは、学費を払っている学生のみ許されることです。上司は学校の先生でもないので職場を学校と勘違いしていると思われないように、強すぎる学びたいアピールには注意してください。
将来辞めることが前提
たとえ将来的に転職を考えているとしても、そのことを素直に志望動機に書いてしまうのは一番NGです。企業からすると出来るだけ長く会社に貢献してくれる人を、長く雇いたいと思うのが当然のことでしょう。明らかに数年以内に辞めそうな人を、入社させることはほとんどないと考えてください。
いつか転職するなど、期間限定で働きたいことが少しでも伝わるとマイナスです。もしも、3年後や5年後など将来的に転職を思い描いていたとしても、それは志望動機に記載する必要はありません。「いつか転職するための踏み台に使われる」と、企業側に思われないように気をつけてください。自分が出来るだけ末長く、会社に貢献したいとアピールしましょう。
自信がなければ添削してもらおう
もし自分の志望動機の書き方に自信がない場合は、添削サービスを使うこともできます。例えば、転職エージェントに登録されている場合は、添削サービスがあることも。客観的に転職のプロにチェックしてもらえば安心して、応募できるでしょう。
添削サービスは転職エージェント以外にも存在するので、添削サービスを利用すると安心かもしれません。お金がかかるサービスもありますが、プロの方に文章を見てもうと自分では気づけなかったことを指摘してもらえます。
または、身近な先輩やその業界のプロ、人事や採用の仕事をしている人が知り合いにいればお願いしてみるのもいいかもしれません。一人で悩むよりも早めに誰かに相談して解決した方が、応募もスムーズにできます。利用できるサービスなどあれば積極的に使ってみましょう。
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本記事では志望動機を書く前の初歩的な準備、基本の文章の書き方、転職する時の書き方、未経験職種へ転職する時の書き方、NG例など解説してきました。これで志望動機の書き方は一通り知っていただけたと思います。ここで学んだ志望動機の書き方や文章の構成は今後の社会人生活でも、文章を書く際に役立つはずです。
まず、何から書いていいかわからない場合は、まず志望企業の公式ホームページなど公開されている情報の調査から始めてください。そして、自分のこれまでの経験で少しでも活かせることがないか、自己分析も行ってみましょう。
就職や転職への第一歩は書類選考です。書類が通過しなければ面接にも進むことができません。まずは本記事で学んだ効果的な志望動機の書き方を実践して、面接への切符を掴んでください。