想像力とは、現実には存在していない出来事や物事を頭の中に思い描く力のこと。端的に言えば文字通り「想像する力」であり、“心の働き”とも言い変えられます。未来に何が起きるのかを想像する力は、リスク管理を含めビジネスの多くの場面で必要とされます。
それでは、想像力を高めビジネスに役立てるためには、どうすれば良いのでしょうか? 想像力が高い人の特徴と合わせて解説します。
想像力が高い人の特徴
想像力は、身に降りかかる危険を予測して危難を避けるために備わっている力だといわれています。想像力が高ければ、リスク予測をして、リスクの回避や予防をし備えられるでしょう。
想像力の高さは、日々の生活だけでなくビジネスでも発揮されます。想像力の高い方がどのようにビジネスで活かしているのか、ビジネスの進め方の特徴をご紹介します。
顧客に対する意識が高い
想像力の高い人は、一緒にビジネスを進めているそれぞれの人の立場に立って考えることができます。仕事を自分の方向から見るだけでなく、顧客の立場や気持ちを想像できるため、自分の意見だけを押しつけないでしょう。
顧客の立場に立つだけでなく、どのようにビジネスを進めれば顧客が喜ぶのかを想像でき、自らの立場と顧客の立場の双方から考えたうえで落としどころを探せます。
効率的に仕事ができる
想像力が高ければ、今やっている仕事がどう進んでいくのかを想像できます。
「今やっている作業をそのまま続けたらどうなるのか」「手段を変えてみたらどうなるのか」を想像することで、複数の進め方の中から自分がもっとも効率的だと考える方法を選択できます。
想像した結果が必ずしも得られるとは限らないものの、画一的な進め方ではなく複数の想定をしたうえで仕事を進められるのは強みとなります。
トラブルに対応できる
想像力が高い人は、トラブルが発生したときに複数の対処パターンを想像し、最適な結果が得られる対処を選定します。また、そもそもトラブルが発生する前から、発生しうるトラブルのパターンや、想定したトラブルの対処について予測し備えられます。
ビジネスには予期せぬトラブルはつきもの。予測と対応に長けているという点で、想像力の高い方はビジネスマンとして有利といえるでしょう。
ビジネスに役立つ想像力を身に付ける方法
想像力の高い方の特徴を見てみたら、自分にまったく当てはまらず、落ち込んでしまったという方もいるのではないでしょうか。特徴が当てはまらなくてもあきらめる必要はありません。意識的に取り組むことで想像力を身につけられる方法があります。
ここで紹介する方法を実践して、ビジネスに役立つ想像力が身につくように自分を鍛え上げましょう。
客観的に物事を判断する
想像力が欠如していると、物事を自分の目線でしか見ることができません。意識しないと主観だけで物事を判断してしまうため、常に「客観的に見る」ことを意識しましょう。
最初は客観性を常に意識していなければなりませんが、慣れてくると物事を客観的に見る癖がつきます。そうした癖をつけることで、他人の気持ちになって物事を見られるようになります。
計画を立てる
想像力が不足している人は、通常の状態だと想像力が働かないので、無理やり想像しなければならない環境を作ることをおすすめします。
想像力を鍛えるためには「計画」を立てるのがよいでしょう。計画を立てるためには、未来がどうあるべきかを「想像」し、未来に「目標」として設定した状況に至るまでの過程を、すべて想像しなければなりません。
計画は、自分のライフプランでもキャリアプランでも構いません。どのような過程を経てどのような未来を築くのか考えてみましょう。
交流関係を広げる
今までの交友関係では関わることのなかった業種や層の方たちとの交流を持てる機会を作りましょう。
異業種交流会などのイベントに参加し、今まで交流のなかったジャンルの人たちと情報交換してみると、今までとは異なる価値観に触れたり、常識だと思っていたことが全世界の常識ではないということに気付かされたりします。
体を動かす
想像力と体を動かすことでは、まったく関連性がないように感じられますが、運動する際は次にどう体を動かせばどのような結果を得られるかということを瞬間的に想像し、判断しています。
子供の想像力を養うために、リズム運動や道具を使った運動などが考案されていることからも、体を動かすことでいかに想像力が鍛えられるかがわかります。
連想ゲームをする
連想ゲームでは、1つの言葉に関連する複数のものを想像し、次の言葉からも想像を広げ、すべての想像の中から共通するものを答えとして解答するので、ゲーム中は想像力を集中して駆使していることになります。
想像力が乏しいうちは解答を導き出すのに時間がかかりますが、慣れてくると瞬時に多くの物を想像できるようになり、解答速度も解答精度も上がっていきます。
出来事を掘り下げる
毎日、目の前で起きる出来事を当然のこととして受け止め、特にその出来事を考えることもなく受け流して過ごしていると想像力は養われません。発生した出来事がなぜ起きたのか、原因や背景、関連などを深掘りして考えてみると、想像する力をフル活動させることになります。
たとえ本当の答えがわからなくても、出来事を掘り下げて自分なりの答えを考えてみることで、想像力を高めていけるでしょう。
睡眠時間に気を付ける
睡眠時間と想像力には一見何の関連性もないように感じられますが、睡眠時間は脳の働きに大きな影響を与えるため、想像力の活性化にも関連します。
そのため、睡眠時間をきちんととることで脳の中で情報が整理され、整理された状態で記憶として定着します。記憶が整理されているので、ひらめきや想像として記憶の一部を利用しやすくなるでしょう。
本を読む
小説は登場人物を言葉で描写しており、映像として姿形を確認できないので、自分の頭の中で映像化が必要になります。テレビや映画よりも想像力を働かせないとストーリーを楽しめないので、小説に入り込むほど想像力も高められていきます。ジャンルは何でもいいので、自分の興味ある分野から読み始めましょう。
次の展開を予想する
小説や、ドラマ、映画で提供されるストーリーを追うだけではなく、自分なりの展開を予想してみましょう。作者と同じ展開になる場合もあれば、異なる結末へ向かう場合もあるでしょう。
小説やドラマの展開を予想するのと同じように、現実世界で仕事の予測を立てたり、自分の将来を想像したりすることができるようになります。
想像することを習慣づける
想像力が高い人は、特に意識することなく、いろいろな場面でいろいろな想像をしています。想像力は使えば使うほど鍛えられます。想像力があまり高くないという方は、意識して想像力を使っていきましょう。
また、何を想像したらいいかわからないという方は、タウンウォッチングで見知らぬ方の行動を想像したり、アフレコしてみたりしてもいいかもしれません。
興味を持つ
多くの経験がある方ほど、蓄積されている記憶や情報量が多く、想像力が働きやすい傾向にあります。それは特別な経験である必要はなく、いかに記憶に蓄積されているかが大切です。
想像力があまりないという方は、想像力のもととなる記憶の情報量を増やすためにも、何にでも興味を持ち記憶に留めるようにしましょう。
旅行へ行く
旅行は想像力を高める絶好の機会といえます。旅行前は旅行先のことを想像して計画を立て、旅行中は旅行先での体験を記憶に刻み、旅行後は記憶に刻まれた記憶を使って別の地域への想像を膨らませられます。
旅行中は多くの知らない場所へ足を運び、普段できない体験をして記憶に刻みつけましょう。
想像力を高めるメリット
想像力がなくてもあまり影響はないと考える方も多いでしょう。しかし、「想像力」が前面に出ていなくても、想像力の有無によって仕事で差がつけられていることは案外多いものです。
ここでは、想像力を高めることで得られる仕事上のメリットを紹介します。自分の仕事と照らし合わせて、満足していない項目があれば、想像力にも目を向けてみましょう。
タスクの管理
仕事には想定外のトラブルや遅延がつきものといえるでしょう。想像力が高ければ、「想定外」の事象を予測したり、発生リスクを読んだりできます。想像力は、仕事のタスクを管理する場面でも発揮されます。
タスク管理がうまい人と下手な人を比べてみると、タスクの発生から完了までの過程を想像する力の差異が見つかることでしょう。
企画の立案
想像力の高い人は、顧客のニーズを想像できるので、提案に有効な企画を立案できます。顧客のニーズを想定できるだけでなく、想像力をフルに発揮すれば、バリエーションに富んだ複数種類の企画を立案でき、画期的な企画も発想できるでしょう。
想像力を身に付けよう
想像力が高ければ、仕事でも普段の生活でも多くのメリットが生まれます。想像力は生まれながらに備わっているものではなく、日々の生活の中で鍛えられていく能力です。
今、想像力が乏しいからといって諦める必要はありません。生活習慣を少し変えて想像力を鍛えましょう。