本記事では、斜め読みの意味や類語の他、やり方、メリット・デメリットを紹介します。正しい方法を身に付け、短時間で多くの情報を収集できるようになりましょう。
斜め読みとは? 言葉の意味を解説
斜め読みとは、全体の流れをつかむために、本や記事の細かい部分は飛ばして、とにかく早く読むことです。
従来の紙媒体だけでなく、スマホなどのデジタル機器やSNSの普及により、膨大な情報があふれる昨今、注目されている読書法です。
簡単で効果的な斜め読みのやり方は?
斜め読みでは、すべての文章を読もうとせず、概要の把握に集中しましょう。斜め読みのやり方は以下の通りです。
- 前書き(序文)と後書きを読む
- 目次や見出しを読む
- 頻出するキーワードを見て内容を理解する
- 図やグラフを見る
- 読むべき内容だと思った本はもう一度じっくり読む
以下、順に説明します。
1. 前書き(序文)と後書きを読む
一般的に、本の前書きや序文には全体のテーマ、後書き(あとがき)にはまとめが書かれていることが多いため、先に読んでおくことで、本の要点を把握しやすくなります。
2. 目次や見出しを読む
目次を読んでから、ページをめくりつつ見出しを読むことで、本の構成を把握でき、要点をつかみやすくなります。全体像が頭に入るまで何度か繰り返しているうちに、著者の主張の核心が見えてきます。
3. 頻出するキーワードを見て内容を理解する
斜め読みをしていると、文中で繰り返し使われている単語やキーワードが見えてきます。特に、目次や見出しから把握した全体像にぴったりはまるキーワードが見えてくると、内容が理解しやすくなります。
4. 図やグラフを見る
図やグラフは、著者の考えを投影し、短時間でも理解しやすくなるよう促すツールです。図やグラフがある本の場合、そこに著者の主張が凝縮されていることがあるため、積極的にチェックしましょう。
5. 読むべき内容だと思った本はもう一度じっくり読む
ここまでの斜め読みのやり方を実践できるようになっても、斜め読みだけにこだわる必要はありません。さらに深く読むべき内容だと思った本は、何度もじっくり読むほうが、内容がより身に付きます。斜め読みをしていて、興味がある内容が書いてありそうな章だけを集中的に読むのもよいでしょう。
斜め読みのメリット
斜め読みのメリットは、以下の通りです。
- 短時間で要点をつかめる
- たくさんの本を読めるようになる
- 本の概要が記憶に残りやすい
- 積読(つんどく)になりにくい
- 時間が有効に使える
以下、順に説明します。
1. 短時間で要点をつかめる
本や文章の内容を理解するには、要点をつかむことが重要です。そこで役に立つのが、斜め読み。斜め読みで文章全体に目を通すことで、繰り返されている単語や主張がわかり、全体像を把握できるようになります。
この方法は、読むべき本を探す際にも重宝します。斜め読みをしている中で、「細部を理解したい」と思える本に出会えたならば、斜め読みで把握した要点を念頭に、一部分のみを熟読することで、より理解を深められるでしょう。
2. たくさんの本を読むことができる
斜め読みにより短時間で本を読み切れるようになります。一冊の本をじっくり読むのも大切ですが、同一分野に対する別々の著者による主張を理解するためにも、たくさんの本を読むことも重要です。
3. 本の概要が記憶に残りやすい
斜め読みでは、本の要点に照準を合わせて情報を得られるため、本の内容が記憶に残りやすいという特徴があります。難しい本を読む際、時間をかけて読了したとしても、振り返ってみれば「どんな内容を書かれていたか」がうろ覚えになっていた…という経験はありませんか?
斜め読みで要点を理解することで「この本は一言で説明するなら」と、本の内容を端的に説明できるようになります。
4. 積読(つんどく)になりにくい
本を買っても、「いつか読もう」と積読になりがちな方は、短い時間でも読むことができる斜め読みをおすすめします。本には、“書かれた時が旬”な内容の物も多いため、買ったらすぐに斜め読みで概要を理解する習慣をつけると良いでしょう。
5. 時間が有効に使える
斜め読みを活用すると、本来であれば読書にあてるはずだった時間を別の作業に使えるようになります。空いた時間で、じっくりと読みたい別の本の読書時間にあててもいいですし、アウトプットの時間に使うなどもできるでしょう。
斜め読みのデメリット
ここまでの説明だと「向かう所敵なし」な斜め読みですが、デメリットもいくつか存在します。斜め読みのデメリットは以下の通りです。
- 概要は理解できても、内容の詳細まではつかみにくい
- 難しい本・専門外の本の理解は難しい
- 小説など斜め読みが向いていない本もある
1. 概要は理解できても、内容の詳細まではつかみにくい
斜め読みの目的は、細部まで内容をしっかり理解するのではなく、“文章全体の概要、全体像をつかむこと”にあります。そのため、斜め読みでは内容の詳細まで深く理解することができません。
2. 難しい本・専門外の本の理解は難しい
難しい本や内容に詳しくない本では、予備知識をつけてからでないと、斜め読みが難しいです。特に専門書では、実用書のようにわかりやすく要点が強調されていない本が多いですが、そのような本では斜め読みで要点を把握しにくくなります。
3. 小説など斜め読みが向いていない本もある
要点を太字などで目に入りやすくしてある本や、どこに要点が書かれているかが分かりやすい論文などは斜め読みに向いていますが、一方で、小説や漫画のように、要点以外の細部も重要になってくる本は、斜め読みに向きません。
斜め読みの類語や違い
斜め読みと似た言葉も見ていきましょう。
速読する
「速読する」は、文字通り速く読むという意味で斜め読みと似ていますが、定義によっては全文を飛ばさず読む、つまり通読(つうどく)することを指す場合が多いため、斜め読みとは分けて考えましょう。速読を訓練して、読むスピードが上がり全文を読めれば、内容の詳細まで理解することができますが、実践は難しいとも言われています。
流し読み
斜め読みとよく似た言葉に「流し読み」があります。こちらも細かい部分は飛ばして、ざっと読むことという意味なので、斜め読みとほとんど同じ意味といえるでしょう。しいて言えば、斜め読みの方が「早く読む」という意味が含まれていますが、流し読みはスピードに言及していません。
飛ばして読む
「飛ばして読む」は、ある部分をごっそり飛ばす「飛ばし読み」とは違い、重要でない部分を流しながら読む点で、斜め読みに近いです。複数挙げられている例示の部分などは流して読み、結論となる部分は注意深く読むのが効果的に「飛ばして読む」方法です。ただし、間違えて重要な部分を飛ばしてしまわないように注意が必要です。
ざっと読む
「ざっと読む」も、一通り確認して把握するという意味では斜め読みに近いですが、斜め読みよりも軽いニュアンスで広く使われることが多いです。特に、新聞や雑誌、ニュースサイトなどの多くの記事が載っているものについて、見出しを見て興味のある記事だけ読んだ場合にも使われます。「取り急ぎ確認した」という速さの印象も含まれます。
ビジネスでも役立つ斜め読みに挑戦してみよう
斜め読みには、実は短時間で概要を把握できるメリットもあれば、不向きな本もあるというデメリットもあります。しかし、インプットの効率・質を高められるので、ビジネスシーンなど多くの場面で役立ちます。
コツは概要・要点の把握に集中することです。斜め読みは、特別な用意がなくてもすぐに始められますので、手近な本で試してみましょう。