アンケートモニターで稼ぎ出すと税金のことが気になりだします。ただ、どういう場合に確定申告が必要になるのかについて把握している人は少ないのではないでしょうか。特に、普段確定申告をしない給与所得者や専業主婦、年金受給者の人はイメージがわきにくいかもしれません。
そこで、本記事ではアンケートモニターで得た報酬がどのタイミングで課税対象となるのか、どういう場合に確定申告が必要となるのかについて解説します。アンケートモニターで得た報酬を確定申告する場合のポイントや、確定申告せずにすむ方法についてもまとめましたので、ぜひ最後までご確認ください。
アンケートモニターの報酬の扱いと所得の種類
確定申告が必要かどうかを判断する前の予備知識として、まずはアンケートモニターで得た報酬はどの所得に分類されるのかを確認しましょう。また、得た収入がどのタイミングで課税対象となるかについても解説します。
アンケートモニターの報酬は「雑所得」
所得の種類は、以下の10種類に定められています。
所得の種類 | 内容 |
---|---|
利子所得 | 預貯金や公社債の利子など |
配当所得 | 株式配当、投資信託の収益の分配など |
不動産所得 | 不動産の貸付けで得る所得 |
事業所得 | 事業活動で得る所得 |
給与所得 | 勤務先から得る給料や賞与 |
退職所得 | 勤務先からの退職手当、退職に伴う厚生年金脱退一時金 |
山林所得 | 取得して5年以上経過した山林の伐採または譲渡で得た所得 取得して5年以内の伐採または譲渡で得た所得は事業所得等 |
譲渡所得 | 土地や建物などを他人に譲渡する際に得た所得 |
一時所得 | 懸賞や福引の賞金品、競馬や競輪の払戻金など一時的に得た所得 |
雑所得 | 上記いずれにも当てはまらない所得 公的年金、非営業用貸金の利子、副業での所得 |
アンケートモニターで得た報酬は、国税庁により以下の見解が示されており、「雑所得」として扱われます。
質問やアンケートへの回答等の役務提供の対価として付与されるポイントは対価性があるため雑所得となる
(引用元:国税庁「企業が提供するポイントプログラムの加入者(個人)に係る所得税の課税関係について」
本業を持たない無職や専業主婦(主夫)がアンケートモニターとして収入を得る場合も、確定申告する場合は雑所得として処理して問題ありません。
貯めたポイントを使用したタイミングで雑所得
アンケートモニターで答えた報酬は、基本的にアンケートモニターサイト独自のポイントで付与されます。ただし、アンケートに回答して、ポイントを獲得した段階では課税対象の所得にはなりません。
国税庁がこのようなケースについて「企業が提供するポイントプログラムの加入者(個人)に係る所得税の課税関係について」という見解を出しています。この見解には、以下の一文があります。
ポイント保有者がポイントを使用して特典の請求等をした時に得られることから、課税されるべき所得としての認識時期はポイントの使用時である
この見解によれば、獲得したポイントを金品や他のポイントと交換したタイミングで、雑所得として認識するべきだということがわかります。
ポイント以外の謝礼は受け取ったタイミングで雑所得
アンケートモニター案件の中でも、比較的高額の謝礼は、ポイントではなく商品券や現金として郵送または手渡し支給が一般的です。ポイント以外の謝礼は、受け取ったタイミングで雑所得になります。ポイントとは少々タイミングが異なるため注意しましょう。
雑所得から必要経費を引いた金額が課税対象
アンケートモニターの報酬は、すべてがそのまま課税対象となるわけではありません。報酬を得るために必要となった経費は、報酬から差し引いて計算することとなっています。
必要経費として差し引ける費用は以下の通りです。
- サイトを利用するために使用したインターネット回線の費用・電気代
- 参加型調査の会場までの交通費
- 商品モニターで商品を購入した場合の商品代金
- ミステリーショッパーで必要となった交通費と飲食代・商品購入代金
アンケートモニターで得た報酬からこれらの費用を差し引いた残りの金額が、課税対象となる雑所得です。
アンケートモニターで得た報酬の確定申告が必要なケース
アンケートモニターで得た報酬を雑所得として確定申告する必要があるケースを3パターン説明します。
(1)他の理由で確定申告する
基本的に給与所得者や専業主婦、年金受給者は確定申告をしません。しかし、何らかの理由で確定申告をする場合は、雑所得が20万円未満であっても一緒に確定申告する必要があります。給与所得者が確定申告をする主なケースは以下の通りです。
- 医療費が1年で10万円以上かかった
- 給与の年間収入金額が2,000万円を超える
- 認定住宅の新築などをした場合(認定住宅新築等特別税額控除)
- 年の途中で退職し、源泉徴収税額が納めすぎとなっている
- 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき
- 特定の寄附をしたとき(ワンストップ特例制度を用いないふるさと納税など)
個人事情主は、基本的に毎年確定申告を行うので、アンケートモニターで得た雑所得は必ず一緒に申告することになります。
(2)雑所得から必要経費を引いた金額が20万円を超える
年末調整だけの給与所得者は、アンケートモニターで得た報酬から必要経費を引いた金額が20万円を超える場合、確定申告が必要です。必要経費はしっかりとメモしておき、忘れずに差し引くようにしましょう。
(3)年金受給者や無職で課税対象雑所得が48万円を超える
年金受給者や無職で確定申告が不要な人は、必要経費を引いた課税対象の雑所得が48万円を超える場合に確定申告が必要です。
2019年(令和元年)までは基礎控除額が38万円でしたが、2020年(令和2年)からは基礎控除が48万円となりますので、上限が10万円アップしている点には注意しましょう。
アンケートモニターと税金に関する注意点
アンケートモニターと税金に関して、注意点が2つありますので解説します。
住民税は確定申告の有無に関わらず手続きが必要
アンケートモニターで得た報酬を確定する・しないに関係なく、住民税は手続きが必要です。確定申告をする場合は一緒に住民税の申告もできますが、確定申告をしない場合は別途地方自治体の役所に対して、住民税の手続きを済ませましょう。
会社の年末調整には副業の報酬を届け出る必要はない
会社の年末調整に対して、副業で得た報酬を届け出る必要はありません。年末調整は何もせず、確定申告または住民税の手続きを進めるようにしましょう。
アンケートモニターの報酬を確定申告する際のポイント
アンケートモニターで得た報酬を確定申告する際に押さえておきたいポイントについて解説します。
副業の場合、住民税は普通徴収にする
アンケートモニターを副業としている場合、役所に対して住民税の手続きをする際は住民税の徴収方法を「普通徴収」にしましょう。普通徴収とは、自分自身で住民税を納める方法です。このようにすることで、会社側に副業をしていることが伝わらずにすみます。
確定申告の場合は、「確定申告書A(第二表)」の「住民税に関する項目」の欄を確認してください。「給与・公的年金等に係る所得以外の所得に係る住民税の徴収方法の選択」を「自分で納付」に選択すれば「普通徴収」を選択したことになります。
必要経費を正しく処理する
課税対象の雑所得を計算する場合、必要経費を差し引くことは説明しました。必要経費を計上する場合は、レシートや領収書など、証拠となる書類を5年間保存しなくてはなりません。後から見返してわかるよう、年・月ごとに小袋に分けて保存するか、帳面に貼り付けて整理しましょう。
他の雑所得と合計することを忘れずに
アンケートモニターの報酬だけが雑所得ではありません。公的年金や非営業用貸金の利子など、他の雑所得と合計することを忘れないよう注意しましょう。必要経費を差し引く場合も、アンケートモニターの所得に関わる経費と、他の雑所得に関わる経費は分けて計算してください。
確定申告せずにアンケートモニターを続ける方法
確定申告を自分でするのは不安なので、できれば確定申告せずにアンケートモニターを続けたい、という人もいるでしょう。その場合は2パターンの対処方法がありますので、順番に解説します。ただし、確定申告はしなくても住民税の手続きは必要になる点は注意してください。
✔年間の上限額を意識して超えないように稼ぐ
確定申告をしないようにするには、年間の上限額を意識して超えないように稼ぎましょう。給与所得者は20万円、無職や年金受給者の場合は48万円が年間上限額です。月額で計算すると、20万円の場合は月額16,666円まで、48万円の場合は月額4万円が上限となります。
✔ポイントの交換タイミングを調整する
ポイントを貯めている場合は、ポイントの交換タイミングを調整することで、確定申告しないように調整することも可能です。ただし、ポイントの有効期限を1年間としているアンケートモニターサイトもあるので、有効期限切れにならないよう注意しましょう。
必要な確定申告を放置すると脱税となるので注意
確定申告が必要になるほどアンケートモニターで稼げるのは、かなり稀なケースです。ただ、うまく稼げるようになる人は、いつの日か確定申告が必要となることもあるでしょう。確定申告が必要なのに放置したままでいると、脱税となることに注意してください。脱税が見つかると、追徴課税が課せられます。
また、確定申告は不要でも、住民税の手続きは必要な点も忘れがちなポイントです。必要な手続きはきちんとすませて、アンケートモニターサイトで安心して稼げるようにしましょう。