「有能な怠け者」とは、「物事を効率よくこなせる人」「無駄な行動は省き、楽をしたい人」のことです。自分が楽をするための作業の効率化や周囲の人たちの扱いが得意なため、一見するとただの“怠け者”にしか見えないことも。
有能な怠け者は、言い換えれば、常に自分を含めた個々の能力を引き出す方法を思案している人。特に、人材の適材適所や状況を判断する能力に長けている傾向があるため、上司やリーダーとして活躍します。
本記事では有能な怠け者の特徴や、“有能な怠け者にやる気を出させる方法”を紹介します。
有能な怠け者・有能な働き者・無能な怠け者・無能な働き者とは?
組織にいる人間は、主に以下の4つのタイプに分けられます。
- 有能な怠け者
- 有能な働き者
- 無能な怠け者
- 無能な働き者
以下、それぞれの特徴を見ていきましょう。
1. 有能な怠け者
自分だけではなく、部下の能力を引き出し、全体を効率化させる人物。自分をはじめとした周囲の人間が、どのようにしたら楽に効率を上げられるかを考えられるため、非効率で無駄な工程が多い作業であっても、スマートに片づけられます。
ただし、基本的には怠け者なので、面倒事を嫌う傾向にあります。自分からは行動を起こしませんが、大きな仕事を振られた時やピンチの時には、期待通りのパワーを発揮します。
2. 有能な働き者
有能な働き者は、物事の判断はできるものの、人に物事を任せていくことが苦手なため、自分で背負い込んでしまう性質があります。有能な上司になるには、人選が上手く、仕事を人に割り振れることが条件になります。そのため、有能な働き者は上に立つタイプではありません。
しかしながら、その勤勉さは上司やリーダーをサポートする立場には最適です。有能かつ働き者なので、頼んだ仕事はパーフェクトにこなしてくれるでしょう。
3. 無能な怠け者
無能な怠け者は、基本的に仕事への意識や意欲が低く、業務の効率化などは考えません。このタイプには、物事の判断が苦手で、行動力のない消極的な方が多く見られますが、言われたことだけは遂行しようと考える傾向があります。
物事を深く考えないため扱いやすく、命令通りに動くポジションに向いています。言われた通りに行動してくれるので、最適な場所に配置すると、全体的な作業効率をアップさせる可能性を秘めています。
4. 無能な働き者
無能な働き者とは、物事の判断がつかないにもかかわらず、「働きたい」という意思が必要以上に強いタイプです。そのため、間違いに気づかないまま動き、さらなる間違いを引き起こす場合も多々あります。一生懸命行動することで満足してしまうため、組織内のトラブルメーカーになっている可能性も……。
当てはまるか診断! 有能な怠け者の特徴・見分け方
大きな利益を生む可能性を秘めている「有能な怠け者」ですが、有能な怠け者とはどのような人物なのでしょうか。以下に、有能な怠け者を見分けるためのチェック項目を作成しました。これらの項目に当てはまる人、いませんか?
有能な怠け者の特徴
□無能なふりをしている
□得意分野で力を発揮する
□ピンチの時に力を発揮する
□自信を持っている
□駆け引きが上手い
上記項目の詳細は以下の通り。
無能なふりをしている
上司が有能な怠け者の場合、彼らは周りの能力を引き出すためにわざと無能なふりをします。
例えば、「頼りない上司の下で部下が必死になって仕事に向きあうことで、結果として成長している」というケースなどがこれに当たります。有能な怠け者は、自分が必死になることで周りの依存を生むことを懸念しています。周りを見る能力にも長けている有能な怠け者は、自分が1歩引くことで、部下の才能や能力を開花させようとしています。
得意分野で力を発揮する
有能な怠け者は、自分の苦手分野について熟知しています。
自分の得意分野は率先して引き受けますが、苦手分野は得意な方に任せたほうが効率が良いと考えるので、苦手分野には手を出そうとはしません。そのため、周囲からは「ワガママだ」「仕事を選んでいる」などと否定的に捉えられることもしばしば。しかし、自分が得をするだけでなく、苦手な仕事をお願いする代わりに他の仕事を引き受けるなど、あくまで全体が効率よく回るようにします。
ピンチの時に力を発揮する
平常時は1歩引いた立ち位置で全体を見ているため、前線に出てくることがあまりなく怠けているような印象を与えますが、ピンチになったときは、自分の能力を最大限に発揮して危機を脱することに注力します。
ピンチの時の爆発力は大きく、有能な怠け者のお陰で困難な局面を乗り切れることもあるので、一躍ヒーローになれる素質を持っています。
自信を持っている
効率よく仕事を進められる能力に長けているため、自信を持って動けます。その能力に関しても周りから評価されやすく、真剣に向き合った時はしっかりと結果を残していくでしょう。自信があるため常に落ち着いていて、トラブルが起きた時も動じません。
また、自分が不向きなこと、できないことについては自信がないとハッキリ「NO」が言えるのも特徴です。
駆け引きが上手い
両者が平等な仕事内容になる範囲での駆け引きや取り引きが上手でしょう。そのため、無理難題や一方的な押し付けは嫌がります。自分が下の立場であっても、簡単にはイエスマンにはならず、作業効率や利益を重視した交渉をします。
駆け引きが上手く、お互いの利益が一致するように話を進めるので「憎めない人」というイメージもつくでしょう。
有能な怠け者をやる気にさせる方法
有能な怠け者のやる気を引き出して仕事をさせるには、頭ごなしに「仕事をしろ」と言ったりしてもうまくいきません。有能な怠け者をやる気にさせるコツをつかみ、柔軟に対応する必要があります。
得意分野を割り当てる
得意分野を割り当てて、持っている才能や能力を発揮してもらう方がメリットが高いでしょう。もちろん、そもそもが有能なので、苦手分野でも効率的方法を思いつき、それ相応の能力を出してくれます。
しかし、あまり苦手なことをさせていると、興味を持てないのでやる気を失い、適当に怠けようとします。得意な仕事を割り当てて頼ることで、有能さを一気に発揮してくれるでしょう。
メリットを設定する
メリットには敏感で、メリットが明確な時に実力を発揮するところがあります。
成功によるキャリアアップや賞与など、立場や金銭面の話だけではなく、経験値や能力値が上がるような利点を用意すると、より一層有能な怠け者のやる気を上げることができるでしょう。
自由にさせる
普段から100%の力を出し切ろうとはしないだけで、本来は高い能力で仕事をすることが可能でしょう。
ある程度自由にさせることで、上手に取捨選択しながら業務の効率化や短縮化などに貢献するでしょう。やるべき時は期待以上の力を発揮し、成果を残せるのも有能な怠け者の特徴です。
有能な怠け者は組織運営には必要な人材
有能な怠け者は、退屈な仕事を前にすると、もっと簡略化できる方法はないかと模索するようになります。頭を使うことで、目の前の作業をできるだけ楽に進めようと考えられる人物であるため、有能な怠け者は組織に1人は欲しい人材だと言えます。
業務のレベルが複雑な部署であれば、有能な怠け者をやる気にさせて、仕事を効率化させることが有効です。有能な怠け者のポテンシャルを発揮させ、組織の利益を向上させましょう。