女優の上野樹里が24日、東京・フジテレビ湾岸スタジオで行われた同局系月9ドラマ『監察医 朝顔』(11月2日スタート、毎週月曜21:00~ ※初回30分拡大)の制作発表会見に出席し、今作でも描かれる東日本大震災の被災地への思いを語った。

  • 涙を浮かべながら『監察医 朝顔』への決意を語る上野樹里

上野が演じる監察医・朝顔は、東日本大震災で母を失ったのみならず、遺体すら見つからないという悲しみを抱えている役柄。シーズン2となる今作では、あることがきっかけで、朝顔が父・平(時任三郎)の代わりに母の遺体を探すため、1人で東北の地を訪れることになる。

ロケ地である岩手・陸前高田市は、上野自身にとっても縁が深い場所。発災翌年の2012年に初めて訪れ、震災を後生へ伝えるために津波が到達した場所に桜を植える「桜ライン3.11」という活動に参加し、紅しだれ桜の苗を植えた。

昨年には『監察医 朝顔』スタッフとともに2度目の来訪を果たし、7年ぶりに紅しだれ桜と再開。その後、陸前高田市議会議員で、震災当時は町内の消防団員も務めていた福田利喜さんや、東日本大震災で親類を亡くした遺族会の人たちに会い、当時の生々しく、言葉にできないほど悲痛な体験談を聞きながら、津波が襲ったさまざまな場所や、遺体安置所となった小学校の体育館などを訪れた。

そして今年は3月11日を目前に、上野はドラマスタッフとともに1年ぶりに来訪。紅しだれ桜を見に行ったほか、前回、被災したさまざまな土地を案内してくれた福田さんとも再会した。

その後、陸前高田で毎年8月に行わている七夕まつりが新型コロナウイルスの影響で中止になると、まつりの代名詞である“山車”のミニチュアの模型を出演者・スタッフで手作りし、陸前高田市に寄贈している。

会見で、福田さんから感謝と今作への期待の手紙が読み上げられると、上野は陸前高田について、「本当に気持ちが良くて、自然と故郷に帰ってきたような気持ちになります。お花が咲いていたらホテルに持って帰って、(娘役の)つぐみと分けたりして、豊かな自然と風景を見るとすごく心も癒やされるんです」と紹介。

また、今年訪れた際の印象を、「9年経った今でも復興途中で、ショベルカーがあったり、道路が整備されていたりして、昨年に比べればこれからいよいよ、たくさんの方々が訪れてくれるような街づくりが始まるんだっていう気持ちが感じられました。今年は(東日本大震災津波)伝承館に行って、どんな被害が実際にあったのかというのを、展示や映像などで拝見させていただきました。その周りもまだ何もないんですけど、たくさんの温かい思いを積み重ねて、街がつくられていったらいいなと思います」と語る。

さらに、「コロナがあって、私たちもなかなかロケに行けなかったりしたんですが、このドラマが放送される時期に、震災からちょうど10年という節目もありますので、『朝顔』というドラマを通して、10年経って街が変わっても、変わらない心だったり、忘れてはいけない思いだったり、また今感じる気持ちだったりというのを皆さんに伝えて、感じていただければいいなと思います」と決意。

その上で、「このドラマを見て、『自分にできることは何かないかな』って思ってくださる方がいるといいなと思います。私は、東北のショッピングサイトで、災害に遭われた地域から海の幸とかお米とか食べ物だったり、小物だったりを日々買ったりしています。そういったことも支援につながりますので、皆さんがこのドラマを通して、何か自分のできる範囲で動いて、生活の中で(東北の人たちと)共に生きているっていう感覚を持っていただけると、私もこのドラマにやりがいを感じますし、東北の皆さんの思いも一緒に乗せて作品を作れることをうれしく思っています」と、涙を浮かべながら力説した。

そして、「2020年はコロナだけでなく、人が亡くなるということだったり、いろいろありましたよね。『朝顔』というドラマを通して、命というもの、『自分が今日も生かされてるんだ』ということを感じたり、考えたりしてもらえるように、伝えていきたいなと思っています」と再び決意を語った。

  • (前列左から)板尾創路、山口智子、上野樹里、風間俊介、戸次重幸 (後列左から)平岩紙、志田未来、中尾明慶、森本慎太郎