新型コロナウイルスの影響により延期されていた「スポーツクライミング 第8回リードユース日本選手権」が、富山県南砺市の桜ヶ池クライミングセンターで10月10~12日に開催された。
コロナ禍で延期が続いたスポーツクライミング
東京2020大会の正式種目の1つである「スポーツクライミング」は、人工の壁に設置されたホールドを上るスポーツで、「ボルダリング」「リードクライミング」「スピードクライミング」の3種目がある。
今回行われたのは、制限時間内に高さ12m以上の壁をどの地点まで登れるかを競い合う「リードクライミング」だ。選手はロープの繋がったハーネスを装着し、途中の確保支点にロープをかけながら安全を確保しながら登り、最後の支点にロープをかけると完登となる。
「スポーツクライミング 第8回リードユース日本選手権」には4つのカテゴリーがあり、ユースCは12歳または13歳、ユースBは14歳または15歳、ユースAは16歳または17歳、ジュニアは18歳または19歳が参加条件となる。10月10~11日にかけて予選が行われ、勝ち進んだ選手らによって12日に決勝が開催された。
新型コロナウイルス流行の影響を受け、開催が延期されていた同大会。新型コロナウイルス感染症対策として無観客で開催され、入場は大会スタッフや選手関係者などに限られたほか、入り口では非接触型体温計での検温や健康チェックシートの提出が求められるなどの措置が取られた。
開催期間中は台風の影響も懸念されたが、選手らの気迫に押されるかのように台風も逸れて晴れ間が見える日が続き、各選手は延期期間中に磨いてきた実力を披露していた。
期待の選手が一堂に会した決勝戦
リードクライミングでは、選手は競技前に他選手のトライを見ることが許されない。そのため、選手は全員部屋に隔離される。これを「アイソレーション」と呼ぶ。12日の決勝では、7時30分からユースCが、9時25分からユースB、A、ジュニアのアイソレーションが開始された。
競技はユースCからスタートし、男子10名、女子11名が参加した。選手紹介と、登る前にルートを下見して登り方を考える「オブザベーション」が8時25分に始まる。競技は男女同時進行で行われ、男子は、予選からその実力をいかんなく発揮していた藏敷慎人が完登を達成。女子は、粘り強いトライで小田菜摘が高度42+で優勝した。
ユースB、A、ジュニアはいずれも11時から選手紹介とオブザベーションがスタートした。
ユースBは、男子10名、女子12名が参加し、11時15分から競技開始。男子は、ユースCのころから安定した実力を持つ安楽宙斗選手が、高度45で1位を獲得。女子は、粘り強いトライで森奈央選手が高度48で優勝した。
ユースAには男女それぞれ10名が参加し、12時45分より競技が開始された。男子は、吉田智音が高度43+優勝。女子は、実力派の谷井菜月選手がスピード感のあるクライミングで完登し、1位を勝ち取った。
ジュニアには男女それぞれ6名が参加し、14時15分から競技を開始。男子は、昨年、イタリアで行われたクライミング世界ユース選手権の男子ユースAにおいて、ボルダリングとコンバインド(複合)で優勝している百合草碧皇選手が高度43で1位。女子は小島果琳選手と二宮凜選手がともに高度40+で並んだが、タイムの短さで小島果琳選手が栄冠を勝ち取った。
なお、同大会の協賛企業であり、例年であれば会場にクライミング体験などの特設ブースを設けて大会を盛り上げている久光製薬だが、新型コロナウイルス感染予防措置として、今回はブース出展を休止している。