12人の映像監督による12本の短編映画製作プロジェクト『DIVOC-12』の発表会が19日に行われ、上田慎一郎監督、三島有紀子監督が登場した。

  • 左から上田慎一郎監督、三島有紀子監督

    左から上田慎一郎監督、三島有紀子監督

同プロジェクトは、ソニーグループが新型コロナウイルス感染症により世界各国で影響を受けている人々を支援するために設立した「新型コロナウイルス・ソニーグローバル支援基金」を活用した支援プロジェクト。藤井道人監督チーム(テーマ:成長への気づき)、上田監督チーム(テーマ:感触)、三島監督チーム(テーマ:共有)と3チームに分かれた12人のクリエイターたちが作品を制作していく。12人の監督のうち、3名の監督を11月19日23時59分まで公式ホームページにて募集し、今後、俳優の募集も同ホームページにて開始していくという。

プロジェクト名の「DIVOC」はCOVIDを反対に並べた言葉で、「12人のクリエイターとともに、COVID-19をひっくり返したい」という想いが込められた。DIVOCの文字はそれぞれ「Diversity(多様性)/Innovation(革新)/Value(新しい価値)/Originality(個性)/Creativity(創造)」という軸を表している。

上田監督は「3チーム合計12監督で作るということで、そんなたくさんの監督たちと関わり合いながら映画を作ることがないので、とてもわくわくしております」と心境を表し、三島監督は「 すでにわいわい言いながら映画の話をしているので、そういう風に映画を作れるのがとても楽しいなと思っています」と期待する。

また三島監督は「女性の監督たちが、コロナになった時に『これから映画って撮れるんだろうか』という心細い感じで話している姿を見ていて、『きっと何か今までに生まれなかった新しいシステムだったり、今まで撮りにくかった若い方達や女性の監督が撮れるチャンスが出てくるはずだよ』という話をした時にこの話をいただいた」と振り返る。「自分たちの作りたいものを作っていいですよ、ということはなかなかない。自分が女性というのもありまして、性別、年齢、国籍関係ありませんという考え方だったし、自分が主に東映京都撮影所演出部で学んで、同じように演出部で勉強している皆さんにいつか映画を撮れるチャンスを持ってもらいたいなと思っていた」と参加の理由を説明した。

上田監督は「『鬼滅の刃』がスーパーヒットしていて、多くの人が映画館に行ったりしてすごくいいことだと思うし、多くの人が興奮するエンタテインメントを作りたい。ただそれと相反することなんですけど、12人の監督が10分の短編映画をつないでいくとなると、けっこう変な映画になると思うんですよ。『なんだこれは!』というような」と今回の作品を予想。「今まで自分が見てきたエンターテインメントとは違う映画に、事故的に出会うことでもあると思うんですね。この世界にはいろんな映画があるので、そういった映画も作っていきたいし、作ってる人を応援したいし紹介したいし、そういった映画をかけてる映画館も応援したい」と同プロジェクトの意義を語る。

さらに今回参加する若い監督へ、上田監督は「自分が『カメラを止めるな!』を撮るまで、すごく無知で無名で無謀だったんです。でも知らなかったからこそできたこともあって、大人になればなるほどいろんなことを知ってできなくなることもある。無知で無名で無謀だと無敵になれる。今までのやり方にとらわれないやり方ができると思うので、そういった姿を見せてほしいなと思いますし、自分もそれを見てまた勉強させてもらいたい」と期待を寄せた。