角換わりの将棋で西尾明七段相手に快勝

第79期順位戦C級1組(主催:毎日新聞社・朝日新聞社)の6回戦が10月20日に東西の将棋会館で行われました。ここまで開幕から4連勝の増田康宏六段は西尾明七段と対戦。74手で勝利を収め、首位をキープしています。

本局は先手の西尾七段が角換わりを選択。後手の増田六段は早繰り銀を採用しました。双方が駒組みを進め、増田六段が△7五歩と突いて開戦となりました。

西尾七段は強く▲6五歩と反発。銀取りに歩を突きます。対して増田六段も△5五歩と突いて、こちらも銀取り。最強の手段で応じ、局面は一気に激しくなります。両者が銀を取り合った局面は、双方に主張のあるものとなりました。先手の西尾七段はと金作りに成功。後手の増田六段は西尾玉を引っ張り出し、危険地帯へ誘導することに成功しました。

上げたポイントを有効に形勢に結び付けたのは、増田六段でした。と金を相手にしないようにしつつ、矢倉囲いの金を前線に繰り出して攻めに活用します。西尾七段はこの金目掛けて角と銀を打って反撃しましたが、増田六段の切り返しの角打ちがぴったりの一手。玉の薄い西尾陣はこの一手で崩壊してしまいました。

角で敵陣の金を入手した増田六段は、厳しく敵玉を追い詰めていきます。玉飛接近形の西尾七段は、粘ることができません。王手飛車取りに放った金捨ての好手が決め手となり、西尾玉は完全孤立。攻防ともに見込みなしとみた西尾七段の投了となりました。この勝利で増田六段は開幕から5連勝。同じく勝利した高崎一生七段と並んで首位を快走中です。

第3回AbemaTVトーナメントでは「チーム永瀬」の一員として優勝に貢献した増田六段。この日はチームリーダーの永瀬拓矢王座も王将リーグで木村一基九段相手に勝利を収めています。また、本日21日はチームメイトの藤井聡太二冠が順位戦B級2組の対局中です。

団体戦で将棋ファンを沸かせた「チーム永瀬」の面々は、戦いの場が個人戦に戻っても、変わらぬ活躍を見せています。

さらなる飛躍が期待される若手棋士の一人である増田六段
さらなる飛躍が期待される若手棋士の一人である増田六段