池永四段は昨年の加古川青流戦に続く2度目の棋戦優勝

第51期新人王戦決勝三番勝負(主催:しんぶん赤旗)第2局が10月19日に東京・将棋会館で行われました。第1局を制して優勝に王手をかける池永天志四段と、後のない齊藤優希三段との対決は、119手で池永四段の勝利。自身2度目の棋戦優勝を決めました。

先手番の池永四段の戦型選択は矢倉でした。それに対し齊藤三段は、居玉のまま早々に桂を跳ねて攻めていく速攻策を採用します。この仕掛けは今期の竜王戦七番勝負第1局で豊島将之竜王が羽生善治九段に対して用いた作戦です。

角を切り飛ばしていく荒々しい齊藤三段の仕掛けに対し、池永四段は丁寧に応対。相手の攻めは自陣に傷を作りながらの諸刃の攻めのため、局面を落ち着かせればリードを奪えるという考えでしょう。

攻めが止まると苦しくなる齊藤三段は手段を尽くして攻めを継続しますが、池永四段の丁寧な対応により次第に息切れ模様となっていきます。そして相手の攻めを受け止め切った池永四段が、香の駒得を果たしてリードを奪いました。

リードしてからも一貫して丁寧な指し回しを見せた池永四段。受けすぎにより形勢が接近した局面もあったようですが、逆転は許しませんでした。最後は自玉の安全を確保した後に飛車2枚を捨て、相手玉を受けなしに追い込んで勝利を収めました。

2連勝で新人王戦優勝を決めた池永四段。昨年行われた第9期加古川青流戦に続く、2度目の若手棋戦優勝です。

現行の若手棋戦は新人王戦、YAMADAチャレンジ杯、加古川青流戦の3棋戦です。そのうち2棋戦を制した棋士は、永瀬拓矢王座(新人王戦、加古川青流戦)、船江恒平六段(YAMADAチャレンジ杯、加古川青流戦)、大橋貴洸六段(YAMADAチャレンジ杯、加古川青流戦)の3人。池永四段は彼らに続く4人目の棋士となりました。なお、3棋戦とも制した棋士はまだいません。

丁寧な受け将棋で優勝を勝ち取った池永四段
丁寧な受け将棋で優勝を勝ち取った池永四段