帝国データバンクはこのほど、2020年1~9月末までに広告関連業者の倒産件数は108件発生し、負債総額は67億100万円に上ると発表した。2020年上半期(1~6月)は73件の倒産が発生し、前年同期(65件)を上回るペースで推移。その後、件数は落ち着いたが、前年同期の累計107件をわずかに上回る結果となった。
小規模事業者を中心に引き続き倒産動向に注視が必要
広告関連業者の倒産件数は、2009年に過去最多の258件を記録して以降、減少傾向が続いていた。しかし、2017年以降は増加に転じ、2020年も9月までのペースが続けば、4年連続で前年を上回る可能性があるという。
2020年1~9月の倒産を業種別にみると、「広告代理業」が最も多く57件(構成比52.8%)。以下、「広告制作業」が31件(同28.7%)、「ディスプレイ業」が12件(同11.1%)、「その他」が7件(同6.5%)と続いた。
負債規模別では、「1000万~5000万円未満」が74件(同68.5%)で最多。次いで「5000万~1億円未満」が17件(同15.7%)、「1億~5億円未満」が16件(同14.8%)となった。
新型コロナウイルス関連倒産は6件発生。同調査では、「今回の新型コロナ禍において、固定費率が高い業種ほど、倒産が増加しやすい傾向がみられる中で、広告業界は比較的固定費率が低いことが急増に至っていない要因とみられる」と分析。その上で、「景気変動の影響を遅れて受けることが多いとされる業界であるため、年末にかけて倒産が増加する可能性を抱えており、小規模事業者を中心に引き続き倒産動向に注視が必要」と指摘している。