特に女性であれば、毎日向き合うメイク……そんなメイクについて、様々な女性にフォーカスを当てたドラマ『だから私はメイクする』(テレビ東京系 毎週水曜24:58〜)が現在放送されている。同作はオタク女性4人組・劇団雌猫による同名エッセイ集を原案とした、シバタヒカリ氏のコミックの実写化作。メイクを通して浮き彫りになる「社会」や「自意識」と戦う女性たちの悲喜こもごもを描き、毎話、様々な女性の「メイク」にまつわるエピソードが繰り広げられている。
ドラマでは、主人公であるコスメショップのビューティーアドバイザー(BA)・熊谷すみれを神崎恵、新人BA近藤芽生を志田彩良、芽生の先輩BA・山本織香を吉田朱里が演じている。NMB48の1期生として活躍する吉田は、現在美容系YouTuberとしても幅広く支持を得ており、さらに自身が立ち上げたコスメブランド『B IDOL』のつやぷるリップは150万個を売り上げ、@cosmeベストコスメアワード2019下半期リップ新人賞を受賞した。今作への出演発表の前日にはNMB48からの卒業も発表し、「卒業後は女優に?」と推測する声もあったが、別の考えがある様子だ。
■卒業後、女優になりたいということではなく…
――出演発表時のコメントでは「まさかのドラマのオファー」ということでしたが、どうして「まさか」だったんですか?
女優業をしたいと言ってこなかったですし、演技には自信がなくて。女優としてやっていく予定ではなかったのに、卒業発表の次の日にドラマ出演発表だったので、ファンの方からしたら「あれ!?」「女優になるんだ」と思われるんじゃないかな、と(笑)。でも、違うんです! たまたまタイミングが重なりました。
――今回の撮影で目覚め始めていたりということは…?
難しいですね……演技には自信がないので(笑)。「自分のライフスタイルを等身大で発信していきたい」「1番に“自分”を出したい」という芸能プランがあり、役が先行するというのは違うと思っています。でもこうやってありがたいお話があるなら、経験にもなるし、もしかしたら今後目覚めることもあるかもしれません。もともとは、女優さんやモデルさんになりたくて芸能界を目指していたんです。
――ご自身の芸能プランは、いつごろから考え始めたんですか? 『B IDOL』のつやぷるリップ大ヒットも驚きました。
YouTubeを始めたのは「知名度を上げたい」という思いからでした。それがまさかコスメプロデュースやドラマ出演につながるとは想像もしていなかったです。最近は女の人がメイクをするのって、メンタルからなんだろうなということにも気づきました。たとえば新学期や新生活だったら「生まれ変わりたい」とか、そういう思いが全部関係しているな、と。「今日はこう思われたいから、こういうメイクにしてる」といった思いに気づいたから、私自身も等身大で表現するのが1番いいのかなと思いました。これから自分が大人になるなら、その成長も発信していきたいですね。
――そこまで自身のコンセプトをはっきり決められることはなかなかないと思います。
それは、10年のアイドル人生のなかで学んだことかもしれないです。アイドルをやって、「ストーリーって大事だな」と思いました。その人にストーリー性があるから応援したくなるということを、ファンの方やグループに気づかせてもらいました。自分らしくいる事に共感してもらえるって嬉しいことやから、そのまんまでいようって思います。
――そう思うと、今回の『だから私はメイクする』はぴったりのテーマですね。
本当に! しかも、たまたま自粛期間中に実家の自分の部屋を掃除してたら、いただいた『だから私はメイクする 悪友たちの美意識調査』(柏書房)が部屋にあって、「これまで読んでなかったけど、読もう」と思って、机の上にぽんと置いておいたんですよ。そうしたら、次の日にドラマの話の詳細が送られてきて、運命を感じました。
しかも、新しく出す秋のコスメも大人のかわいさに注目しようと思って練っていた時で。先ほども言ったように、女性って「今日の仕事、苦手やな」とか思ってる時に、強めのメイクをしていくこともあると思うんです。私のブランドは、ちゃんと「女の子がなんでメイクをするのか」を大事にしていこう、と考えていた時に、ドラマのお話が来ました。そこに気づいたことによって、卒業後の自分の生き方・見せ方が浮かんで、モヤモヤしたものがふっと晴れたので、すごくやりたいなと思いました。
■普通の住宅街で育った自分を忘れない
――今回は美容部員さんを演じていましたが、アドバイスする気持ち、共感できるところはありますか?
動画を配信するようになってから、女の子のファンが増えていろいろと質問をいただいたり、グループの後輩メンバーやファンの人にメイクする企画もあったので、人に対してアドバイスする機会も増えましたね。今回のドラマもメイクがメンタルを支えてくれるということや、どうしてメイクをするのかということに注目しているので、共感したりとか、気付かされたりする部分も多かったです。
――実際に演じた役は自分と近いと思いますか?
どんな時も明るかったり、物事をハキハキ言ったりというところは、すごく自分に近いです。深刻な空気の中で「やっぱそうやんな!」と入っていく感じとかも、似てるなと思っていました(笑)。もともと原作にはいないキャラクターで、脚本の方も「吉田朱里で」「イメージにぴったりなんだよね」と言ってくださったので、すごく演じやすかったです。自分に自信をくれたり、自分らしさを肯定してくれるドラマだと思うので、ぜひ見てください!
――お話を伺ってると、本当にもうプロデューサーと話しているようで。
普通だからこそ、という考え方の方が大きいのかもしれません。プロが教えているメイクでもなんでもないから、自分が経験してきた事がメイク術にも出てるだけで、普通でいたいなと思います。いつまでも、大阪の普通の住宅街で育った自分を忘れないでいたい。
もともとは、モデルさんになりたかったんですけど、YouTubeをやればやるほど、自分を出さないといけないし、隠してる部分も全部出していかなきゃいけなくて。でも、それがいいなと思いました。小嶋陽菜さんみたいな完璧な存在にはなれないけど、「アカリンくらいにはなれてるな」と自信を持ってもらえたら、それが私のやり方なのかなと思ってます。
■吉田朱里
1996年8月16日生まれ、大阪府出身。2010年よりNMB48第1期生として活動を始める。2016年よりYouTubeに個人の公式チャンネルを開設し、美容系YouTuberとしても人気に。2018年からは『Ray』の専属モデルも務める。2019年にはコスメブランド『B IDOL』を立ち上げ、注目を集めている。
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