東京メトロは16日、銀座線の日本橋駅、京橋駅、銀座駅、青山一丁目駅、外苑前駅において、多機能トイレやエレベーターなどバリアフリー設備の整備、ホームドアの設置を含めた駅リニューアルを実施したと発表した。
2017年に開業90周年を迎えた銀座線では、今後も末永く利用してもらえる路線となることをめざし、「伝統×先端の融合」の路線コンセプトの下、全駅のリニューアル工事を行っている。
銀座駅のデザインコンセプトは「憧れの街」。銀座に漂う「上品さ・優雅さ・高級感」を感じられるように、明るさや洗練さをあわせ持った空間を演出した。銀座線のホーム側壁には、古き良き銀座の街並みのイメージを一面に描き、電車を待ちながら移ろいゆく銀座の歴史を感じてもらうことで、銀座に訪れる多様な人々と街を世代・国・地域を越えてつなぐ役割を果たす。
日本橋駅のデザインコンセプトは「橋の街」。江戸時代の1603年に木造太鼓橋で建造された日本橋は、幾度かの改修や改架で姿を変えてきたが、いまでも街のシンボルとして存在感を放っている。その日本橋のある街の駅として、江戸時代から続く日本橋の歴史を伝え、にぎわいと活気の感じられる空間を演出した。ホームでは、壁面のアーチや壁天井の木調の仕上げがかつての江戸の日本橋を表現。間接照明から降り注ぐやわらかな光が空間にあたたかみをもたらしている。
京橋駅のデザインコンセプトは「時のギャラリー」。歴史的建造物や美術骨董品のギャラリーが残る近代的な街、歴史と近代が共生する街のイメージを表現している。東京のガス灯発祥の地であることにフォーカスし、柱のデザインモチーフとした。ガス灯をイメージしたやわらかな灯りが、ぬくもりのある落ち着いた空間を演出する。改札口(渋谷方面改札)では、ガス灯をモチーフとした柱が改札口の存在感を際立たせ、視認性を高めるほか、柱内から漏れる灯りは時間帯によって変化し、1日を通してさまざまな表情をみせる。
外苑前駅のデザインコンセプトは「スポーツの杜」。銀杏並木や多くの自然に囲まれた競技場をはじめ、有名な観光スポットを有する外苑前駅は、駅全体に「神宮外苑に集う人々の中に、爽やかさを感じる」デザインを取り入れている。改札口(神宮球場方面改札)において、艶のある明るい天井にトラックをモチーフとしたラインを施すことで、スポーツの軽やかさを演出。垂直に伸びる柱の半鏡面スリットは行き交う人々を映し出し、空間に彩りを添える。
青山一丁目駅のデザインコンセプトは「優雅な街並み」。かつて徳川家康の重臣である青山家の大名屋敷があり、現在は青山家跡地の一部に青山霊園の桜並木が作られ、春になると落ち着いた雰囲気の中で美しく咲き誇る桜を楽しめる。その桜並木の要素を抽出し、気品ある街並みをモチーフとしたデザインを取り入れることで、優雅さの感じられる空間を演出した。ホーム(渋谷方面)の床はタイルの組み合わせによって石畳を表現し、柱は桜の木肌を模した艶のあるデザインとした。