叡山電鉄は17日、700系リニューアル車両723号車の運行開始に先立ち、プレイベントとして修学院車庫で車両展示撮影会を開催し、出町柳駅まで貸切運行を行った。当日は雨にもかかわらず、多くの参加者たちが723号車に熱い視線を注いでいた。
叡山電鉄は京都市北部で叡山本線・鞍馬線の2路線を運行(鞍馬線市原~鞍馬間は土砂崩れの影響で運休中)。700系は同社初の冷房搭載車両として、1987(昭和62)年にデビューした。今回、リニューアルされた723号車(700系 デオ720形)は1988年に登場。運行開始から30年以上が経過したため、リニューアルの対象車両となった。
リニューアルされた723号車は青色を基調としたデザインに。青色は水の豊かな山紫水明の地である京都・洛北の自然を表現しているという。叡山電鉄の車両は緑色や朱色の系統が多いだけに、涼しげな青色の塗装はかえって新鮮に見える。
この日のプレイベントは午前の部・午後の部の2回に分けて開催された。修学院車庫で行われた車両展示撮影会では、2019年にリニューアルされた700系722号車とのコラボ撮影も実現。722号車は朱色、723号車は青色を基調としたカラーリングで、同じ形式とは思えないほどの違いを感じさせる。723号車のリニューアルを記念したヘッドマークもお披露目され、このヘッドマークは11月30日まで掲出予定となっている。
塗装以外では、LED式の行先表示器に注目したい。行先表示器は日本語の他に3か国語(英語、中国語簡体字、韓国語)を表示し、外国人観光客にも対応する。
車内に入ると、青色のロングシートがよく目立つ。京都らしさを演出するため、座席の仕切り部には京友禅の生地を硝子に封入した「京友禅硝子」を採用した。「京友禅硝子」のデザインはさまざまで、青色主体の車内にレトロモダンな雰囲気を醸し出している。なお、700系はおもに1両で運行され、リニューアル後も車端部に運賃箱などワンマン運転に対応した設備を備えている。
車両展示撮影会に続いて、リニューアルされた723号車の貸切運行が行われた。修学院車庫から二軒茶屋駅の引上線で折り返し、出町柳駅に至るコースで走行する。
午前の部の貸切運行では、10時55分に修学院車庫を出発。叡山本線の上り線(出町柳方面)に入った後、下り方面(二軒茶屋方面)に方向転換する。修学院駅付近で上り線から下り線に転線し、叡山本線・鞍馬線を走行して、11時15分に二軒茶屋駅に到着。鞍馬線は宝ヶ池~二軒茶屋間が複線、二軒茶屋駅から先は単線となっており、平日の日中時間帯、半数の列車が二軒茶屋駅で折り返す。
723号車は静々と二軒茶屋駅の引上線に進入。鞍馬線の電車をやり過ごした後、再び方向転換して、出町柳駅に向けて出発した。参加者たちは叡山電鉄代表取締役社長、豊田秀明氏による解説を聞きながら、普段とは少し違った叡電の旅を楽しんでいた様子。11時40分頃に出町柳駅に到着し、午前の部のプログラムは終了した。
リニューアルされた723号は10月18日、修学院駅5時28分発の出町柳行、出町柳駅5時42分発の八瀬比叡山口行から運行開始する予定。限定運用の予定はなく、同社ホームページでも運用情報は公表しないとのことだった。