新型コロナウイルス感拡大の影響で失業状態が続いたり、病気で働けなくなったりと、誰もが生活が困窮する可能性があります。 そこで、生活保護の制度とは一体どのようなものなのか、実際いくらくらい補助されるのか、知っておきたい生活保護制度について詳しくお伝えします。
■生活保護制度とは
「生活保護制度」とは、生活に困窮する人に対して、困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的とした制度です。これは憲法25条の生活保護法によって定められている国の制度です。
■制度の対象者や条件は?
もし、失業したり病気をしたりして長期間働けなくなってしまい、貯金がなくなってしまった場合、最後のセーフティーネットとして生活保護制度を利用するということは生きていくために必要なことです。
生活保護を受けるためにはいくつかの条件があります。 まずは、世帯員全員が、利用できる資産や能力など全てを最低限の生活の維持のために活用することが前提です。
(1)預貯金や土地・家屋、車などの資産を保有していないこと
生活に利用していない土地や家屋があれば売却するなど生活費に充てることが必要です。
(2)働けない環境であること
働ける人はその能力に応じて働くことが必要です。
(3)国からの公的融資や公的制度を利用していないこと
年金や他の手当が受けられる場合はまずそれらを活用しなければなりません。
(4)親族から援助を受けられない状況であること
親族などから援助を受けられる場合は援助を受けましょう。
これらに当てはまったうえで、世帯の収入と厚生労働大臣の定める基準で計算される最低生活費を比較し、収入が最低生活費に不足した分だけ生活保護が支給されます。ここでいう「収入」には、就労による収入以外に、年金等の社会保障給付、親族による援助などが含まれます。
例えば、最低生活費が10万円で収入が5万円だとすると、生活保護費は5万円支給されるという計算になります。
■どこに相談すればいい?
生活保護を受けようと思った時や相談したい時は、現在住んでいる地域の福祉事務所の生活保護担当が窓口になっています。もし、福祉事務所がない町村に住んでいる人は、町村役場でも申請できます。
「生活が苦しい……」と思った時は、1人で悩まずにまずは相談するようにしてくださいね。
■生活保護制度の内容
生活保護では8種類の扶助に分かれていて、生活を営む上で必要な費用に対して扶助が支給されます。
自分がいくら生活扶助を受けられるかは、自身の基準額を知る必要があります。基準額は3つあります。
(1)自分が住んでいる地域
地域によって物価や地価が異なるため、1級地、2級地、3級地に分けられています。
(2)年齢
0歳~75歳以上で分類されています。
(3)世帯人数
世帯人数に応じて逓減率が設定されています。世帯人数が増えるごとに1人あたりの支給額が少なくなります。
これらの基準額を元に計算され、障害者や母子家庭などはそれぞれ加算されます。詳しくは厚生労働省のHPを参考にしてください。
■生活が困窮する前にできる対策は
今回は、生活が困窮した時に最後に使える生活保護についてお伝えしました。 でも、生活が困窮する前にできる対策は、少しでも早いうちからしておきたいですね。家計の再建策として、「支出を抑える」「収入を増やす」「貯蓄をする」という三段構えで対応していきましょう。貯蓄が増えることで家計の基礎体力を強くすることができ、いざと言いう時に慌てずにすみます。
また、申請すればもらえる手当や年金にはどのようなものがあるのかチェックしておくことも大切です。健康保険の傷病手当金や雇用保険の失業給付、傷害がある人は障害年金などを申請したり、年金が少ない人は年金生活者支援給付金などの制度を利用したりするといいでしょう。
生活保護は一度申請しても、安定した収入が得られるようになると生活保護の受給を停止することができ、その際には「就労自立給付金」を受け取ることができます。生活を立て直すまでのセーフティーネットとして、知っておいてくださいね。