新型コロナウイルス対策として重要とされているのが「三密(密閉・密集・密接)」の回避。三密のひとつ「密閉」状態を解消するために推奨されているのが、定期的な換気です。そこで、ダイキン工業は2021年モデルの家庭用ルームエアコンに「換気ができるエアコン」をラインナップしました。意外と知られていないことですが、エアコンは基本的に室内の空気を循環させる仕組みのため、ほとんどの製品は外気を取り込む「換気」はできないのです。
換気に対応した新製品となるのは、フラッグシップモデルの「うるさらX」、加湿もできるコンパクトモデル「うるさらmini」、そしてスタンダードモデルに換気機能を搭載した「Vシリーズ」。うるさらX・うるさらminiは11月1日発売、Vシリーズのみ2021年3月30日発売になります。
うるさらシリーズの最上位モデルは換気能力を強化
ダイキンのエアコン最上位機種は「うるさらX」。うるさらシリーズは、冷暖房や除湿運転に加えて、給水なしで加湿できる「無給水加湿」機能を搭載していることが特徴です。さらに、フラッグシップモデルということで、エアコン内部の清潔性を保つ「水内部クリーン」機能や、AIが操作履歴などを判断して快適な環境を学習する機能、ストリーマによる空気清浄機能など、多くの便利機能を備えています。
今回発表された新製品は「換気」機能が特徴ですが、うるさらXは従来モデルから換気機能を搭載していました。換気方法は、室外機の吸入ファンで外気を取り込み、搬送ホースで外の空気を室内に送り込む仕組み。
室内に外の空気を放出する前には、熱交換器で温度を調整します。なので、換気しながらでも「冬の換気で部屋が寒くなる」「夏の換気で冷気が外に逃げてしまう」というデメリットを回避できます。温度だけでなく湿度のコントロール機能も。夏のジメジメした空気を除湿しながら換気したり、冬の乾燥した空気を加湿して部屋に送り込んだりします。
うるさらXには以前からあった換気機能、新モデルで進化した点もあります。ひとつはリモコンに「換気」ボタンを搭載したこと。ワンタッチで換気ができるようになりました。また、室内に人が増えると換気する風量をアップ、人が減ると換気量を減らすといった「センサー換気」にも対応しました。
センサー換気は人の在・不在にあわせて換気の風量を調整しますが、別売りのAIコントローラー「Beside」を利用すれば、CO2濃度を検知した自動運転も可能です。BesideはCO2濃度センサーを搭載した、うるさらXと連動可能なコントローラー。スマートフォンから、温度や湿度、CO2濃度の移り変わりを見える化できます。また、CO2濃度に応じて連携するエアコンの換気機能を自動運転させたり、暑い・寒いを学習して快適な運転をサポートするといったことも可能です。
このほか新機能としては、水内部クリーンの運転時間を従来モデルよりも短縮。さらに、水内部クリーンを実行すべきタイミングをリモコンに表示する機能を追加しました。汚れがつきやすい室内ファンには、防カビ剤を練り込んだ新素材を採用しています。
加湿機能あり・なしが選べるようになった換気対応モデル
うるさらXは多機能で便利ですが、多機能だけに室内機のサイズは大き目。このため、子供部屋や寝室などには物理的に設置できないという家庭も多いのです。また、水内部クリーンやAIによる制御などは必要なく「シンプルに冷暖房、除湿、加湿ができればよい」というユーザーもいます。
そんな要望に応えたのが「うるさらmini」です。これまでのうるさらminiは換気機能を持っていなかったのですが、新モデルではうるさらXと同じように換気機能を搭載しました。
加湿もできる「うるさら」シリーズは乾燥しやすい冬には便利ですが、価格は高め。しかも、機能の都合上どうしても室外機が大きくなるというデメリットもあります。そこで「加湿機能はいらないけれど、換気はしたい」という要望に応えたのが、スタンダードモデルに換気機能を搭載したVシリーズです。全体のラインナップとして、3つの価格帯と搭載機能から「換気ができるエアコン」を選べるようになりました。
業務用エアコンにも換気を導入、
「換気が行えるエアコンは少ない」と前述しましたが、それは業務用エアコンも同じ。このため、今回のコロナ禍では暑い時期にもエアコンと併用して窓を開けたり、ドアを開けっぱなしにする飲食店などが多く見られました。
今回の発表会では、換気機能を搭載した業務用換気機器の新製品も登場。ダイキン工業の常務執行役員 空調営業本部長である船田聡氏は「コロナ禍となる今まで、多くの人は換気を意識していなかった」とコメント。今後も家庭用・業務用を問わず、新しい生活様式に対応した製品やサービスを提供していきたいと話しました。