コニカミノルタとコニカミノルタプラネタリウムは10月9日、次世代ドーム映像サービスプラットフォームを構築する「Connected Dome」ビジネス戦略を発表。高臨場感コンテンツ配信で、ドームシアター施設の多目的な活用を推進し、「プラネタリウム業界にデジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation:DX)をもたらす」としている。
コニカミノルタは、現在のプラネタリウムを中心とした映像ソリューション事業に、ネットワークやクラウドと連携したプラットフォーム型サービス「Connected Dome」を投入。同社の強みである全天周映像とVR映像を核に、「臨場感×ネットワーク」によるリアルな体験を映像で再現する。
従来は単体で運用されてきたプラネタリウムだが、これらをネットワークでつなぎ、多様なコンテンツ体験を提供すると共に、オペレーション効率をアップさせ、運用コストの削減を支援。さらに、各館独自の投映プログラム作成も可能なエッジサーバーや、スクリーン自体が発光するLEDドームシステム「DYNAVISION-LED」など、ハード面においてもドームシアター施設の価値を高めるための、先進的なデジタル技術を提供する。
将来的には、全国の自治体に設置されている約350館のプラネタリウムがパブリックビューイングやコミュニティライブサイトの対象となり、複数のプラネタリウムで同じ星空を見ながらコミュニケーションを行ったり、宇宙ステーションと交信したり、遠隔地で開催される音楽ライブやイベントに参加できるなど、双方向の360度体験を提供することを目指す。
同社は「コニカミノルタはプラネタリウム業界で唯一、直営館運営・コンテンツ制作・システム開発の全てを手掛けており、そのリソースと知見を活かしてドームシアター市場を大きく変えられる」とアピール。Connected Domeビジネスへの足掛かりとして、前述の「DYNAVISION-LED」を2019年7月に発売したほか、直営館上映作品の360度VR配信を2020年5月にスタート。この10月からは、直営館で開催する音楽ライブの配信なども行っていく予定だ。
また、今後新たに開設される直営館ではDYNAVISION-LEDや、後述する「Connected Dome Library」をつないだコンテンツ流通の仕組みを実装していく予定だという。
上映館へネット経由で新番組配信、つくばエキスポセンターなどで導入
Connected Domeビジネスの第1弾として、プラネタリウム番組の配信をネットワークサービスで行う、全天周デジタルコンテンツ配信サービス「Connected Dome Library」を、プラネタリウム館向けに提供開始。「つくばエキスポセンター」(茨城・つくば)で2021年3月から、「佐世保市少年科学館 星きらり」(長崎・佐世保)では2021年4月からサービスを開始する予定だ。
従来はプラネタリウムで新コンテンツを上映するときは、上映館ごとに自動投映プログラムをセッティングする必要があり、この作業のために数日の休館を必要としている。
Connected Dome Libraryでは、コンテンツをクラウド経由でダウンロードして専用サーバーに格納し、そのまま上映が可能。効率的なコンテンツ配給を実現することで、休館日数の削減に寄与するほか、上映館は従来よりも多くのコンテンツを自由に編成できるようになり、来場者のリピート率向上に役立つとしている。
同社はサービスの開発にあたり、つくばエキスポセンターの協力を得て基本仕様の確認や実証試験を実施。ユーザビリティーの向上に加え、1日の最終上映枠で上映する番組の種類を、通常の1本から7本に増やすことで、来場者数が対前年比150%となるなどの運用効果が実証されたという。
このサービスは前述の2館に導入されるほか、東京都内に3館ある直営館(コニカミノルタ プラネタリウム天空、コニカミノルタプラネタリウム満天、コニカミノルタプラネタリア TOKYO)へ順次導入予定。今後も全国のプラネタリウムへコンテンツ配信を広げていく。