帝国データバンクは10月8日、2020年1~9月までに「ラーメン店」の倒産が34件発生したと発表した。9月までの累計で30件を超えたのは2000年以降初となり、過去最多の2019年(36件)に並ぶ勢い。同調査では、「このペースが続けば、過去20年で最多を更新することがほぼ確実」とみている。
人気ラーメン店の倒産続く
2020年は、豚骨ラーメンの「長浜将軍」(福岡)、横浜家系ラーメンの「六角家本店」(神奈川)など、人気ラーメン店の倒産が相次いで発生。特に六角家本店は2017年中には既に閉店していたものの、新横浜ラーメン博物館への出店やカップ麺の発売により、横浜家系ラーメンの名を全国区とした有名店として知られている。
経済産業省が2016年に取りまとめた経済センサス活動調査によると、ラーメン店の数は全国1万8,000店に上る。うち約半数が個人店であるほか、店舗数も2012年調査から4年間で約1,000店増えている。新規参入の敷居が比較的低い半面、非常に競争が激しく、低価格戦略による体力勝負の消耗戦を余儀なくされるケースが多くみられるという。
ラーメンの価格自体も、10年前からほとんど変化しておらず、手軽な価格で食べられるという低価格イメージが根強いため、「大手でも値上げによる収益改善策は容易ではない」(同調査)。このような経営環境もあり、ラーメン大手では不採算店舗を中心に閉店や業態転換を急ぐなど厳しい状況だ。同調査では、「今後のラーメン店の経営には、緻密なマーケティング戦略など『味』以外での差別化が求められる」と指摘している。