世界中で多くのファンに愛されながらも、2000年8月の日本生産中止をもって1度は自動車史から姿を消した日産自動車のスポーツカー「フェアレディZ」。2002年には復活を果たし、現在は次期モデルのプロトタイプ登場にクルマ好きが沸いている真っ最中だ。今回の記事では、日産復活という使命が共通する平成の「Z」と令和の「Z」を見比べてみたい。
1989年「フェアレディZ 2by2 300ZX ツインターボ」(Z32型)
4代目フェアレディZ(以下、Z)を開発していたころ、日産では「技術で世界一を目指す」車種横断の取り組み「901活動」を進めていた。その恩恵を受け、4代目Zはスタイリングから走行性能にいたるまで、全ての面で大幅なアップデートを遂げた。
スタイリング面ではキャビンを前方に押し出すキャビンフォワードレイアウトを採用。運動性能の向上を目的にオーバーハングを短くした。性能面では4輪マルチリンクサスペンションや4輪操舵システム「スーパーHICAS」といった最新シャシー技術を導入。エンジンは最大出力300馬力に迫るツインターボ化したV型6気筒を搭載した。
1992年にはコンバーチブルモデルが登場し、フルオープンの日産スポーツカーが復活を遂げたが、2000年8月には生産中止となるなど、良くも悪くも話題を振りまいたモデルでもあった。
2002年「フェアレディZ バージョンST」(Z33型)
1度は系譜が途絶えてしまったZだが、2002年にZ33型が登場し、復活ののろしを上げる。スタイリングは伝統のZスタイルを残しながらも、内外装に現代的な感覚を取り入れて近代化。「スカイライン」と共通のFM(フロントミッドシップ)プラットフォームと3.5LのV型6気筒エンジンを採用し、スポーツカーにふさわしい動力性能を備えていた。
2008年「フェアレディZ バージョンST」(Z34型)
現行モデルとなる6代目Zは、全体の引き締め効果が期待できる「ブーメランモーション」デザインを採用したヘッドライトやリアコンビネーションランプなどが特徴だ。ホイールベースは先代モデルと比べて100mm短縮。ボディーの軽量化と旋回性能の向上に寄与している。可変バルブタイミング/リフト(VVEL)を採用したエンジンは、トルクフルな3.7LのV型6気筒へと正常進化を果たした。
各時代において、性能と品質の両面で多くのファンを魅了してきた歴代Z。先日公開となった次期型のプロトタイプは、歴代モデルのスタイリングを現代風にアレンジした外観からも、ZのDNAを脈々と受い継いでいることが確認できた。となれば、あとは価格だ。みんなが楽しめる手頃な価格のスポーツカーという当初のコンセプト通り、頑張れば手が届く価格帯での登場に期待したい。