大手牛丼チェーンの吉野家は秋冬の定番商品「牛すき鍋膳」と、数量限定の新商品「黒毛和牛すき鍋膳」(998円)の販売を、全国の店舗で10月5日から開始した。そこで今回は1日に開催された試食会に参加。創業121年の吉野家の歴史の中で初めて「黒毛和牛」を使った新商品「黒毛和牛すき鍋膳」を実食レポートする。
「黒毛和牛」を本体価格1,000円以下で堪能
吉野家が2013年から全国の店舗で提供する「牛すき鍋膳」は、1.3mmの厚さにスライスされた赤身と脂身のバランスが良い大判のすきやき用専用牛肉を、野菜などの具材と一緒に鉄鍋で熱々に煮込んだ御膳仕立てのメニュー。
648円(税別)というリーズナブルな価格ながら、半日分の野菜を一食でとることができ、女性客やファミリー、年配の方など、幅広い層からの注文が多い、季節限定の人気商品となっている。
今回、新発売された「黒毛和牛すき鍋膳」は、吉野家の担当者いわく「牛肉のプロフェッショナルである吉野家の食肉バイヤーが足掛け7年、「牛すき鍋膳」の販売を開始した頃から夢みていた」と語る渾身の逸品。
和牛を使用しながらも身近な価格で高い満足感が感じられるメニューを目指すという商品開発の難しさから、なかなか実現には至らなかったようで、昨年の構想から10カ月もの準備期間を要したという。
998円(税別)という価格は確かに吉野家のメニューの中では少々お高めだが、商品は「牛すき鍋膳」と同様に「黒毛和牛すき鍋」と、玉子、ご飯、お漬物の御膳仕立て。黒毛和牛の魅力をしっかりと堪能できるメニューとなっている。
鍋に溢れ出る黒毛和牛の味わい
和牛は融点が低く加熱すると溶けやすい特徴があるため、吉野家は鍋にしても食べ応えがある赤身が多い大判のすきやき肉を厳選。吉野家らしい「黒毛和牛」を求めて牛丼の牛肉同様、一定基準以上のグレードのバラ肉にもこだわったという。
火が灯された卓上コンロの上に供された熱々の「黒毛和牛すき鍋」からは、和牛特有の香り高さが湯気とともに立ち上り、お肉を口に入れた瞬間、とろけるような食感、凝縮された至福の甘みを味わえる。
吉野家特製すきやきのたれと一緒に、溢れ出た黒毛和牛の極上の肉のうまみが白菜、玉ねぎ、長葱、人参、絹豆腐、きしめん、お麩といった具材に染みていて、それぞれの美味しさや風味も増しているようだ。
和牛は微妙な厚さの違いで溢れ出るうまさや食べ応えが異なるため、0.1mm単位でスライスするなどの試作や試食を重ねたそうで、「黒毛和牛すき鍋膳」は普段から牛肉を食べ慣れている吉野家社員の新商品試食会でも非常に好評だったという。
一方、新型コロナウイルス感染拡大前から開発を進められてきた「黒毛和牛すき鍋膳」だが、コロナ禍で国内の牛肉市場では生産と消費のバランスが適正ではない状況が続いている。看板食材である牛肉を主軸に商品展開する吉野家には、和牛を使った新商品を販売することで国内牛肉の消費拡大や、需要が減った和牛畜産農家の支援に少しでも貢献したいとの思いもあるようだ。
冬の定番である「牛すき鍋膳」は来年2月末程度までの販売を予定。「黒毛和牛すき鍋膳」の販売数は全国で約50万食を予定しており、売り切れ次第、販売を終了する。販売期間としては1カ月~1カ月半程度を見込んでいるとのことだが、早めにその味わいを体験してみてほしい。
※価格は全て税別