「交通弁護士ナビ」はこのほど、全国の運転免許保有者を対象に「あおり運転に関するアンケート」を実施し、結果を公表した。同調査は2020年6月26日~9月30日、インターネットリサーチにて実施。有効サンプル数は427人だった。
「運転中にイライラしたことはありますか?」と質問したところ、94.1%もの人々が「イライラした経験がある」と答えた。予期せぬトラブルや割込みが自身や周囲の安全に直結する可能性ある運転では、些細なことでもストレスに感じやすいのかもしれない。
運転中イライラした経験がある人を対象に、どのような状況だったか質問したところ、「急な割込みなど、危ない運転をされた時」(45.8%)、「前方の車が遅い」(36.5%)、「何度も信号に引っかかった時」(9%)となった。
82.3%の人が他者の運転に対して苛立っていることから、自分の思い通りにならない状況や予期せぬ事態に見舞われたときに苛立つ傾向が強い。中には「クラクションを鳴らされたとき」と回答する人もいた。クラクションは危険を知らせるための警報なので、過剰に驚いてしまったり、不快感を示したりする人もいることだろう。
運転中イライラした際の対応として最も多かったのが「特に何もしない」(43.6%)といった回答となった。一方で、「深呼吸や音楽をかけてリラックスをする」(22.7%)、「相手や同乗者に文句を言う」(15.5%)など、56.4%の人はイライラ解消のために何かしら行動を起こしている。
回答から多くの人はイライラした際に、「特に何もしない」「車内でストレスを発散する」などトラブルを避けるようにする傾向があることがわかった。
これまでにあおり運転に遭ったことがあるかどうかの質問では、74%の人が「ある」と回答。「ある」と答えた人の多くは「特に気にしなかった」(34.3%)、「一旦停車・速度を落とし、道をゆずった」(34.3%)など、冷静な対処によりトラブル発展を避けている。
一方で、「急停車などで反撃した」(9.3%)や「一旦車を止め、相手に直接文句を言った」(4.3%)など、13.6%があおり運転に対抗する行動をとっている。あおり運転への反撃は大事故を引き起こすきっかけになるため、絶対にやめるべき行為と言える。
「あおり運転に対する罰則の創設をどのように思うか」の質問では、63.7%が「安心する・よかったと思う」と回答した。半数以上があおり運転の抑止、あるいは解消する可能性のある罰則の創設に期待を寄せていると思われる。
ただし、あおり運転に対する罰則の創設には賛成する一方で、「処罰が軽すぎる」「あおり運転の定義は何か」などの意見を挙げている回答もいくつかみられた。また、「えん罪で罰せられる不安」「ドライブレコーダーの有無で不利益を被る」など20.4%は、あおり運転への罰則に対して不安を感じている。
今回の「あおり運転に関するアンケート」から、ドライバーのおよそ74%もの人々があおり運転の被害にあっており、その約7割の人が冷静な対処をしていることがわかった。
あおり運転の罰則化に対し約60%以上の人が肯定的な意見をもっているが、一方でえん罪になりかねないなどあおり運転の証明の難しさに不安を持っている人もいる。
「交通弁護士ナビ」では、加害者心理学に詳しい教授の話として「あおり運転(運転による加害行動)は認知のゆがみにより発生するものではないかと考えられる」と指摘している。