8月6日にその存在が明かされた小型ベアボーンキット「DeskMini X300」。この度めでたく、発売日が10月9日に決定したとのこと。Zen+シリーズに正式対応していたDeskMini A300の後継機という位置づけで、Zen 2シリーズのRenoir APUに正式対応する製品です。今回発売に先駆け、製品を試用できる機会に恵まれたので、使用感をレポートしてみようと思います。

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まずはDeskMiniとは何なのかというところからご紹介いたしましょう。本製品は別途CPU、メモリ、ストレージ、OSを用意してパソコンに仕上げるベアボーンキットです。こう書くとあれこれ足りないように見えますが、逆に言えばPCケース、マザーボード、電源ユニットの3点セットが一体になっているのに、20,980円(税別)前後で買えるというお得な製品です。しかも国内モデルでは本来オプション扱いの空冷CPUクーラーまで付属します。

マザーボードはMini-STXという特殊な小型規格で、チップセットにAMD X300を採用。背面インタフェースにUSB 2.0とUSB 3.0、ギガビットイーサネット対応有線LANポートを搭載。映像出力にDisplayPortとHDMI、D-subを備えて3画面同時出力に対応します。前面にはUSB 3.0とUSB 3.0 Type-C、マイク入力とヘッドホン出力を備えます。

  • 前面端子部。USB 3.0、USB 3.0(Type-C)、マイク入力とヘッドホン出力を備えます

  • 背面端子部。D-subを含めた3画面同時出力もできます

また、ケース内のマザーボードトレイ裏側に2.5インチドライブを2つ搭載できます。特殊ケーブルで接続することでSATA 3(6Gb/s)で利用でき、RAID 0とRAID 1での動作もサポートします。この他、別途M.2端子にワイヤレスカードを搭載することで、Wi-FiとBluetooth機能を追加できます。

  • マザーボードトレイ背面に2.5インチドライブ搭載エリアを備えます

  • 同梱の専用ケーブルでマザーボード裏面に接続します。SATA 3(6Gb/s)をサポート

ケースのサイズはW155×D155×H80mmとなっており、容量で表現するとたったの1.92リットルと極めてコンパクト。フロント部の外観は従来機から少し変更され、同社のゲーミングブランド「Phantom Gaming」をフィーチャーしたスタイリッシュなデザインになっています。縦置きでも横置きでも使用できる他、VESAマウントに対応してディスプレイ背面などに据え付けることもできます。付属のACアダプタは120WのACBEL製「ASC027」で、本体の奥行きと同じくらいのサイズ感です。

  • フロントパネルのデザインを刷新し、スタイリッシュな外観になりました

  • CPUクーラーのエアフローはしっかりと確保されています

  • 反対側にはVESAマウント用のアタッチメントを接続するネジ穴を用意

  • ACBEL製「ASC027」が付属。120Wの出力をサポートしており、十分な余裕があります

  • iPhone XSの高さとほぼ変わらないコンパクトサイズにデスクトップのパフォーマンスを凝縮

  • 片手で持つこともできます

組み立てはテーブル上でかんたんに行える

早速組み立ててみましょう。とはいえ、複雑な作業は特にありません。ケース背面のネジを4つ外し、つまんで引き出すだけでマザーボードにアクセスできます。ここにCPUとCPUクーラー、メモリ、SSDを据え付けるだけで作業は終了。大きなPCケースにパーツを組み付けるのとは異なり、スペースが限られた机の上で作業が済むのも嬉しいポイントです。

  • ネジを外してつまみを引くと引き出せます。
    ケース前面の端子とケーブルがつながっているので、一気に引き出さないように気をつけましょう

  • ソケット脇のピンを持ち上げ、三角マークの方向を確認し、慎重にCPUを載せます

  • 国内向けの製品にはCPUクーラーが付属します。両サイドのフックに引っ掛けるだけでかんたんに設置できます

  • 最大64GBまでのSO-DIMMメモリをデュアルチャネル接続で搭載可能。
    スロットは両ラッチで、メモリを正常に差し込むと閉じて固定されます

  • ストレージ用にPCIe 3.0 x4接続のUltra M.2端子を備えます

  • 1本のネジで固定できます

今回はAPUにAMD Ryzen Renoir最上位モデルとなるRyzen 7 PRO 4750Gを用い、SSDはCrucial P5 512GB、メモリはCrucial製DDR4-2400 SO-DIMM 16GB×2を追加してみました。メモリの動作クロックはXMPプロファイルを読み込むこともできますが、UEFIの「DRAM Frequency」からDDR4-3200を選択。電圧やタイミングを調整する必要もなく、適用して再起動するだけで安定した動作が可能でした。UEFIはASRockが標準的に採用するいつものデザインで、キーボードの他、マウスでも操作できます。

  • DDR4-3200を選択

  • UEFIのバージョンはP1.40でした