日本レコード協会は、若年層ユーザーも多い“違法音楽アプリ”の根絶に向けた特設サイト「あの音楽アプリは、もう違法。」を9月30日に開設。「曲の無断使用から、アーティストを守ろう。」「SAVE ARTISTS, SAVE MUSIC.」をサブコピーとして、さまざまな情報発信を行っている。

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    「あの音楽アプリは、もう違法。」

この特設サイトは、悪質なリーチアプリ(違法音楽アプリ)の規制強化を目的とする改正著作権法が10月1日に施行されるのを受けた取り組みとして開設されたもの。

違法音楽アプリはアーティストやレコード会社などの権利者が想定しないかたちで違法に音楽を配信しているだけでなく、アプリ上の広告から違法音楽アプリの運営者が利益を得ており、「本来であれば、音楽CD、ダウンロードまたはストリーミング販売などを通じて権利者が正当に得られるはずの利益が失われている」(日本レコード協会)。

同協会によれば、アプリストアが権利者の要請を受けて違法音楽アプリを削除しても、バージョンアップしたりアプリ名を変えながら繰り返し出品されるなど、「非常に悪質性が高く、特に多くの若者が音楽視聴に利用している実態がある」という。

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従来より、権利者に無断でネット上にコンテンツ(侵害コンテンツ)をアップロードする行為、違法にアップロードされたものと知りながら著作物をダウンロードする行為は、音楽・映像分野では違法とされており、今回の法改正によって、侵害コンテンツへとユーザーを誘導する違法音楽アプリを提供する行為などについて、刑事罰が設けられる等の措置が講じられる。

特設サイト「あの音楽アプリは、もう違法。」では、違法音楽アプリの実態を分かりやすく紹介するチャート図のほか、法改正内容の詳細、同アプリに関する実態調査の結果などを掲載。今後は、アーティストが声優として参加する啓発アニメ動画の掲載も予定しており、さらなる啓発活動を行う。

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若年層に多い無許諾音楽アプリユーザー。全体では6割超が「使い続ける」

特設サイトのオープンを前に、日本レコード協会や日本音楽事業者協会など音楽関係6団体で構成される「無許諾音楽アプリ実態調査委員会」が公表した調査結果報告書(資料)によれば、いわゆる“無許諾音楽アプリ”の推計利用者数は人口の2%程度にあたる246万人。このうち10~20代の合計が約194万人となり、全体の78.7%を占めているという。

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    無許諾音楽アプリ利用者数(構成)
    出典:一般社団法人日本レコード協会

無許諾音楽アプリの具体的なものとしては「MusicFM」や「MusicBox」が挙げられている。こうしたアプリによる収益が「アーティストに還元されている」と考える人は全体の約1割おり、10代より20代の方がその割合が若干高い傾向だという。また、アーティストなど権利者に還元されていないとしても「使い続ける」と回答した人は全体の86.2%におよび、全体の6割超が「気になりながらも使い続ける」と回答している。

この調査は全国12~69歳の男女を対象にWebアンケートで行われ、スクリーニング調査は10,000サンプル、本調査は1,034サンプル。ただし、2020年3月時点の利用実態動向であるため、報告では「その後のコロナ禍による生活様式や環境の変化の影響は把握されておらず、ネット利用時間が増えれば、また異なる利用実態が存在すると想定される」としている。