テーブルマナーに対して、あれこれ難しいルールが多い印象を持つ人も多いのでは。しかし、一番大切なことは極めてシンプルでした。

奥様がテーブルマナーの先生をされている森泉岳土さん(@moriizumii)のツイートが話題になっていました。

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僕の妻はテーブルマナーの先生もしているんだけど、食事中いちばんやってはいけないことは「それマナー違反ですよって指摘すること」だと教えています。(@moriizumiiより引用)

そうなんです。食事中に一番してはいけないことは、「マナーの間違いを食事相手に指摘すること」なんだそう。森泉さんにお話を聞いてみたところ、「『どうしたら美味しくいただけるのか』『楽しくみんなと会話できるのか』ということから出発して結実したのがマナーなので、よいテーブルマナー教室にかようと、食事がよりいっそう楽しくなるんです」と教えてくれました。

確かに、栄養を摂取することだけが食事の目的であれば、一人でおにぎりをかじっていれば済む話。一緒に食事する人とコミュニケーションを取ることも大切な目的なわけですから、美味しく楽しく食べられる以上に必要なものはありませんね。

「レスを読ませていただいて、『マナー違反を面前で指摘する人ってけっこういるんだなあ』と驚いています。マナー違反を指摘する人はたぶん『テーブルマナーとは守るべきルールや決まりである』と考えているんでしょう。

マナーというのは楽しく美味しく食事をするための作法なので、知っていれば、食事をする人、料理をする人、サーブをする人たちが気持ちよくコミュニケーションできますし、食いしん坊な僕にとっては『ソースやスープを残さず食べられるノウハウ』みたいなもの。なので、マナーを覚えて良かったなあと思うことばかりです。

一方で『楽しければマナーなんて関係ない』というレスも拝見しましたが、でも、「マナーを知っていると、もっと美味しく楽しく食事ができるよ」とは思います」(森泉岳土さん談)。

奥様の大林千茱萸(ちぐみ)さんにも、今回のツイートが拡散されていることについて感想を伺いました。

「重箱の隅をつつくようなことがマナーと言われてますが、本来マナーとは『思いやり』です。食事を美味しく、残さず最後まできちんといただくための合理的な食作法ですので、『これはやってはいけません』というものではなく、知っているとより食事を楽しむことができるものとして覚えていただけると嬉しいです」。

この投稿に、読者の皆さんからは「楽しく食べるためにマナーがあるのに、マナーを指摘してつまらない食事になったら本末転倒ですもんね」「確かに食事中に指摘をされた人は、その後の食事が楽しく感じられないかもしれませんね。優しい世界」と共感した旨の声が寄せられていました。

大林千茱萸(ちぐみ)さんプロフィール
東京生まれ。映画家・料理家・食作法講師
「天皇の料理番・秋山徳蔵氏」の最後の弟子にあたる元宮内庁東宮御所大膳課主厨・渡辺誠氏に師事。ACADEMIE CULINAIRE DE FRANCE(フランス料理アカデミー)日本支部を創設されたアンドレ・ルコント氏と渡辺誠氏よりDIPLOMEを1997年に取得。世界各国の王室及び公式晩餐会の場で用いられている食事の作法(テーブルマナー)である、国際儀礼(プロトコール)を基本とした講師を務め、広く食文化を探求するための料理とマナーを学ぶ【西洋食作法教室】を主宰。目白・恵比寿・麻布のレストラン個室にて食作法教室を展開。