映画『空に住む』(10月23日公開)の完成披露舞台挨拶が4日に都内で行われ、多部未華子、岸井ゆきの、美村里江、岩田剛典、鶴見辰吾、永瀬正敏、岩下尚史、髙橋洋、青山真治監督が登場した。
同作は作詞家・小竹正人が手掛けた小説『空に住む』(講談社)の実写化作。原作と共に誕生した楽曲「空に住む~Living in your sky~」を三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEが担当し、小説と楽曲が同時にリリースされたことでも話題を集めた。郊外の小さな出版社に勤める直実(多部)は、両親の急死を受け止めきれないまま、叔父夫婦の計らいで大都会を見下ろすタワーマンションの高層階に住むことに。直実の前に現れたのは、同じマンションに住むスター俳優・時戸森則(岩田剛典)で、彼との夢のような逢瀬に溺れながら、仕事、人生、そして愛の狭間で揺れ続ける。
舞台挨拶は無観客で行われたが「こういった状況下で、お客さんがいない中で舞台挨拶に立つのが、僕にとっては初めて」という岩田。多部は岩田の演じたスター俳優役について「ファンタジーというか、非現実的で演じるのが難しいんじゃないかなと思ってました」と印象を述べる。
岩田は自分が演じた時戸について「すごい変な人だなと思っていました」と苦笑。「セリフも独特の言い回しだったり、かなり自分のワールドをもってるスター俳優さんの役でしたので、すごく悩んだんですが、根底に二面性があるのかな。ありのままの自分と、表に出てる時の自分を理解しているけど、だんだん考えることをやめた、みたいな複雑な内面を持ってる男性。少なからず自分もこの世界にいて、現実と表の世界とのギャップで共感できる部分は見つけられたので、現場の雰囲気に任せて、演じきった」と振り返る。
「あまり共通する部分があるとは言いたくない、本当にひどいやつ」という時戸役だが、岩田は「たぶん寂しいんだろうなと思って演じていました。僕はグループもやってますので、仲間はたくさんいる方だと思っているんですけど、時戸という役はずっと孤独で、自分の世界の中に閉じこもって生きてきたんだろうなと感じました」と役を分析。さらに「インする前に監督とお話させていただいた時、監督がお花を持ってきて『この中で食べれそうな花ある?』といきなりおっしゃったんですよ」とエピソードを披露する。
台本にも「生きてる花をちぎって食べる時戸」というト書きがあったというが、岩田は「このシーン、どうやって表現するんだろうと思ってたら、本当にまさか花を食べるシーンが成立するとは……成立してるのかと言われるとわからないんですけど、見たことないシーンになったなというのが思い出深いです」と明かした。