東京メトロ半蔵門線の新型車両18000系が製造会社の工場を出場し、山陽本線・東海道本線経由で関東方面へ輸送された。半蔵門線で約40年にわたり活躍した8000系に代わる車両として、2021年度上半期から順次、営業運転を開始する予定となっている。

  • 東京メトロ半蔵門線の新型車両18000系。車体側面の窓下に2色のラインを配した

    東京メトロ半蔵門線の新型車両18000系。車体側面の窓下に2色のラインを配した

今回輸送された編成は、「18101」(1号車)~「18001」(10号車)の10両編成。日立製作所笠戸事業所(山口県下松市)で製造され、山陽本線下松駅から牽引輸送されたと報じられている。東海道本線では電気機関車EF210形5号機に牽引され、関東方面へ向かった。

車体の先頭部分はブルーのシートで覆われていたが、直線的なヘッドライトを採用するなど、半蔵門線で活躍する8000系・08系の端正な表情を受け継ぎ、スタイリッシュさを感じられる外観デザインに仕上げたとのこと。車体側面の上部および窓下に、半蔵門線の路線カラーであるパープル(紫)系の濃淡2色のラインを配した。

  • EF210形に牽引された18000系。各車両の車端上部にフリースペースの位置を示すサインを掲出している

全車両に車いす・ベビーカー利用者向けのフリースペースを設置しており、車端上部にサインを掲出して視認性を向上させている。フリースペース付近の乗降ドアはレールに切欠きを施し、車いす・ベビーカー利用者らが乗降しやすいように工夫した。有楽町線・副都心線に導入する17000系と同様、半蔵門線の18000系も車両・ホーム間の段差の低減に取り組み、車両床面の高さは1,140mm(既存の8000系は1,200mm)に。ドア出入口下部はホーム側に傾斜する形状としている。

インテリアは半蔵門線の路線カラーの色彩に同調させ、明るさや活気を感じさせる車内空間にしたという。座席幅を460mm(既存の8000系は430mm)に拡大し、座席表地に消臭・抗菌・抗ウイルス加工が施される。車内の開放感を高めるため、座席横の仕切りと荷棚、連結面に透明な強化ガラスを採用。犯罪行為の未然防止に備え、車内にセキュリティカメラも搭載する。

  • 新型車両18000系の外観・車内イメージ

  • 18000系に導入される「車両情報監視・分析システム(TIMAシステム)」

  • 18000系では、既存の8000系と比べて床面高さを60mm低減

  • フリースペース付近のドアレールに切欠きが施される

安全・安定性の向上も図り、「車両情報監視・分析システム(TIMAシステム)」を導入。総合指令所や車両のメンテナンスを行う部署から、走行する18000系の機器状態を遠隔でモニタリングする。万が一の脱線時に自動で列車を停止させる脱線検知装置も搭載。高効率な永久磁石同期電動機(PMSM)とシリコンカーバイド(SiC)素子を利用した制御装置の採用により、既存の8000系と比べて消費電力量も削減される。

新型車両18000系は今後、計19編成190両を導入していく予定。東京メトロでは、快適に利用でき、さらなる安全・安定運行を実現する新型車両の導入により、高品質な輸送サービスの提供等の取組みを引き続き進めるとしている。

  • 半蔵門線の新型車両18000系。2021年度上半期の営業運転を予定している