アウディ初の100%電気自動車(EV)「e-tron」が日本で発売となった。「Audi e-tron Sportsback 55 quattro 1st edition」というクルマで、価格は1,327万円(デジタル化したサイドミラーが付くバージョンは1,346万円)。これを「ちょっと高い」と感じた人は、別のEVを探すのも結構だと思うのだが、個人的には続報を待つべきだと考える。その理由をこれからお伝えしたい。
最も高価なモデルから入ってきた「e-tron」
なぜ、待つべきなのか。結論から先にいうと、e-tronには別バージョンがあって、そのうち日本にも入ってくる予定だからだ。まず、クルマのスタイルとしては「スポーツバック」(アウディではSUVクーペをこう呼ぶ)と「SUV」があり、バッテリーには容量の「大きいほう」(車名に55という数字が付く)と「小さいほう」(こちらは50)の2種類がある。価格としてはSUVよりもスポーツバックの方が高いし、バッテリーも当然、大きいほうが高価だ。
「Audi e-tron Sportsback 55 quattro 1st edition」という車名を見れば分かる通り、日本で発売となったe-tronは「スポーツバック」の「55」だ。さらにいえば、このクルマはアウディの(いわゆる)上級グレードにあたる「Sライン」なので、いろいろと装備が充実している。その車両をベースとし、「ファーストエディション」として高級なオーディオシステム(Bang & Olufsen 3Dサウンドシステム)や電動のバックドア、アルミホイール、ブレーキキャリパーなどの特別装備を装着したのが今回の商品なのである。e-tronの試乗会で聞いたアウディジャパンのプロダクト担当による解説は以下の通りだ。
「スポーツバック、55、Sラインという、最も高い仕様が最初に日本に入ってきたんです。このあとは、50というバッテリーが少し小さいクルマが来ますし、Sラインではなく、アドバンスなど別のラインも入ってくる。今回のファーストエディションは、ほぼマックスの価格です。今後はプライスリストで下にくるクルマがどんどん出てきます」
同氏によると、「SUV」で「50」のe-tronならば、価格は1,000万円を切る見通しだという。1,300万円強のクルマは買えないが、1,000万円弱程度のクルマであれば買えるというのがあなたの懐事情であり、アウディのe-tron自体には関心があるというのであれば、ここはひとまず続報を待ってみるべきなのではないだろうか。
e-tronは2019年3月のEU市場投入を皮切りに販売エリアが拡大中。2019年にはグローバルで2.7万台以上が売れたという。コロナ禍の2020年1~6月も販売台数は約1.77万台と堅調で、米国では前年同期比50%増の伸びを見せているそうだ。
日本では、どんな人がe-tronを注文しているのだろうか。アウディに顧客のプロフィールを聞くと、「30代後半~50代(特に40代が多いらしい)」「世帯年収2,500万円以上」「既婚で子供がいる」「事業主、起業家」「クルマ好きで最先端技術への関心が高い」「環境問題への配慮が高い」などの特徴が浮かび上がってきているとのことだった。