アウディ初の100%電気自動車(EV)「e-tron」が日本で発売となった。「Audi e-tron Sportsback 55 quattro 1st edition」というクルマで、価格は1,327万円(デジタル化したサイドミラーが付くバージョンは1,346万円)。これを「ちょっと高い」と感じた人は、別のEVを探すのも結構だと思うのだが、個人的には続報を待つべきだと考える。その理由をこれからお伝えしたい。

  • アウディ「e-tron」

    2020年9月に日本で発売となった「Audi e-tron Sportsback 55 quattro 1st edition」

最も高価なモデルから入ってきた「e-tron」

なぜ、待つべきなのか。結論から先にいうと、e-tronには別バージョンがあって、そのうち日本にも入ってくる予定だからだ。まず、クルマのスタイルとしては「スポーツバック」(アウディではSUVクーペをこう呼ぶ)と「SUV」があり、バッテリーには容量の「大きいほう」(車名に55という数字が付く)と「小さいほう」(こちらは50)の2種類がある。価格としてはSUVよりもスポーツバックの方が高いし、バッテリーも当然、大きいほうが高価だ。

  • アウディ「e-tron」

    ボディサイズは全長4,900mm、全幅1,935mm、全高1,615mm。アウディのクルマでは「A7」のスポーツバックと似たサイズ感だ。車両重量は2,560キロとヘビー級だが、アウディのプロダクト担当は「大きいクルマだと加速しにくい、止まりにくい、曲がりにくいなどのイメージを持たれるかもしれませんが、このクルマだと、あまり気にならないはずです。むしろ、2.5トン超であることを忘れてしまうような制御がしてあります」と話していた

「Audi e-tron Sportsback 55 quattro 1st edition」という車名を見れば分かる通り、日本で発売となったe-tronは「スポーツバック」の「55」だ。さらにいえば、このクルマはアウディの(いわゆる)上級グレードにあたる「Sライン」なので、いろいろと装備が充実している。その車両をベースとし、「ファーストエディション」として高級なオーディオシステム(Bang & Olufsen 3Dサウンドシステム)や電動のバックドア、アルミホイール、ブレーキキャリパーなどの特別装備を装着したのが今回の商品なのである。e-tronの試乗会で聞いたアウディジャパンのプロダクト担当による解説は以下の通りだ。

「スポーツバック、55、Sラインという、最も高い仕様が最初に日本に入ってきたんです。このあとは、50というバッテリーが少し小さいクルマが来ますし、Sラインではなく、アドバンスなど別のラインも入ってくる。今回のファーストエディションは、ほぼマックスの価格です。今後はプライスリストで下にくるクルマがどんどん出てきます」

  • アウディ「e-tron」

    「e-tron」は前後2基のモーターで4輪を駆動して走行する。システム最高出力は300kW、最大トルクは664Nm。バッテリーの総電力量は95kWhで、フル充電での走行可能距離(WLTCモード)は405キロとなっている

同氏によると、「SUV」で「50」のe-tronならば、価格は1,000万円を切る見通しだという。1,300万円強のクルマは買えないが、1,000万円弱程度のクルマであれば買えるというのがあなたの懐事情であり、アウディのe-tron自体には関心があるというのであれば、ここはひとまず続報を待ってみるべきなのではないだろうか。

  • アウディ「e-tron」

    「e-tron」で注目すべき装備のひとつが「バーチャルエクステリアミラー」だ。サイドミラーをカメラとモニターに置き換えるシステムで、レクサスやホンダなども商品化している技術だが、アウディでは今回が初採用となる

e-tronは2019年3月のEU市場投入を皮切りに販売エリアが拡大中。2019年にはグローバルで2.7万台以上が売れたという。コロナ禍の2020年1~6月も販売台数は約1.77万台と堅調で、米国では前年同期比50%増の伸びを見せているそうだ。

日本では、どんな人がe-tronを注文しているのだろうか。アウディに顧客のプロフィールを聞くと、「30代後半~50代(特に40代が多いらしい)」「世帯年収2,500万円以上」「既婚で子供がいる」「事業主、起業家」「クルマ好きで最先端技術への関心が高い」「環境問題への配慮が高い」などの特徴が浮かび上がってきているとのことだった。

  • アウディ「e-tron」

    アウディによれば、このクルマを買う際には約40万円の減税を受けられるうえ、補助金40万円を受け取ることができるそうだ