戦型は永瀬王座が意表の一手損角換わりを選択

第46期棋王戦挑戦者決定トーナメント(主催:共同通信社)の永瀬拓矢王座-飯島栄治七段戦が10月1日に東京・将棋会館で行われています。ベスト4進出を懸けた一戦を制するのはどちらになるでしょうか。

永瀬王座は挑戦者決定トーナメントからの登場。横山泰明七段、千田翔太七段を破っています。第43期では黒沢怜生五段との挑戦者決定二番勝負を制して、五番勝負に出場しました。五番勝負では渡辺明棋王相手に2勝3敗で惜敗しています。

飯島七段は予選からの出場。4連勝で通過すると、挑決トーナメントでは斎藤慎太郎八段に勝利した後、前期挑戦者の本田奎五段を破っています。棋王戦では第32期以来2度目の挑決トーナメントを戦っている飯島七段。前回成績はすでに上回っています。

両者の対戦成績は、永瀬王座の2勝1敗。2013年に2局指した後、2018年に1局指したのみで久しぶりの対戦です。

棋王戦は敗者復活戦を採用しているユニークな棋戦です。ベスト4に進出すると2敗失格方式となるため、1度は負けても挑戦権を獲得することが可能です。つまりこの準々決勝の勝敗の持つ意味合いは他棋戦よりも大きいと言えます。

振り駒の結果、先手は飯島七段になりました。後手の永瀬王座は4手目に角交換をする、一手損角換わりを採用。通常の角換わりや、相掛かりを得意とする永瀬王座だけに、驚きの作戦選択です。しかし、32手目までは持ち時間を1分も使わずに指し続けており、入念な準備をうかがわせます。

記事執筆中の11時50分現在は、永瀬王座が初めて持ち時間を使って34手目を考慮中です。33手目までの消費時間は飯島七段が1時間9分、永瀬王座は0分です。

持ち時間4時間の棋王戦は、夜の早い時間に決着する見込みです。挑戦にグッと近づくベスト4へ一番乗りを果たすのはどちらになるでしょうか。

久しぶりの対戦となった飯島七段(左)と永瀬王座
久しぶりの対戦となった飯島七段(左)と永瀬王座