昔から世界共通の資産である「金」。宝飾品などに使われるほか、それ自体が価値を持つ金は、投資の対象としても扱われてきました。特に、株式や債券とは異なる値動きをすることから、「有事の金」として重宝されています。

実際、新型コロナの感染拡大で金融市場が混乱する最中にあっても、金価格は40年ぶりに史上最高値を更新。コロナ禍で注目を集める金ですが、投資として始めるにはどうすればいいのでしょうか。主な金投資の方法やそれぞれのメリット、デメリットをまとめてみました。

  • 金投資の始め方やメリット・デメリットは

金投資を始める5つの方法

一口に金投資といっても、金に投資するにはいくつかの方法があります。個人でできる主な金投資の種類やそれぞれのメリットとデメリットをご紹介します。

1.金貨や金地金の購入

金投資を始めるのに最も簡単なのは、宝飾店や貴金属店で金貨を購入する方法です。金貨には特別なデザインが施されており、加工費等がかかっていることから、金地金の小売価格よりも割高になっています。金貨で有名なものとしては、オーストラリア・パース造幣局発行の「カンガルー金貨」、カナダ王室造幣局発行の「メイプルリーフ金貨」などがあります。

金地金は、平らで板状の形をしており、いわゆる「金の延べ棒」と呼ばれるものです。金地金は貴金属メーカーや地金商、商社などから購入できます。購入できるサイズは販売業者によって異なりますが、500g未満の金地金を売買するには「バーチャージ」と呼ばれる手数料がかかります。

金貨や金地金のメリットは、手元に金の現物を保有できる点です。一方で、保有が可能だからこそ盗難リスクが大きなデメリットにもなり得ます。自宅で保管するのが不安な場合は、銀行などの貸金庫や販売業者の保護預かりを利用することもできますが、どちらも手数料が発生します。

2.純金積立

純金積立は、毎月自動的に金を購入していく方法で、通常は1,000~3,000円から1,000円単位で積立が可能です。基本的には、毎月の積立金額を営業日数で日割りした金額により、営業日ごとに自動的に金地金を買い付けていく「ドルコスト平均法」が採用されています。また、ボーナス月などには毎月の積立額に加えて臨時で買い増しもできます。純金積立は、証券会社や銀行、貴金属メーカー、地金商などで取り扱いがあるほか、最近では、インターネットから申し込める業者もあります。

純金積立のメリットは、少額から始められ、自動積立ができる点です。また、現物がないので盗難リスクがなく、一方で、積み立てた金は引き出しや、金貨などへ等価交換が可能です(一部できないところもある)。デメリットとしては、購入手数料などの手数料が比較的高めであり、金の保管方法によっては、業者の破綻リスクがある点です。

3.金の投資信託

投資信託は、投資家からお金を集めて一つの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用し、その結果得られた運用成果を、投資家の投資額に応じて分配する仕組みの金融商品です。金の投資信託は、金の現物や金に連動する金融商品に投資を行います。投資信託は、銀行や証券会社で購入可能です。

金の投資信託のメリットは、純金積立よりさらに少額から自動積立が可能な点です。また、万が一投資信託をしている銀行や証券会社が破綻したとしても、保有している資産は守られます。さらに、現物がないため、盗難の心配もありません。一方のデメリットは、次に挙げる金ETFと比べて手数料が高めであるほか、金の現物を保有できない点です。

4.金ETF

ETFとは、証券取引所に上場している投資信託のことで、「上場投資信託」と呼ばれる商品です。金ETFは、運用の成果が金価格の動きに連動するように設定されています。

金ETFのメリットは、証券会社で購入でき、株式のように売買できる点です。また、投資信託と比較して管理費用が低く、投資信託同様、金融機関が破綻したとしても、保有している資産は守られる点が挙げられます。現物がなく、盗難リスクも考える必要がありません。一方で、投資信託のように自動積立をすることは難しく、都度購入する必要があるほか、金を手元で保管することができない(できるETFもあり)点がデメリットと言えます。

5.金先物

先物取引とは、将来の決められた日(期日)に、取引の時点で決められた価格で売買することをあらかじめ約束しておく取引を言います。先物取引のメリットは、買いまたは売りのどちらからも取引が始められ、証拠金を差し入れれば、元手となる資金の数倍の金額を取引できることです。また、金先物は、金の現物投資と比べると、取引の手数料が低く抑えられます。

デメリットとしては、先物取引は少ない資金で大きなリターンが得られる可能性がある一方、同じだけの損失を被る恐れがあることです。金先物は、証券会社や商品先物業者で購入することができます。

なお、金投資全体の注意点として、投資信託や金の売却によって得た利益には税金がかかり、確定申告が必要な場合があることも忘れないようにしましょう。

初心者は純金積立がおすすめ

今回は、金投資を始める主な方法やそれぞれのメリット、デメリットをご紹介しました。なお、「安全資産」と言われる金ですが、金も株式などと同様に価格が変動するリスク資産です。また、金それ自体の価値はゼロにはなりませんが、配当や利息等がない点はデメリットと言えます。

金投資も「長期・分散・積立」が基本です。資産が金だけに偏らないようにしたうえで、初心者は、少額から自動積立が可能な「純金積立」から始めてみてはいかがでしょうか。