酒税法の改正により、2020年10月からお酒にかかる税金が変わります。値下がりするものもあれば、値上がりするものもあります。普段飲んでいるお酒がどちらなのかチェックしましょう。
また、値上がりした場合は、家計への影響も気になるところ。どのくらい高くなるのか、どんな買い方がお得なのか、消費者目線で解説します。
■酒税法改正でどう変わる?
酒税とは、酒類に課せられる税金のことです。ビール系飲料、日本酒、ワイン、焼酎、ウイスキーなど、お酒の種類によって税率が変わってきます。中でも発泡性酒類に分類されるビール系飲料の定義は複雑で、原料や比率などによって、ビール、発泡酒、新ジャンル、その他の発泡性酒類(チューハイなど)に分けられ、それぞれ税率が異なります。<図1参照>
昨今はビールよりリーズナブルな第3のビール(新ジャンル)が人気となっています。
酒税法の改正では、定義の見直しや税率格差の解消を目的として、税率を段階的に見直すこととなりました。第一弾は2020年10月、第二弾は2023年10月、第三弾は2026年10月と、三段階に分けて、経過期間を十分とっての実施となっています。
第一弾の2020年10月からはビール系飲料の定義に変更はありませんが、税率は次のように変わります。
<図1>ビール系飲料の定義と税率
■最終的にいくら高くなる?
将来的にはどうなっていくのか、2026年10月の最終段階まで見てみましょう。
<図2>発泡性酒類(ビール系飲料)の税率
ビールは値下げとなり、2026年10月の最終段階では350mlあたり54.25円となります。発泡酒は2026年10月までは変わらず、それ以降は上がってビールと同じ税率になります。
新ジャンルは値上げとなり、2023年10月から発泡酒に統合され最終的にはビールと同じ税率になります。チューハイ等のその他発泡性酒類は、2026年10月までは変わらず、それ以降は上がって350mlあたり35円となります。
特筆すべきはビールと新ジャンルの税率です。ビールは約23円の値下げ、新ジャンルは約26円の値上げとなり、最終的に同じ税率になります。
■家計への影響は?
ビールを買っている人と、新ジャンル(第3のビールなど)を買っている人の、1カ月の酒代の差がいくらになるのか検証してみましょう。
1日350ml缶を2本飲むと仮定し、1カ月60本で比べてみます。1本(350ml)の価格をビール195円(税抜)、新ジャンル115円(税抜)とした場合の1カ月の酒代を見てみましょう。
※2020年9月時点の「カクヤス」の販売価格を元に設定
また、2020年10月からビールが7円(77円→70円)値下げ、新ジャンルが10円(28円→約38円)値上げした場合も試算してみました。
<1カ月の酒代(消費税込)>
これまで、ビールよりもひと月5,000円ほど安いからという理由で、第3のビール(新ジャンル)を選んでいた人にとっては、10月からの値上がりは手痛いものがあります。
一方、ビールは値下がりとなるので、その差が1,000円以上縮まります。それならビールにしようという人も出てくるかもしれませんね。しかし、それでもまだ新ジャンルは4,000円以上ビールより安いわけですから、ここは買い方を工夫して、値上げに対抗してみてはいかがでしょうか。
■まとめ買いでお得に
ビールに限らず、まとめ買いは単価を下げることができます。6缶、12缶、24缶と数が多くなるほど1缶あたりの値段は下がります。そのため、毎月決まった本数を消費することが分かっている場合は、まとめて買いましょう。24缶のケース買いをすることで、1缶あたり20円ほど安くなることもあります。
また、購入する店によって価格差があるので、安い店をリサーチしておくことも大事です。値引きの少ないコンビニは避け、スーパーやディスカウント酒屋、ドラッグストアなどで購入するとよいでしょう。
最後に、最も効果的な値上げ対抗策をご紹介します。「お酒を飲む量を減らす」ことです。毎週14本飲むのを10本に減らせば、3割酒代を減らすことができます。お酒好きには即行却下されそうですが、この機会に飲酒回数を見直すのもいいかもしれませんね。