9月23日から9月27日までの5日間開催された「TOKYO GAME SHOW 2020 ONLINE(東京ゲームショウ / TGS 2020)」。新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、さまざまなゲーム関連企業・団体が、新作タイトルや新サービスの情報、ゲームを通じたコンテンツを動画で配信するオンライン形式での開催だ。配信チャンネルは、TGS公式に加え、セガ・アトラス、スクウェア・エニックス、カプコン、KONAMIの関連企業など多岐にわたった。
同時多発的に動画が配信されたこともあって、気になっていた番組を見逃してしまったり、知らないまま番組が終了してしまったりした人もいるのではないだろうか。だが、今回のTGS動画は多くがアーカイブされている。そのため、見逃してしまった番組があっても、まだコンテンツを楽しめるのだ。
スクウェア・エニックスの公式チャンネルでは、「SQUARE ENIX PRESENTS at TGS 2020 Online」と題し、24日から27日まで4日間、1時間前後のプログラムをいくつも用意した。そのなかには、例年オフライン会場で物販ブースを構えていた「SQUARE ENIX MUSIC」も参戦。TGS2020のために特別に収録した音楽番組を放送した。
音楽番組は何度聴いても楽しめるもの。アーカイブ動画としては、非常に相性がいいのではないだろうか。しかも、「SQUARE ENIX MUSIC」の音楽番組は、騒がしいオフライン会場のブースでは難しい音楽の解説や楽曲をかみしめる体験を提供してくれるものばかり。そこで、今回は「SQUARE ENIX PRESENTS at TGS 2020 Online」で放送された番組から、アーカイブで楽しみたいオススメ音楽番組をピックアップし、それぞれ簡単に内容を紹介する。
FF9/10の音楽を専門的に解説する「ゲームさんぽ出張編」
「ゲームさんぽ TGS 出張編」では、「この曲ヤバい!なんかイイ!からの卒業 ゲーマーのための語彙力教室/ファイナルファンタジー×音楽評論家×ピアニスト」をテーマに、音楽専門家を招いて『FF9/10』の音楽について語った。
ゲームさんぽとは、「気象予報士・石原良純さんと行くゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」や「歩荷の人と背負うデス・ストランディング」など、さまざまな専門家とゲーム内をさんぽすることで、世界の見えかたの違いを考えるというゲーム実況動画シリーズ。専門家ならではの視点をゲームに加えることで、普通にプレイしているだけでは気づきにくい新しい発見を楽しめるのが魅力だ。
今回のゲームさんぽに出演したのは、「モーニング娘。」の元メンバーで、RPG『FINAL FANTASY』が大好きな高橋愛さんと、ゲーム大好きなお笑い芸人ヤマグチクエストさん、そして、音楽評論家の小沼純一さんと、ピアニストの角野隼斗(かてぃん)さんだ。
動画では、高橋さんやヤマグチクエストさんの好きなゲーム楽曲をいくつかピックアップ。それぞれの音楽を観賞しながら、音楽専門家ならではの視点で、曲の解説を行った。
たとえば、高橋さんイチオシのFF9「クジャのテーマ」では、「クジャという中性的な色気のあるキャラクターにぴったりで、曲もどこか惑わされるような色気があるんです」と曲の魅力を力説すると、それに対して小沼さんが「コード進行の転調や半音動くことで、不安定さが助長されていますね」と専門的な解説を加える。
さらに、かてぃんさんが「転調は、盛り上げたい場面や落ち着きたい場面などで使うことが多いのですが、この曲はそういう目的ではなく、転調を繰り返すことで不安定さ表現しています」と実際にピアノを弾きながら教えてくれた。
「クジャのテーマ」のほかにも、NHKで実施された「全ファイナルファンタジー大投票」の音楽部門で1位を獲得したFF10の「ザナルカンドにて」や、同じくFF10の「シーモアの野望」などについて、専門家ならではの視点を交えて解説。どれも、あまり音楽に詳しくない人からすると、思わず「へぇ」と、うなってしまいそうな内容だ。
また、番組のラストでは、高橋さんがFF9の「Melodies Of Life」を歌うスペシャルライブを披露。かてぃんさんのピアノ演奏とともに、高橋さんの“FF愛”詰まった歌を聴ける機会は、おそらく「ゲームさんぽ TGS 出張編」以外にないだろう。