有名人の自死やSNSの投稿などで、関心が高まっている「産後うつ」。実際に、産後うつの妻を支える日々を送った男性のツイートが注目を集めています。
"出産がゴール"と思っていた男性、妻がまさかの産後うつに……
僕の妻は明るい性格で産後うつの存在すらしらずに出産を迎えました。生まれて2日目の夜「一睡もできななかった」と連絡が来ました。お互いホルモンバランスの乱れかなと思って、気に留めてなかったのです。(@Ryotaより引用)
そのあと3日目も、4日目も一睡もできなかったのが続きました。さすがにおかしいと思い、そのときに初めて調べてみたのです。まさか自分の奥さんが産後うつになるなんか思わず、マリッジブルーなのかな?くらいに思ってました。(@Ryotaより引用)
授乳の関係もあって、薬を飲むのを控えていたのですがさすがに1週間近くまったく眠れないのはおかしいとなってそのときに初めて心療内科にいくことになりました。つまり精神科ということです。(@Ryotaより引用)
運が良かったのはそこで母乳にこだわらず、ミルクに切り替えて向精神薬、抗うつ薬等を飲み始めました。ただ、それでも2-3時間寝れるかどうかくらいでした。そしてこの頃から寝れないという状態から、胸が苦しいや不安といった鬱の症状が出始めました。(@Ryotaより引用)
これらの投稿をしたのは、Finatextホールディングスという会社で代表取締役CEOを務められている林良太さん。Twitterでは「シルバーマン・スタンレー(シルスタ)」(@Ryota)というアカウントで発信されています。
奥さまは実家の福岡に帰省されていましたが、その後、どんどん鬱の症状が悪化し、林さんが暮らす東京に戻って生活することに。
「産後うつという言葉は全く知らず、出産がゴールだと思っていました」(林さん)。
そんな風に考えていた林さんは期せずして、林さんと双方のご家族、交代で看護・育児にあたる日々を約9カ月間送ることになります。
「人生でこんなに地獄ってあるのか」という半年間
僕と僕の家族、妻の家族含めて、全力でサポートしました。妻の実家からは実家が病院で婦長さんが月半分くるとか、全力でやりました。それでも危ない場面が何回もありました。それこそ本当に危ない場面です。(@Ryotaより引用)
自分がお母さんとして果たすべき役割を果たせていないこと、家族に迷惑をかけていることを非常に気にかけていらしたという奥さま。朝起きた時「まだ全然よくなっていない」と改めて認識するときに、特につらい思いをされていたといいます。
胸の動悸、漠然とした不安、味の消失、睡眠障害、匂いがしない、口の違和感などさまざまな症状が次から次へと出てきました。よくなってるかどうかわからない状態がずっと続きました。僕も気づいたら泣いてたとか、そっちにいく一歩手前までいきました(@Ryotaより引用)
この病気のしんどいのは出口がまったく見えないというところです。最初は1ヶ月くらい、そのあと3ヶ月、半年、1年。調べると20ー30年たっても治らないとか、ぞっとするような情報が出てきます。(@Ryotaより引用)
林さんは会社の経営者でもあり、仕事に加え、右も左も分からない育児、奥さまに寄り添う時間と、生活はいっぱいいっぱい。自身も、精神的に相当つらい状況だったそうです。
夫という立場でさまざまな場面を見てきました。当人の1%にも満たないですが、それでも人生でこんなに地獄ってあるのかってくらいの時間を半年以上過ごしてました。会社の仲間はすごい理解してもらっていましたが、代表として申しわけなさすぎて本当に辞任した方がいいかと思ったこともありました。(@Ryotaより引用)
産後うつの支援は道半ば、周囲のフォローが大事
うちの妻は10ヶ月くらいの月日を経て、やっとなんとか子供の面倒を見始めれるように回復しました。あの地獄のday 1から約1年3ヶ月。まだ完治とは言えないかもですが、なんとかなっています。周りから全力でサポートを受けれた妻でもそれくらいかかっているのです。(@Ryotaより引用)
もし親の助けがなかったら?旦那さんの助けがなかったら?経済的に余裕がなかったら?それで命を断つことになっても「まったく不思議でない」くらい産後うつというのは本当に地獄にいるのです。でも産後うつに社会の理解がもっとあったら?お金をあまり気にせず心療内科行けたら?(@Ryotaより引用)
現在は、完治と言えないまでも、ようやく通常の暮らしが戻りつつあるという林さんご一家。林さんは、産後うつの奥さまを支えた経験から、周囲のサポートの必要性について、こんな風に語ります。
「社会が産後うつという存在に対しての認知を広め、理解を深めること。経済的なことが足かせにならないように、国や民間企業の保険サービスなどの充実させること。お母さんが一人にならないように、夫や家族のサポート以外にも他のお母さんとの横のつながりをひろげられるようなコミュニティをつくっていくことが、必要ではないでしょうか」(林さん)。
そして、林さん自身も行動を起こされています。今年8月、自身が経営する会社から、妊娠中に加入できる「母子保険はぐ」をリリースされたのです。
この保険では、妊娠中の入院、出産時の緊急帝王切開などに加えて、プランにより、今まで保険ではカバーしきれていなかった「自宅安静」や「産後うつ」などの精神疾患も保障します。
「ここ数年、産後ケアに力を入れる自治体が増えていますが、まだまだ認知は進んでいません。また、妊婦さんや家族も、産後うつの理解が十分でなく、ご自身も認めたくないというバイアスがあると感じています。産後うつの支援は、まだ道半ばだと思います」
「保険に産後うつの保障が含まれていれば、受診しようと思うきっかけとなり、受診のハードルが下がることを期待しています」
「産後うつを減らすには、お金はもちろんですが、それ以上に周囲のフォローが大事です。でも、そこまで見据えて設計された保険はまだまだ少ないのが現状です。『妊婦さん向け』『産後うつもサポート』と大々的にうたう『母子保険はぐ』があることで、周囲も含めて産後うつのリスクを認識し、みんなでママさんを気にかけたり、フォローしたりするようにしたいと思っています」(林さん)
一連のツイートでも、『母子保険はぐ』を立ち上げ「少しでも妊婦さん、お母さんのサポートになれるよう、人生をかけてがんばっていきたい」と語っている林さん。
産後うつに対する認知と支援の輪がさらに広がっていくことを期待したいですね。
※「母子保険はぐ」は保険商品であり、加入できる期間や年齢などの制限があるそうです。詳細については公式ホームページをご確認ください。
なぜ母子保険「はぐ」を作ったか?
— シルバーマン・スタンレー(シルスタ) (@Ryota) September 27, 2020
僕の妻は明るい性格で産後うつの存在すらしらずに出産を迎えました。生まれて2日目の夜「一睡もできななかった」と連絡が来ました。お互いホルモンバランスの乱れかなと思って、気に留めてなかったのです。#産後うつ #母子保険 #はぐ