室内でも快適に過ごすために欠かせないのがきれいな空気。そのきれいな空気をキープするにはどうしたらよいのだろうか。三菱電機の「ニューノーマル時代の"空気マネジメント"説明会」で聞いた。
教えてくれたのは、同社住環境研究開発センターで製品化技術開発部主席技師長として換気・空調・空気清浄・衛生をメインに技術開発を担当している古橋拓也さん。
換気の基本は「空気の流れ」をつくること
"空気マネジメント"の方法には、室内の空気を新鮮な外気と入れ替える「換気」と室内の空気をきれいにする「空気清浄」がある。換気は室内の冷気や熱を外に逃してしまい、空気清浄は室内の空気を完全にはきれいにできないため、2つを組み合わせて行う。厚生労働省は「新しい生活様式」の実践例としてこまめな換気をあげ、空気清浄機の併用も推奨している。
正しい換気は、室内の汚れた空気をすべて室外の新鮮な空気と入れ替えること。効率よく換気をするためには、「空気の流れ」をつくることが肝心という。
どこかの窓を開ければそれで換気されていると考えられがちだが、それでは効率のよい換気はできない。窓を開けて空気の入り口をつくるだけではなく、室内の空気が放出される出口をつくる必要がある。
その上で、空気の出入り口を離すことにより換気の効率を高める。最も効率がよいのは、部屋の対角線上にある窓を開けること、もしくは換気扇で強制的に排気すること(排気量に見合う給気で)。窓が部屋の中央にあっても気流により換気することで効果が出る。
いずれの場合も、換気扇に汚れが詰まっていたり、給気口がタンスなどで塞がっていたりと、空気の出入り口が塞がっていないか気をつける。
なお、2003年6月の建築基準法改正の前後で、住宅・アパート・マンションの換気設備に違いがある。改正以前に建てられた住宅では24時間換気システムがなく自然換気となっていることが多いため、換気扇を活用するのがおすすめという。改正以後の住宅では、給気も排気も機械で行い、換気量を向上させるのが効率的とのこと。
この基本を押さえた上で、今すぐ実践できる換気テクニック、さらに家電を活⽤して換気効果を⾼めるテクニックはこちら。
今すぐ実践できる換気テクニック4つ
1. 外気の風の強さに合わせて換気時間を調整、窓開け箇所は多い方がよい。
風が入らない時は少し長めの換気を。
2. 秋冬の換気中は室温が18℃以上になるように注意する。
冬季は暖房機を活用しながら換気を。
3. 人が多く集まる部屋の換気は「強」。
リビングの換気はレンジフード(キッチン換気扇)も活用を。
4. 就寝時もしっかり換気を。
就寝時にも換気扇を回しておく。さらに可能であればドアも開けておく。
家電活⽤でさらに換気効果を⾼めるテクニック
1. 扇風機で室内を攪拌する。
扇風機で室内空気を均等に攪拌し、換気扇・窓開けで排気することで空気の淀みを解消する。
扇風機は斜め上に向けるとよい。秋冬の換気は暖気は室内の上、冷気は室内の下に滞在する性質を利用する。換気する窓の少し内側で扇風機を窓に向けて動かすといいと言われているが、扇風機を換気のたびに移動させるのは大変。部屋の隅に置いていても送風する方向を変えるだけで効率を変えることができる。
2. エアコンで窓方向に風を送る。
窓や換気排気に向けた気流を生成することで換気量が増加する。換気中もエアコンはつけっぱなし。エアコンの気流を空気の出口に向けることで換気量を高めることができるため、窓を開けている時間を短く、冬であれば寒くなる時間も短くできる。
エアコンの気流の方向はリモコンで設定できるため、自宅のエアコンの設置位置と窓の方向を確認してどの方向に向けるのがよいか確認を。
3. 空気清浄機は部屋の短辺となる壁面に設置。
空気清浄機は部屋の長手方向に向けて設置し、壁に沿った気流をつくることで部屋全体を攪拌できる。ルーバーがある場合、斜め前方にすると効果的。