Epic GamesやSpotify、EPC (European Publishers Council)など、13の企業・組織がアプリストアの公平な運営慣行を求める非営利組織「Coalition for App Fairness (CAF)」を設立した。AppleのApp Storeや他のアプリストアにおいて、運営者がゲートキーパーのような支配的な力を行使していると指摘。消費者に選択の自由を与え、アプリ開発者に公平な競争をもたらす改革、規制や法整備の必要性を訴え、その活動に賛同する企業や開発者の参加を呼びかけている。

CAFの設立メンバーは、Basecamp、Blix、Blockchain.com、Deezer、Epic Games、EPC、Match Group、News Media Europe、Prepear、Protonmail、SkyDemon、Spotify、Tileなど。ここ数年に、App Storeの運営慣行に異議を唱えて論争を呼んだ開発者が顔を揃えている。

人気バトルロイヤルゲーム「Fortnite」を提供するEpicは、App Storeの収益配分モデルや課金システムを批判してAppleと対立。独自の課金サービスを導入したFortniteの配信をAppleが停止し、法廷闘争に発展している。音楽ストリーミングサービスのSpotifyは、App Storeのストア運営がAppleの音楽サービス「Apple Music」に有利であるとして競争阻害を欧州委員会に訴えている。Tileはスマートトラッカーを開発・提供しているが、Appleの「Find My」アプリと比べてiPhoneの機能へのアクセスが制限されていると抗議。また、Appleが紛失防止トラッカーを発表するという噂があり、近い将来にデバイスでもAppleがライバルになる可能性がある。Prepearのように、アプリで使用しているナシのロゴがAppleのロゴに類似しているとして商標侵害で訴えられた会社も参加している。

CAFはプラットフォーム化したアプリストアの問題点として「巧みに競争を阻害するストアポリシー」「アプリ開発者の収益を圧迫することがある30%の手数料」「消費者と開発者を縛り付ける不自由な環境」の3点を挙げる。それらの問題を解決し、公平で適切な環境でアプリ経済が発展していくための「アプリストアの10原則」を公表した。

10原則が目指すような運営慣行を、大きなプラットフォームが「自発的に採用し、自ら従うことを期待している」としているが、過去を踏まえると自己規制による十分な変化は望めない。今のアプリストアの問題解決には、モバイル時代に当てはまる新しい規制や法律が必要になると見る。アプリストアの改革を求める企業や開発者の声を集め、10原則を青写真とした規制導入を行政に働きかける。