「昭和」の1980年代に子ども時代を過ごした筆者。今の子どもは(大人も?)「Nintendo Switch」に夢中のようですが、当時の男子たちはソフトグライダーやスライムなどいわゆる駄菓子屋系のおもちゃに情熱を傾けていました。
そこに登場したのが、ハンガリーで誕生した立体パズル「ルービックキューブ」でした。何度挑戦しても1面すらそろえられず、攻略できる友人たちの脳力をうらやましく感じた苦い記憶と当時の懐かしさを思い出させる存在で、それはオジサンになった今でも変わりません。
そんな筆者のもとに、「ルービックキューブ 40周年展」を開催するという話が届きました。昭和男子としては、行かないわけにはいかない! と妙な使命感を持って会場をのぞいてきました。
昭和のオジサンがルービックスネークと再会
このイベントは、駐日ハンガリー大使館と日本国内でルービックキューブを販売するメガハウスのコラボレーション企画で、9月24日~11月9日に麻布十番にあるハンガリー文化センターで開催されます。
会場にはルービックキューブの歴史を紹介するパネルや発売された歴代ルービックキューブの一部も展示されていました。
筆者が知らないだけで、いろいろなバリエーションがあるのですね。その中でひときわ懐かしく思ったのは、ルービックスネーク! 通常のキューブと違い、色をそろえなくても形を変えて遊べるので、よくガチャガチャしてましたねー。
イベントオープニングに登場した、駐日ハンガリー特命全権大使 パラノビチ・ノルバートさんは、「ルービックキューブとその影響力は永遠不滅だと思っています。実際、日本の公園で若者たちがスマホでなく、ルービックキューブに熱中する姿を何度も目撃しています」と自身の体験を紹介し、デジタル社会とキューブが共存している証ではないかと言います。
またハンガリー大使館では、「RUBIK’S CUBE 40 AWARD 2020 デザインコンペ」を10月26日まで受け付けしているそうです。
世界最小のルービックキューブ
そして展示の目玉となるのは、世界最小のルービックキューブ「極小ルービックキューブ-0.99cm超精密金属製-」(税別18万円)でしょう。横・奥行き・高さの各辺0.99cm(インクの厚みを除く)となり、もちろん動かして遊ぶこともできます。
往年のファンのみならず、おもちゃ好きなら注目するだろう本商品、どんな経緯で誕生したのでしょう。メガハウスの執行役員でトイ統括を務める林伸介さんに話を伺いました
林さん: 1980年より日本国内でルービックキューブは販売され、長年の間、支持を貰えています。だからこそ、「日本の良さ」「ルービックキューブの良さ」を掛け合わせたものを出していくのが私たちの責任だと思っています。
実は今回の商品は2回目のプロジェクトで、2018年にも石川県の伝統工芸品・九谷焼をデザインしたルービックキューブが発売されているのです。
そして今回は超精密金属製が誕生していますが、開発にはどのような苦労があったのでしょうか。
林さん: 金属精密加工を得意とする、入曽精密さんの協力で生まれた商品ですが、「ORIGAMI」という特殊な機械を使うことでようやく実現できました。実はその機械を使わないと、何百万円にもなるところでした(笑)。
林さんによると、本商品の製作のために機械のプログラムをゼロから開発してもらったそうです。わずか0.99cm角の中に47点もの切削加工パーツが組み込まれていて、開発プロジェクトは2019年の冬頃開始したので、およそ1年がかりで日の目を見ることができたと言います。
林さん: 日本の文化や技術とルービックキューブを掛け合わせて、世界に発信していくことが本プロジェクトの目的です。そのため、今後も継続して新しい企画を出していく予定です。
既に次の構想も固まっているそうなので、次回の発表も楽しみですね。なお、本商品は9月23日より「メガハウスおもちゃマーケット」で予約受付を開始し、12月下旬より発送予定となっています。
実はルービックキューブの解き方を覚える学習をすると、「応用力」「思考の早さ」「思考の深さ」で向上が見られたという内容のパネルも展示されていました。
加齢により脳が委縮している筆者のようなオジサンには、よいトレーニング機会となるのかもしれませんね!