インフルエンザや風邪の原因となるウイルスは冬に活性化しやすく、これは低温で乾燥している環境だとウイルスの生存率が高くなるから。また、のどや鼻の粘膜が乾燥すると異物を排除する機能が落ちると言われているため、冬は加湿器を利用しているという人も多いでしょう。

とはいえ加湿器で上げられる湿度は限られており、「のどや鼻がうるおう」というレベルにはなりません。そこで集中的にのどや鼻をケアしたい人から注目されているのが、蒸気吸入機です。今回、パナソニックが発表したスチーム吸入機の新モデル「EW-KA65」を試すことができたので、使用感をお伝えします。EW-KA65は10月1日発売予定で、推定市場価格は14,000円前後(税込)です。

  • パナソニックのスチーム吸入器「EW-KA65」

    EW-KA65の本体サイズは幅26.6×奥行12.7×高さ28.9cm、重さは1kg(軽量カップ含まず)

2カ所に給水して準備完了

EW-KA65は、沸騰した水の蒸気を吸い込むタイプのスチーム式蒸気吸入器です。面白いのは、ボイラーで沸かした蒸気に、常温の微細なミストを混ぜながら噴霧すること。当たり前ですが、熱湯の蒸気だけでは熱すぎるところを、蒸気とミストを混合して約43℃という快適な温度にするわけです。

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    EW-KA65本体。ノズル先を口元にフィットさせて蒸気を効率的に吸い込めます

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    収納時にカバーとなる透明パーツを土台にすることで、本体の高さをかさ上げすることも可能。背の低いテーブルなどで使うときに便利です

蒸気とミストを使い分けるため、前準備で2カ所への給水が必要です。ひとつは本体前面にある給水カップ。このカップは2エリアに分かれており、片方からミスト用に給水し、もう片方のエリアは吸入しきれなかった水分の排水タンクになっています。

次に、吸入アタッチメントを取り外して、ボイラーキャップをはずして蒸気用の水を注ぎます。給水量は最大30mlなので、付属する計量カップを使うのがおススメです。

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    本体前面にある吸水カップ。カップは2エリアに分かれており、排水もこのカップで行います

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    本体上部の「吸入アタッチメント」を外すとボイラーキャップがあります。キャップを取り外して水を30ml注入

3つのモードでのどと鼻を集中的にケア

ここからは実際にEW-KA65を使ってみます。使い方は簡単で、基本的には電源スイッチを入れるだけ。「少ない」あるいは「多い」を選んで、スチーム量を調整します。ちなみに、最初にボイラーで水を温めるため、蒸気が発生するまでに1分少々かかります。

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    ノズルに鼻と口元をあてて吸入中

EW-KA65は噴霧量だけではなく、目的によってモードを切り替えられるのも魅力です。モードは「のどイガイガ」「はなムズムズ」「はなづまり」の3つ。

のどイガイガモードではのど側にスチームを噴霧、そして、はなづまり・はなムズムズを解消するモードでは鼻側にスチームが噴霧されます。それぞれのモードでは、噴霧される水粒子の大きさが違います。

のどイガイガは、約7~18μmと少し大きめの水粒子でしっかりとのどに吸着。はなづまりには約4~11μmと比較的細かなスチームで鼻全体を潤します。はなムズムズは約5~14μmサイズの細かなスチームによって、鼻腔だけではなく鼻の奥までしっかりと潤して洗い流せるそうです。

まずは、のどイガイガモードを使ってみると、最初に感じるのはスチームというより暖かい細かなミストのような粒子感。のどイガイガモードでは口呼吸をするのですが、この大きめの水粒子がピタピタとのどに張り付く感触がなかなかイイ気持ち。のどがしっかり潤うのがわかります。同時に、約43℃の細かな粒子が肺まで吸い込まれる感触もあり、快適快適。この日の筆者、前日に仕事でしゃべりすぎて、のどがまさにイガイガしていたのですが、ミスト吸入を始めて3~5回の呼吸くらいでイガイガ感が和らぐのを実感しました。

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    スチーム「多い」と「のどイガイガ」モードの噴霧。スチーム噴霧量は設定によって2~10mL/分。意外と力強いスチーム&ミストです

次に、はなムズムズモード。こちらはスチームの向きが鼻方向に切り替わりました。鼻でゆっくりと呼吸すると、スチームの感触はミストが混じった蒸気。のどイガイガモードよりはミストの割合が減っている印象です。鼻が乾いていたのか、吸い込み始めはむしろ鼻の内部がムズムズしましたが、呼吸を続けているうちにムズムズが収まり、終わったあとは鼻の通りがよく呼吸しやすくなっていました。

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    スチーム「多い」と「はなムズムズ」モードの噴霧。のどイガイガモードでは口に向かっていたスチームが、はなムズムズモード(および、はなづまりモード)では角度が上向きになって、鼻側に噴霧されています。この写真では、のどイガイガモードよりも下向きに噴霧しているように見えますが、蒸気がホース内側上部に当たって角度が変わっているためです

最後は、はなづまりモード。こちらはほぼ蒸気といった印象で細かく優しい吸入感です。はなムズムズモードは鼻の穴近くのエリアがジュワーっと潤う印象でしたが、はなづまりモードは鼻の奥までジワジワと保湿される感触があります。また、このモードでは蒸気が細かいからか、長く続けていると少し暑苦しく感じることが。こんなときは、ノズルにあるスライドで温度調節ができるので便利でした。

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    スチーム「多い」と「はなづまり」モードの噴霧。細かな蒸気のためか、はなムズムズよりスチームが遠くに流れています

【動画】「のどイガイガ」「はなムズムズ」「はなづまり」各モードのスチームと噴霧の様子

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    熱さで息苦しく感じたら、ノズルのスライドを開閉します。スライドを開くとスチーム温度が下がります

とても気持ちいいEW-KA65ですが、面倒に感じた部分も。使用後のメンテナンスです。まず、使ったあとはボイラーが冷えるまで10分ほど放置しなければなりません。ボイラーが冷えたら、ボイラーとタンクの水を捨てて、吸入アタッチメントを水洗い。長期間使わない場合は、ボイラー内に残った水を空焚きして、ボイラー内をしっかり乾燥させる必要もあります。

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    水洗いできる吸入アタッチメントのパーツ。このほか給水タンクも水洗いできます。肌に直接あたる部分がすべて水洗いできるのはうれしいところ

改善してほしいポイントはあれど、高い効果を実感できて続けられそう

筆者はこれまで蒸気吸入機を使ったことはありませんでした。今回試用してみて、とくに鼻がつまっていたわけではないのに、なんとなく呼吸がしやすくなった感覚がありました。

大量の蒸気を噴霧するので、使用後はノズル内の顔から水がポタポタと落ちるくらい。この蒸気を吸入する気持ちよさに加えて、のどや鼻の粘膜を水洗いしているようなサッパリ感があるのも魅力です。

カタログを見ると、実際に「のどや鼻を潤し、花粉や異物などを洗い流して不快感を改善する」とあり、花粉症の筆者としては来年の春にどれくらい鼻づまりが改善されるのか今から楽しみです。また、冬の風邪やインフルエンザ対策としても、効果が期待できる点も気に入りました。メンテナンスが少々煩雑だとは感じましたが、このサッパリ感を味わうためにEW-KA65を定期的に使っていこうと思っています。

なお、EW-KA65は医療機器の認定を受けていますが、病気を治療する効果はありません。目的と効果は「鼻腔と咽頭の加湿・洗浄による不快感の改善」です。取扱説明書をよく読んで使用するとともに、疾患の治療中である場合や、ぜんそくなどの疾患がある場合は、必ず医師に相談のうえで使用してください。

  • パナソニックのスチーム吸入器「EW-KA65」

    収納時はノズルを内向きにして、透明カバーで清潔に保管できます