ソニーから9月17日、5Gに対応するプレミアムクラスのスマートフォン「Xperia 5 II」(エクスペリア ファイブ マークツー)が登場しました。AV性能が高められた本機のサウンドを実際に試聴したところ、前機種のXperia 5から格段に進化した仕上がりとなっています。

なぜXperia 5とこれほどまでに、スピーカーサウンドの出来映えに差が付いているのでしょうか。

  • Xperia 5 II実機(グローバルモデル)。日本でも発売予定ですが、時期は「2020年秋以降」とされています

  • Xperia 5 IIとXperia 5の内蔵スピーカーによるサウンドを聴き比べました

左右のユニットが正面を向くデザイン

ソニーモバイルコミュニケーションズで、Xperiaシリーズのオーディオ設計を担当する松本賢一氏に聞いてみると、筐体内部の基板レイアウトを見直したことで、スピーカーボックスの容量アップが図れたことが大きく、結果として特に低音の力強さが増したそうです。

さらに、スマホを横向きに構えた時にスピーカーの音の出口となる開口部が、新しいXperia 5 IIでは左右のユニットともに正面に向くデザインとなりました。

これによりスピーカー再生の音圧と位相バランスが整い、左右音声の分離感がアップ。人の声の輪郭線がより鮮明になり、そして音像が立体感を増したといいます。

  • スピーカーユニットの開口部が正面に向いたことでより迫力のあるステレオイメージが再現されます

  • Dolby Atmos対応の立体サウンドを再生する場合も音場感の向上につながります

  • 本体フロント上部のスピーカー配置はXperia 5も同様に正面を向いています

  • しかし、ボトム側のスピーカー開口部の向きが大きく変わりました。Xperia 5は横向きですが、Xperia 5 IIは上部と同じ正面向きです

Xperia 1 IIのスピーカーより低音豊か

Xperia 5 IIと上位機種のXperia 1 IIのスピーカーサウンドも、聴き比べると違いが感じられました。特に低音再生が豊かさを増しているようです。

ハードウェアの基本設計はXperia 1 IIから変えず、SoCに統合されているDSPの高い信号処理性能を活かして、左右チャンネルのバランスをより緻密にブラッシュアップしたそうです。このことによって低音再生の底力が上がったと松本氏は言います。

  • スピーカーのサウンドはXperia 1 IIと比べてみても、Xperia 5 IIの方が一段と進化していました

またXperia 5 IIのサウンドはソニー・ミュージックエンタテインメント、ならびにソニー・ピクチャーズ エンタテインメントとの共同開発によって練り上げられています。

米国のスタジオで活躍する世界的なエンジニアもチューニングに参加して、クリエイターの狙った音をありのままに再現できるスマホに近づけたことが、成果として現れているのだと筆者も感じました。

独自の立体音響技術にも対応、ストリーミングに期待

ソニー独自の立体音響技術「360 Reality Audio」に対応するコンテンツは、国内ではAmazon Music HDが自社のスマートスピーカー「Amazon Echo Studio」で楽しめるサービスを開始しています。

海外ではAmazon MusicのほかにもTIDAL(タイダル)やDeezer(ディーザー)などの音楽ストリーミングサービスが360 Reality Audioに対応する音楽配信を始めています。

日本国内では残念なことに、本稿執筆時点ではまだTIDALのサービス自体が利用できません。そのため、以下は海外向けの朗報となりますが、Xperia 5 IIはアプリではなくスマホのハードウェアチップ側で360 Reality Audioの音源をデコードするため、より精度の高い立体音場感が味わえることと、再生時に約30%の消費電力低減が期待できるそうです。

TIDALの日本上陸はなかなか実現しませんが、あるいはAmazon Music HDの3Dオーディオコンテンツもスマホで楽しめるようになると、Xperia 5 IIのユーザーが同じようなメリットが得られるかもしれません。

もちろんApple Music、Spotifyなどがモバイル環境で楽しめる360 Reality Audio対応コンテンツを配信してくれることも大歓迎です。